「イラクサ」アリス・マンロー

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駅に行って駅員に家具の発送について尋ねたジョアンナ。次のの金曜日に寝室1つ分の家具をサスカチェワンに送りたいのです。切符を買うと、今度は高級婦人服店へと向かいます...という「恋占い」他、全9編の短編集。

カナダの田舎町を舞台にした短編集。同じカナダで、同じスコットランド系、同じ世代のアリステア・マクラウドの作品とはまた全然違うカナダの姿が見えてきます。でもアリステア・マクラウドの作品みたいな自然の厳しさみたいなのはなくて、作品の雰囲気としてはかなり違うと思うんですけど、骨太なところ、人間の営みとしての生と死が描かれているところは共通していると言えるかも。
一読しただけでは意味が取れなくて読みにくい文章が結構あったんですが、これは原文のせいなのでしょうかー。でも読み終わってみれば、どれも読後に余韻が残る物語ばかり。70年生きてきた人間の重みなのかな。まず登場人物の造形がいいんですよね。ふと通りがかっていく人物にも思わぬリアリティがあって、はっとさせられることもしばしば。そして、ふとした出来事がその後の展開をまるで変えてしまうというのもいいんですよね。あざとさみたいなのはなくて、ものすごく自然なんです。ああ、そういうことも本当にあるのかも、なんて思えることばかり。たとえば上にあらすじを紹介した「恋占い」なんて、本当はものすごく残酷な話のはずだったのに...! 何がどうなるのかは、それなりの時間が経たないと見えてこないんですけどね。そこには単純に「幸せ」「不幸せ」と判断されることを拒むような深みがあります。
印象に残った作品は、最初の「恋占い」と表題作「イラクサ」、そして最後の「クマが山を越えてきた」。特にこの「クマが山を越えてきた」が良かったな。何度も読めば、それだけ味わいも増していきそうな短編集です。(新潮クレストブックス)

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