「観光」ラッタウット・ラープチャルーンサップ

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タイにやって来るのは、6月はドイツ人、7月はイタリア人、フランス人、イギリス人、アメリカ人、8月は日本人、9月は中国人とオーストラリア人。そして「ぼく」はこの夏、あるアメリカ人の女の子に出会っていました... という「ガイジン」他、全7編の短編集。

タイを舞台にした短編集。タイ人作家の作品を読むのは初めてなんですが、カズオ・イシグロやジュンパ・ラヒリ、チャンネ・リーらと同じように英語で作品を書く作家なんですねー。シカゴに生まれ、タイで育ち、タイの大学とアメリカのコーネル大学で学位を取得後、ミシガン大学大学院のクリエイティブ・ライティング・コースで創作を学んだというインテリ作家。
観光客としてタイを訪れたことはあるし、日本で育ったタイ系の知り合いはいるんですけど、実際にタイの人を知ってるかといわれるとやっぱり「知らない」です。そもそも観光で訪れても、現地に生まれ育つ人々のことを知る機会ってあまりないですしね。彼らにとっても、訪れている観光客は十把一絡げに「観光客」で、それ以上のものでもそれ以下のものでもないでしょうし。そんな、普段なかなか感じることのできない現地の人々の生活や息遣いが直に伝わってくるような短編集。観光客には見えてこない生活がそこにはあるんだな、というごく当たり前のことを思い出させてくれるような作品群です。
でもね、読み終わってみると、やっぱりアメリカで教育を受けてる作家さんなんだなあ、というのも思ってしまいました。ここに描かれているタイ人たちの生活は生々しいようでいて、一番深くて汚い部分は綺麗に覆い隠しているような印象もあって... 現地の人々の生活が見えてくると思ってても、やっぱりそれはちょっと違うのかも、って思ってしまったんです。この短編集の最後に収められている「闘鶏師」なんかは、結構すごいんですけどね... でもどこか最終的な泥臭さが足りないような。そしてそんなところが欧米でベストセラーになった所以なのではないかと思ってみたり。
とは言っても、それでも素晴らしい作品だったと思うんですけどね。短編が苦手な私にも、ものすごく面白かったですし。(ハヤカワepiブック・プラネット)

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Commentaires(2)

四季さん、こんにちは~。
創作科出身の作家、増えてるみたいですねえ。

チャンネ・リーって読んだことないんですが、クレスト・ブックスに入ってるんですね。
しかし、クレスト・ブックスもどんどん新しいのが出て、全然追いつけませんです…。
ハヤカワepiブック・プラネットとクレスト・ブックスは、無条件で信用してしまう所があります。笑

さて、私も途中までは巧いなぁ(いい意味でも悪い意味でも)、と思いながら読んでたんですが、
「闘鶏師」でどーんとやられました。
でも、全体的にいえば、この表紙のように美しく明るい空の印象が残っています。
長編執筆中とのことだったので、そちらの完成も楽しみだなぁ、と思います♪

(毎度、トラバが飛ばないので、URL欄にアドレス入れています)

つなさん、こんにちはー。
ほんと創作科出身の作家が増えてるようですね。
しかもアジア系の作家の台頭が目覚しいようでびっくりですー。
あ、チャンネ・リーが創作科出身なのかどうかは分からないんですが
オレゴン大学大学院で芸術修士号を取得、というのはそうなのかな?
でも執筆を始めたのは、ウォール・ストリートで1年間証券アナリストを
経験してからですって。すごい方向転換ですよね。(笑)

私はハヤカワepi文庫はずっと追いかけてきてるんですけど
ブック・プラネットの方は今回初めてで!
でも1冊読んだだけでも、これは信頼できるなという手応えです。
クレストブックスも今年はどんどん読むつもりなんですが
こちらも追いかけたくなりました~。まだ追える冊数なのが嬉しいです。(笑)
で、キラン・デサイも読んだので~。
感想を書けたら、またつなさんの記事にお伺いしますね。^^

>さて、私も途中までは巧いなぁ(いい意味でも悪い意味でも)、と思いながら読んでたんですが、
ああ、つなさんもそうでしたか。うん、そうなんですよね。
短編が苦手な私がここまで楽しめたというだけでスゴイと思うんですけど
それでも「巧い」という感じがつきまとってましたね。
「闘鶏師」で、かなり民衆レベルに降りてきたと思いましたが。

長編、楽しみですよね!
これで一皮剥けるとすごい作家さんになるのではないかと~。

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