「時間のない国で」上下 ケイト・トンプソン

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JJ・リディは、両親と妹との4人暮らし。父は詩人で母は音楽家。母の家は代々音楽家の家系で、毎週のようにケイリーと呼ばれるアイルランド伝統のダンスパーティが開かれているのです。JJ自身もフィドルやフルートの演奏者として、ハーリングの選手として、アイリッシュ・ダンスの踊り手として、数々の賞を手に入れてきていました。しかし最近どうにも時間がないのです。父が母と出会い、母の実家の農家に移り住んだ時に夢見ていたのは牧歌的な生活。しかし今では日々農作業に追われ、詩作などまったくする余裕がない状態。そしてリディ家だけでなく、この一帯に住む大人も子供も同じ問題に悩まされていました。

毎日のように時間にに追われて「時間が足りないー」「もっと時間が欲しいー」と言っている現代人は多いはず。という私もやりたいことが多すぎて、1日24時間じゃあ到底足りない状態。でも「時間が足りない」というのは、単なる比喩的な表現での話。1日はちゃんと24時間あると納得した上で、そんなことを言ってます。ま、言ってしまえば、自分の能力を超えて欲張りすぎなんですよね、私の場合は。まさか本当に時間がなくなっているとは考えたこともありません。でもこの作品の中では、本当に時間がなくなってしまうんです。となると、ミヒャエル・エンデの「モモ」を思い出すんですが、そういうのとはまたちょっと違っていて...。いや、結果としてはかなり似た状況とも言えるんですけど、誰も他人の時間の花を奪おうとしているわけではありませんし。(笑)
アイルランドのファンタジーはチェックしてるつもりでいたんですけど、これはすっかり抜け落ちてました。まさかこんなところにあったとは! この続編の題名が「プーカと最後の大王(ハイキング)」で、それを見るまで全然気づいてなかったんです。まさか「ティル・ナ・ノグ」まで出て来ようととはーっ。時間不足に嘆く普通の世界と時間の存在していないティル・ナ・ノグの関係も面白かったし、それぞれの住人たちがまたいいんですよねえ。そして最初から最後までずっとアイルランドの伝統音楽がずっと流れ続けてるという意味では、以前読んだチャールズ・デ・リント「リトル・カントリー」(感想)みたいな雰囲気。もうほんとリバーダンスが目の前に浮かんできます。色んな曲の楽譜が入ってるので、詳しい人はもっと楽しめそう。そしてスーザン・プライスの「500年のトンネル」(感想)もなんとなく思い出しながら読んでたんですけど、それはこの表紙のせいかな? 前半こそちょっと引っかかる部分もあったんですけど、後半はそんなことなかったし、終わってみれば結構面白かった! 伏線の効いた解決も気持ち良かったので、ぜひ続きも読んでみようと思います~。(創元ブックランド)


+シリーズ既刊の感想+
「時間のない国で」上下 ケイト・トンプソン
「プーカと最後の大王(ハイキング)」ケイト・トンプソン

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Commentaires(4)

こんにちは。
私も、つい先日読みました!(レビューはまだですが)
四季さんと同じく「プーカと最後の大王」を先にチェックして気づきました。
面白かったですね♪

私はアイルランドの物語は初めてだったのですが、やっぱり四季さんはいろいろ読んでおられるんですね~。
「ティル・ナ・ノグ」もアイルランドのファンタジーでは頻度が高いのですか?
私は語感から上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズに出てくる異世界「ナユグ」を思い出しました。
ちょっと似てる~♪なんてニヤニヤしながら読んでました(笑)

これから「プーカと最後の大王」です。
楽しみです(*^_^*)

fumikaさん、こんにちは~。
わあ、やっぱり読んでらしたんですね!
もしかしたら… と思ってfumikaさんのブログを探したんですよ。(笑)

アイルランドの神話というかケルトの神話というか、そういうのも大好きです。
この話の中に、馬から落ちて灰になってしまったって話があったでしょう?
あれも有名なエピソードなんですよ。
妖精の女王にティル・ナ・ノグに連れて行かれたオシーン(オシアン)の話って
浦島太郎伝説とちょっと似てますよね。
あ、ほんと、このティル・ナ・ノグってナユグにも似てますね~。うふふ。

「プーカと最後の大王」は、さらに面白かったです!
fumikaさんの感想、楽しみにしてますね。^^

確かに浦島太郎です!
あれは玉手箱を開けるとおじいさんになっちゃうけど、灰にならなくて良かったですね~(笑)
神隠しは日本にもありますよね。
日本だとちょっと怖いイメージがありますけど(汗)
それでも世界中で似たような伝承があると、つい精霊たちの存在するもうひとつの世界が本当にあるかのように思えてきますよね♪
「プーカと最後の大王」はもっと面白かったんですか。
楽しみです。

あ、四季さんに薦めてもらったDWJの「星空から来た犬」読みましたよ♪
面白かったです~!
ちょっと切なくて・・・いいお話でした。
素敵な本をありがとうございます(*^_^*)

そうなんですよね、世界中に似た話があるということは
きっと何らかの真実が含まれてるということで…
でも、アイルランド辺りには、妖精のせいにして社会的な弱者を排除してた
なんてことも実際にあったようなので
もしかしたら、妖精が犯罪に利用されてただけなのかもしれませんが。
…や、そんなことを言ってしまうと夢がなくなってしまいますね。(汗)
もう1つの別の世界が本当にあると思った方がずっと素敵です~。

「星空から来た犬」読まれましたか。楽しまれたようで嬉しいです!
ほんと切ないですよね。
闇のあるじに関してとか、もうちょっと読み足りなかった気もするんですが
綺麗にまとまってるから、あれはあれでいいのかな、と。
DWJは初期の作品の方がストレートに伝わってきて好きなんです。^^

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