「フロイトの弟子と旅する長椅子」ダイ・シージエ

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中国の難関中の難関である選抜試験を優秀な成績で合格し、フランス政府国費留学生として80年代末からパリに留学していた莫(モー)。彼はフロイト派の精神分析学を学び、中国初の精神分析医として、11年ぶりに中国に帰国。そして中国での大学時代からずっと恋焦がれているフーツァンを刑務所から救い出すために、法曹界の実力者・狄(ディー)判事のもとを訪れます。フーツァンは、中国警察による拷問の場面を隠し撮りして、ヨーロッパのマスコミに売った罪で捕らえられていました。1万ドルを差し出した莫に狄(ディー)判事に要求された賄賂は、「まだ赤いメロンを割っていない」女性、すなわち処女。莫は条件に叶う女性を探し求めて、中国を旅して回ることに。

「バルザックと小さな中国のお針子」が面白かったダイ・シージエの長編第2作。
でも今回も面白かったんですけど... きちんと小説らしい構成と展開をしていた「バルザック~」に比べて、かなり読みにくかったです。物語が時系列順で展開していくわけじゃないし、筆の赴くまま、話が奔放に飛んでいってしまうんですもん。つきつめてしまえば、かつて好きだった女性を救うために莫が奔走する、というだけなんですけどね。その理由が分かるのも、ちょっと後になってから。
物語が始まった時、莫は既に処女探しを始めています。でも莫が真剣に処女探しをすればするほど、物語はどんどん喜劇的になっていくんです。訳者あとがきで「ドン・キホーテ」が引き合いに出されてるのを見て納得。ラストも可笑しい~。そもそも40歳にもなるいい大人の男性が、一体何やってるんだか。ほんと懲りないんだから。でも「懲りない」といえば、ここに登場する面々が1人残らず「懲りない面々」かも。何があっても何が起きても、したたかにやり過ごしていくんですね。こういうの、大陸的な底力なんでしょうか。
原題は「Le complexe de Di」。「Le complexe d'Œdipe」(エディプス・コンプレックス)のもじりなんだそうです。「Di」は狄判事のこと。丁度「Œdipe」の中に「di」がありますよね。でもロバート・ファン・ヒューリックの狄判事シリーズの主人公と同じ名前なんですが、そっちのシリーズの狄判事はとても好人物なので、名前が丁度良かったとはいえ、少々気の毒な気も...。ちなみに「長椅子」は、精神分析の時の必須アイテムの長椅子のことです。この題名センス(訳者さんがつけたのかな?)、好きだわー。(ハヤカワepiブック・プラネット)


+既読のダイ・シージエ作品の感想+
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Commentaires(2)

最初は面食らうけど、楽しい素敵な作品でしたね。

あはは、狄判事!
四季さんの記事を読んで、おお、狄判事ものだ!、と思ってたんですが、やっぱり全然違う人物なんですね。笑

やっぱり大陸的なんですかねえ。
この伸びやかで、転んでも全然諦めないところが、さわやかでしたよね。

つなさん、こんにちは。
最初はワケわかんなくて、もうどうしようかと…(笑)
でも分かってみると楽しかったです。諦めなくてよかった!

この作品の狄判事、まるで悪代官のようじゃないですかー。
ヒューリックのシリーズの狄判事は、むしろ水戸黄門なんですよ。
悪者はご老公さまと同じ顔!の巻~ って感じですかね?(笑)
いや、この場合同じなのは顔じゃないんですが。

島国育ちの日本人には、真似できない部分ですよね。(笑)

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