「星のカギ、魔法の小箱」小谷真理
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読売新聞に連載されていたというファンタジー&SF作品の読書案内。「小谷真理のファンタジー&SF玉手箱」からの改題。
語り口からすると小中学生辺りの子供が対象としか思えないんですが、挙げられている作品は大人でも楽しめる作品ばかり。むしろ小中学生にはちょっと手ごわいんじゃ... という作品も混ざっているので、高校生辺りが対象なのかな? ファンタジーやSFの中でも幅広いジャンルから満遍なく選んでいるという印象です。私はファンタジーはともかくとしてSF作品には疎いんですけど、そんな私でも題名を知っている作品ばかりですから、かなりの名作・定番作品のラインナップとも言えそう。
どれも平易な語り口での紹介なのですが、それだけにその本の良さを素直に表しているように思います。そしてポイントを鋭く突いていますね。例えば超定番の筒井康隆「時をかける少女」。これはラベンダーのような香りと共にタイムスリップしてしまうという話。
ラベンダーは、香水に使われる植物の名前ですから、なんだかちょっと大人っぽくてロマンティックな印象がありますね。未知の世界に足をふみこんでしまった少女の冒険物語は、はじめて大人の世界をのぞきこんでしまったときの、あの胸がときめくような、高揚感をもっています。大人になってから昔をなつかしむときには決まって、青春時代の思い出がいちばん強烈に思い出されますから、時間小説と青春小説が重なりあうのはそんなに不思議なことではないのでしょう。子どもから大人になるということ自体が、時間の区切りをジャンプすることなのかもしれませんね。
確かに私もこのラベンダーという言葉にとても惹かれた覚えがあります。この本を読んだ小学生の頃は、ラベンダーの香りなんて知らなかったんですが、知らないなりにも、確かに大人っぽくてロマンティックなイメージがあったし、確かにそういう香りを感じてワクワクしてました。...この本を読んでると、そういう素直なわくわくドキドキ感をいつまでも大切にしたいものだなあと改めて実感してしまいます。
大野隆司氏の猫版画も、それぞれの本の雰囲気がよく出ていて楽しいです。(中央公論新社)
+既読の小谷真理作品の感想+
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