「冬の犬」アリステア・マクラウド

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子供たちがコリーみたいな犬と遊んでいるのを見て、12歳の時に父親が買った犬を思い出す「私」。家では家畜用の働き者の若い犬を必要としていたのです... という表題作「冬の犬」他、全8編の短編集。

「灰色の輝ける贈り物」と同じく、カナダのケープ・ブレトン島が舞台となっている短編集。どうやら「灰色の輝ける贈り物」が「Island」という短編集の前半の8編で、こちらの「冬の犬」が後半の8編のようですね。その前半の8編と同じく、とても静かなのがまず印象に残ります。静謐で、でも生きる力に満ちた物語。この「生きる力」は、時には激しくて驚くほど。そして死。その背景にあるのは、厳しすぎるほど厳しい自然の姿。「赤毛のアン」のプリンス・エドワード島とは隣り合わせのはずなのに、なんでこんなに違うんだろう... と思わずにはいられません。気候的にもそれほど違わないはずなのに、ここまで違うとは。生き生きとした躍動感あふれる「赤毛のアン」とは対照的な、こちらはずっしりと貧しさと孤独がのしかかってくるような生活。「赤毛のアン」が春から初夏にかけての明るいイメージだとすれば、こちらは厳寒の冬の暗いイメージ。
どれも違う家族のことを描いているんですが、どれも同じ家族のことを書いているようでもあり... もちろんアリステア・マクラウドもその中の1人なんでしょうね。故郷スコットランドのハイランドやゲール語の存在がその根底に流れていて、故郷を離れなければならなかった深い悲哀を漂わせながらも、同時に時の流れを感じさせます。(新潮クレストブックス)


+既読のアリステア・マクラウド作品の感想+
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