「書き込みのある樅の木」アーダルベルト・シュティフター

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200年ほど前、30年戦争が起きた頃。今は廃墟となっている城はヴィッティングハウゼンの宮殿と呼ばれ、そこにはクラリッサとヨハンナという美しく優しい姉妹が住んでいました... という「高い森」他、全4編が収められた本。

去年の年末にチョコちょこさんに「出ましたね!」と教えて頂いていたのだけど、実際に入手できたのはずっと遅くなってしまったこの本。後付を見ると2008年12月24日になってましたが、その頃私の周囲では、影も形も見当たりませんでしたよ! ネット書店に出たのも随分遅かったはず。いえ、多少待たされても手にすることができれば、それでオッケーなのですが~。
今回のこの本は、シュティフターの作品に共通する主題である「森」に着目して編んだという短編集。モルダウの流れるボヘミア南部の森、自然の美しさと恐ろしさを併せ持つ森は、シュティフターの故郷だということもあって作品によく登場しますが、ここに収められた作品もそうです。最初の「高い森」と表題作「書き込みのある樅の木」は中編で、次の「最後の1ペニヒ」が短編、そして「クリスマス」がエッセイ。

読んでいると気持ちが穏やかになるような気がしてくるシュティフターの作品でも、一層静けさを感じるものだったように思います。本当にしんと静まり返った森の中にいるような気がして、なんだか怖くなってしまう... 作品には森で暮らす人々のことが書かれているんですが、本当の主人公は森そのものなのかもしれませんね。
美しくも哀しいロマンティックな「高い森」もいいんですけど、私が好きなのはやっぱり表題作かな。訳者解説を読むと、シュティフターの同時代の人々には酷評されていたようですが... どうやら違う点にばかり目を向けていたようですね。そうじゃないのに! でもこの結末が雑誌版ではまた違っていたと知って驚きました。この本に収められている結末の方が断然いいです。だってそれが次の「最後の1ペニヒ」に繋がっていくんですもん。そう、この並び順がまたとても素敵なのです。(松籟社)


+既読のシュティフター作品の感想+
「水晶 他三篇 石さまざま」シュティフター
「森の小道・二人の姉妹」シュティフター
「晩夏」上下 シュティフター
「ナレンブルク 運命に弄ばれた人々の城」A.シュティフター
「石さまざま」上下 アーダルベルト・シュティフター
「森ゆく人」アーダルベルト・シュティフター
「書き込みのある樅の木」アーダルベルト・シュティフター

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Commentaires(6)

おわ、シュティフター!
四季さんは、本を一冊読まれるときの集中力も凄いし、ひとつのものに気が向いたらそれらを固め読みなさる本の読み方も凄いなですね。わたくしは読むのが遅いのに雑食なんでほんと読んだ物が身につかないです><
集中力を自然に維持できる方って肩こりがほとんどない印象です。
四季さんはあまり肩はこらないですか?
(なんなんでしょうか、この質問は^^)

肩ね、凝らないですよー今までほとんど凝ったことないです。
ものすごく重い荷物を持った後で凝ったことがある程度。
確かにそういうのも本を読む時に関係してくるかもしれないですね。
kyokyomさんは凝る方なんですか?

人それぞれに読み方があると思うんですけど、私の場合中断させられると弱いんですよね。
なるべくその世界にぐーっと入りこんで一気に読みたいタイプです。
作家さんや特定分野を追いかけるのは、ゆっくりでもいいんですが…

「出ましたね!」とコメントさせていただいた本人が、実はまだブログで感想をアップ出来ていません(泣)
が、以前、別訳で読んでいる『高い森』以外は読了しました♪

本当に、タイトルの作品は静かでしたねぇ~
読み方によっては、本当に不気味さを覚えるくらいの静けさでした。
訳者の解説の中でベンヤミンの言葉に疑問を示している部分がありますが、ある意味でシュティフターの作品が「聴覚の麻痺した」世界であることは事実だと思います。キーワードとして、「静けさ」というものも確かに存在していますから。
この短篇の結末も、書いておられるように今の形の方が絶対! いいですよね☆


そうそう、北欧文化通信社から『カレワラ タリナ』も出ましたね。
ただ、散文のカレワラ物語なので、チョコちょこ自身は今は読むかどうか迷っています。
個人的には森本丹覚さんのものがお気に入りなので。
でも、この1000点シリーズも、頑張ってほしいものです。『ヘイムスクリングラ』の続刊を、早く読みたいな♪

チョコちょこさん、こんにちは~。
感想、見に来てくださってありがとうございます。^^
チョコちょこさんの感想も楽しみにしてるので、お早めにぜひ。
ほんと表題作は静かでした…
ああ、「聴覚の麻痺した」世界。確かにそうですね。
そして結末、ご同意いただけて嬉しい。絶対そうですよね!

「ヘイムスクリングラ」の続編も「カレワラ タリナ」も楽しみです。
ほんと北欧文化通信社さんには頑張って頂きたいものですよね~。
あ、でもまだ「カレワラ タリナ」は入手してないんですが、これは散文でしたか。
私は岩波文庫で小泉保さんの叙事詩のを読んでるからなあ。
それでも北欧文化通信社さんに頑張っていただくために買うつもりではおりますが。
森本丹覚さんのものというのもあるんですね。それは全然知りませんでした!
でも検索してみたんですけど全然出てきませんー。
うーん、気になります。

ごめんなさい(泣)入力ミスです。森本覚丹さんですね。
今はもう絶版ですが、素晴らしい翻訳ですよ☆

森本覚丹さんなんですね!
残念ながら市内の図書館にはありませんでしたが
講談社学術文庫なんですね。探してみます。
いつか見つかるといいな~。ありがとうございます。

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