「レオンと魔法の人形遣い」上下 アレン・カーズワイル

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レオンがお母さんの机の中から見つけたのは自分の名前が太い活字体で書かれ、学校の印章と「親展」のスタンプが押されている封筒。気になって仕方ないレオンは、4年生になる新学期の前の夜、とうとう開いて読んでしまいます。そこにあったのは、自分に対する担任や他の教師たちの厳しい評価。レオンは人並みはずれて手先が不器用で、それなのにレオンの通うクラシック学院のモットーは「敏捷な精神は敏捷な指に宿る」なのです。

ニューヨークのマンハッタンが舞台のファンタジーと思いきや、一般的なファンタジー作品とはまた全然違っていてびっくり。そもそも、主人公が通う学校からして、ものすごく個性的なんです。手先の器用さを重視するあまり、お裁縫に取り付かれている教師もいるぐらいですから! 実際、学校での授業風景は、裁縫と体育だけなんですよね。話の端々から他の授業もあるのは分かるんだけど、そっちはこれっぽっちも出てきません。そしてレオンの担任となった先生こそが、その裁縫が大好きな教師・ハグマイヤー先生。ヘルメットのような黒い髪に黒いマント、マントの留め金は2つの目玉、黒いドレスに黒いブーツ、煮込んだ肝臓色のストッキングといういかにも魔女のような外見。教室でのどんな小さな囁きも聞き逃さない地獄耳で、生徒に次々にアニマイルと呼ぶぬいぐるみを作らせては売りさばいているという噂...。
怪しげな学校に怪しげな先生。常識人に見えるレオンのお母さんが、なんでレオンをこの学校に通わせることになったのか、ものすごーく不思議。父親を早くに事故で失ってて、それほど裕福とは思えないのに、レオンは毎日タクシーで通学してるんですもん。それなりの理由があったんだろうと思うんですけどね。この作品は3部作の1作目だし、じきにその理由も分かってくるんでしょうか。

レオンの手先が不器用な本当の理由が思わぬところにあったのも楽しかったし、風変わりな客が入れ替わり立ち代り滞在するホテルでの場面も面白いです。個性豊かなホテルの面々も、親しくなるタクシー運転手のナポレオン・ドゥランジュもいい味を出してますしね。そんな大人たちの存在が、子供たちよりも余程魅力的だったかも... というのもYA向けファンタジー作品としてはちょっと異質な気がするんですが、学校の授業の場面で裁縫と体育の時間しか書かれていないことが象徴してるように、読んでいるとどこか歪みを感じるんですよね。でもそんな歪んだ不思議空間が、この物語の魅力なのかもしれません。(創元ブックランド)


+既読のアレン・カーズワイル作品の感想+
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