「星々の生まれるところ」マイケル・カニンガム

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キャサリンとの結婚1週間前に、工場での仕事中、機械に巻き込まれて死んだサイモン。弟のルーカスは13歳ながらも学校をやめ、同じ仕事につくことに... という「機械の中」。警察で電話を受ける仕事をしているキャットは、相手の本気を感じ取れる貴重な1人でありながら、「そいつ」を見過ごしてしまったのです... という「少年十字軍」。そして、毎晩のように子供を公園で散歩させるナディア人の彼女を見て、少しずつ距離を縮めるサイモン。彼女はカタリーン。エメラルド色の肌をしていました... という「美しさのような」。全部で3編。

過去から現在へ、そして未来へ。その世界に常に流れているのは、ウォルト・ホイットマンの「草の葉」。ある時は声高に、そしてある時は囁くようにホイットマンの詩を読む声が聞こえてきます。この本と併せて「草の葉」も読んだのですが、いいですねえ。そのおかげでとてもこの世界が掴みやすくなったし、入り込みやすくなったような気がします。
「草の葉」というのは、右の画像の帯にもあるように「アメリカをしてアメリカたらしめている根源的作品」と言われている作品。とても情景を立ち上げる力が強くて、文字を追うごとに情景が立ち上がり、世界が構築されていくような詩なんですよね。そしてその「草の葉」を読んだ後にこの作品を読んでみると、その詩で既に作り上げられていた世界と地続きで、さらに世界が広がったような印象。しかも作中にウォルト・ホイットマン自身も登場するんですが、それがまた驚くほどの違和感のなさで...。「草の葉」で思い描いていた人物そのまま。詩は基本的に苦手なはずなのに、きちんと受け止められていたんだなと思わず嬉しくなってしまったほど。
この「星々の生まれるところ」の3つの短編同士は、はっきりと繋がってはいないんですが、一番主要な登場人物はルークとサイモンとキャサリンの3人。この3人が名前や年齢といった設定を少しずつ変えながら入れ替わり、物語が流れていきます。変わらないのは「草の葉」と白い鉢だけ。この鉢がまるで次世代に希望を託しているようで、それもまた素敵なのです。そしてもしかしたらこの3編のどれが一番好きかというので、その人の本の好みが分かるかもしれません。という私が一番好きなのは最初の「機械の中」です。過去の世界。(集英社)

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