「茨文字の魔法」パトリシア・A・マキリップ

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ネペンテスは王立図書館で拾われて育てられた孤児。今は図書館で書記として書物の翻訳をしています。まだ16歳に過ぎないネペンテスですが、珍しい文字を読み解く勘が備わっているのです。そんなある日、ネペンテスは同僚のオリエルが空の学院に本を貰いに行くのに付き合うことになります。空の学院は馬で平原を通り抜けた先の謎めいた森にあり、その森ではどんなことでも起こり得ると言われているため、オリエルはとても怖がっていたのです。怯えたオリエルに代わってネペンテスが若者から受け取った本には、茨のような文字が書かれていました。その本を一目見て心を奪われたネペンテスは、本を司書には渡さず、自分で訳し始めることに。

図書館が舞台で、不思議な茨文字で書かれた書物が出てくる... というだけで物凄く楽しみにしていたマキリップの新作。ものすごく良かったですー!! マキリップというだけで評価が5割り増しになってしまう私なんですが(笑)、これほどの作品を読んだのは久々!と思ってしまうほど。いや、ほんと素晴らしいー。
宮殿の地下に広がる図書館、謎めいた森、魔術師たちの空の学院、そしていつか国に危機が訪れた時に目覚めるというレイン王国初代の王の眠る海辺の洞窟。それだけでも十分なほどなのに、物語の中心となっているのは、茨のような文字で書かれた書物。その本を一目見た時から、ネペンテスは茨に絡め取られてしまうことになるんです。ネペンテスが読み進めるにつれて、伝説の王アクシスと王に影のようにつき従ったという魔法使い・ケインが生きていた頃の古代エベンの物語が蘇ってきて、その物語が現実のレイン王国の物語に覆いかぶさるように重層的に響き始めます。レイン王国では、若き女王・テッサラが即位したばかり。魔術師のヴィヴェイや元司令官のガーヴィンたちが女王を守り、盛りたてていこうとしているんですが、十二の邦はいつ反乱を起こしてもおかしくない状態だし、もしかすると十二邦の外に敵がいるのかも。敵についてまだ全然掴めないでいるうちに、レイン王国の初代の王も目覚めてしまうし... その警告の言葉は「茨に気をつけよ」というもの。
...なんて説明では全然伝わらないと思いますが、とにかくマキリップらしい世界観を堪能しました。マキリップの描く世界はすっきりと綺麗に整理整頓された世界ではなくて、むしろ物がいっぱいごちゃっと詰め込まれてるようなとこがあるんですけど、それだけに様々な色彩に溢れていて、その色合いをどんどん変えていくのが本当に魅力的。もう図書館も森も空の学院も海辺の洞窟も素敵すぎるっ。登場人物も良かったですしね。私が特に気に入ったのは若き女王・テッサラ。最初はぼーっとした女の子にしか見えない彼女なんですが、実はすごいんです。ただ、途中まで魔術師のヴィヴェイを男性と思い込んでいたことだけは内緒... 元司令官(当然男性)と一緒に暮らしてるってとこで、気付くべきだったんでしょうけど...。(恥)
今回もKinuko Y. Craftさんによる表紙がとても素敵です~♪→公式サイト(創元推理文庫)


+既読のパトリシア・A・マキリップ作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」の感想)
「星を帯びし者」「海と炎の娘」「風の竪琴弾き」パトリシア.A.マキリップ
「ムーンフラッシュ」「ムーンドリーム」パトリシア・A・マキリップ
「オドの魔法学校」パトリシア・A・マキリップ
「ホアズブレスの龍追い人」パトリシア・A・マキリップ
「チェンジリング・シー」パトリシア・A・マキリップ
「茨文字の魔法」パトリシア・A・マキリップ

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Commentaires(8)

私は「オドの魔法学校」で初めてマキリップ作品を読みました。
話もキャラクターも雰囲気も魅力的だったのですが、ちょっと分かり辛い部分があって。
それ以降マキリップ作品が気になりつつ、手が出せない状況だったんです。
でもこれはすっごく面白そうですね!
もう1度チャレンジしてみようかな~。

fumikaさん、こんにちは!
「オドの魔法使い」は読まれてるのですね~。
あの作品にもマキリップらしさはもちろんあるんですが
エピソードが沢山ありすぎて、1つ1つがやや掘り下げ不足という感じだったし
確かにちょっと混乱させる部分があったと思います。
この「茨文字」の方がストレートなので、きっと楽しめるんじゃないかしら。
ぜひぜひチャレンジしてみてくださいませ♪

でもそういう意味では、一番読んでみて頂きたいのは「妖女サイベルの呼び声」ですが!
シンプルで力強くて、一番マキリップらしいエッセンス的作品だと思います。
機会があればぜひぜひ♪

次のファンタジー部門の発表も楽しみにしてますね。^^

こんばんわ、YO-SHIです。

この本を私も読みましたが、久々の大発見という感じです。
恥ずかしながら、この作家さんのことを知りませんでしたので。
こんな面白い、大きなドラマを書ける人に出会って、
今後、他の作品を読むのが楽しみです。
 

YO-SHIさん、こんにちは。
ねね、マキリップ、いいでしょう!!
私の中でマキリップは、タニス・リーと共に別格の存在なんです。
独特の世界観がありますし、その世界の奥が深く広いことといったら、
そしてその世界の確かで色鮮やかなことといったら、
そんじょそこらの作家さんにはなかなか真似できないのではないかと思います。
ぜひぜひ他の作品も読んでみてくださいね。

こんにちは。

やっと読み終わりました。
なんか久しぶりにマキリップ世界がツボにはまりました。
また、「サイベル」を読みたくなりました。

きゃろるさん、こんにちは!
お返事が抜けてしまっててごめんなさいー!!
すっかりしたつもりになってました。失礼しました。(汗)

この作品は、ほんと久々のヒットって感じですよね。
私もすごく久しぶりにツボにはまりましたよ。
「サイベル」も「オンブリア」も読み返したいです。
そして出来ることなら「イルスの竪琴」も~。

こんにちは、YO-SHIです。

おススメいただいた、「妖女サイベルの呼び声」と「影のオンブリア」、
ちょっと時間が経ってしまいましたが、ようやく読みました。

あの独特の世界観や雰囲気は、30年前の作品から続くものだったのですね。
どちらも良かったですが、続けて読んだので、どうしても比べてしまいます。
私としては「影のオンブリア」の方が、楽しめました。

私も作家で読む傾向があるので、またマキリップ作品を読んでみたいです。
良い作品を紹介していただいたて、ありがとうございます。感謝。
 

YO-SHIさん、こんにちは~。
「妖女サイベルの呼び声」と「影のオンブリア」読まれたんですね!

本当にすごく独特な雰囲気があるでしょう?
特に「妖女サイベルの呼び声」は、出た当時、相当インパクトがあったのではないかと…
なかなかあんな世界を作り上げられる作家さんっていないと思います。30年前も今も。
という私が読んだのは、ほんの5年ほど前なんですけどね。(笑)

「妖女サイベルの呼び声」のインパクトはやっぱり捨てがたいのですが
まだまだ荒削りな部分も目につきますものね。
私も「影のオンブリア」の方が好きですよー。あの光と影の世界には本当に惹かれます。
こちらはマキリップらしさを十分持ちつつ、かなり洗練された作品だと思います。
私の中ではマキリップのベストがこの作品です。

後ほど、また改めてゆっくりとお伺いいたしますね。^^

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