「小さな男*静かな声」吉田篤弘
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百貨店の寝具売場に勤めながら百科事典の執筆に勤しみ、最近<ロンリー・ハーツ読書倶楽部>に讃歌した「小さな男」。そしてラジオのパーソナリティで、最近日曜の深夜1時からの2時間の生番組に抜擢されたばかりの34歳の静香。そんな2人のそれぞれの物語。
「小さな男」と静香の2人の小さなエピソードが沢山積み重なってできている物語。この2人、仕事も行動範囲も全然違うし、一見何も接点もないんですよね。もちろん物語なんで、どこかでクロスするんだろうなと思いながら読むわけだし、序盤で早速「ミヤトウ」さんが接点だと分かることになるんですけど、でもそうそうストレートに繋がっていくわけではありません。もっと小さいところから、少しずつ少しずつ、ゆるやかに重なっていく感じ。シンクロしているといえばしているし、気がつかなければ気がつかない程度。そのゆるゆる感が素敵。
印象に残ったのはこの言葉。
結局、いちばん残しておきたいものはいつでもこうしてこぼれ落ちてゆく。人の記憶なんてそんなものだ。(中略) 代わりに、どうでもいいことばかりが克明に記録されてゆく。
この言葉ね、本の感想を書くのも一緒だなーと思って。でも、確かに私もどうでもいいことばかり克明に記録してるんですけど、後で見たらちゃんとその時のことが思い出せるんです。だから、それはそれでいいような気もしてます。
あと私が気に入ったのは、古書店ならぬ古詩集屋の午睡屋。ここの店長は、昭和30年代の時刻表や「熱帯果実図鑑」「卓上灯製作の実際」といった本を「詩集です」と断言しつつ、「つまり、いったい何が詩で、何が詩ではないか、という根源的な問題に関わっているのです」なんて澄ました顔で説明しちゃう白影くん。彼に言わせれば、詩集とは静かな声を閉じ込めたもので、詩集屋というのは静かな声を売る店なんですって。そういう風に考えるのも、なんだかとっても素敵ですね。 (マガジンハウス)
+既読の吉田篤弘作品の感想+
「百鼠」吉田篤弘
「78」「十字路のあるところ」吉田篤弘
「という、はなし」吉田篤弘
「空ばかり見ていた」吉田篤弘
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘
「小さな男*静かな声」吉田篤弘
(Livreに「フィンガーボウルの話のつづき」「つむじ風食堂の夜」「針がとぶ」の感想があります)
+既読のクラフト・エヴィング商會の感想+
「アナ・トレントの鞄」クラフト・エヴィング商會
「犬」「猫」クラフト・エヴィング商會プレゼンツ
(Livreに、これ以前の全作品の感想があります)
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クラフト・エヴィング商會の本が好きで何作か読みましたが、
吉田篤弘氏の単独作ってこんなにたくさんあるんですねー(・ ・ )
何か読んでみたいと思いました。参考にさせていただきます!
liquidfishさん、こんにちは~。
そうなんですよ、単独作、結構あるんです。
しかも、どれもなかなか素敵な雰囲気です。
私は「百鼠」「78」「それからはスープのことばかり考えて暮らした」
辺りが特に好きなんですが、liquidfishさんはどうでしょう~。
ぜひ手に取ってみて下さいね。^^