「ウォーターランド」グレアム・スウィフト

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妻のメアリーが引き起こした嬰児誘拐事件がきっかけで、32年間教壇に立ってきた学校をやめさせられることになった歴史教師のトム・クリック。彼は授業のカリキュラムを無視して生徒たちに、自分の生まれ育った沼沢地帯(フェンズ)のことや、自分のこと、家族のこと、先祖のことについて語り始めます。

沼沢地帯(フェンズ)と共に語られていくのは、主人公・トム・クリックの家族とその歴史。両親のこと、「じゃがいも頭」の4歳年上の兄・ディックのこと、10代当時の恋人で今の妻でもあるメアリーのこと、そして祖先のこと。そこで語られているのは10代の赤裸々な真実。特にインパクトが強かったのは、好奇心旺盛なメアリーが主導だった10代の性のこと...! これにはかなりびっくりでしたが、嬰児誘拐事件に始まる話は、殺人もあれば自殺もあり、近親相姦もあり、堕胎もありという、人間に起こりえる様々なドラマを含んだものでした。大河ドラマであり、ミステリでもあり、サスペンスでもあり、かな。1人称で語られていくこともあって、まるで自叙伝を読んでいるような錯覚をしてしまうし、実際にはフィクション作品なのに「事実は小説よりも奇なり」という言葉を思い起こさずにはいられなかったです。歴史の教科書に載っているような無味乾燥なものではなくて、トム・クリックの語る生きた歴史。それこそが「小説」なのかもしれないですね。そんな風に読み手の心にも迫ってくる、大きな力を持った物語でした。(新潮クレストブックス)

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Commentaires(2)

四季さん、こんばんは。
妻の嬰児誘拐のことも、十代のころに起こったことも、ほかのいろいろなことも、こんなに正直に赤裸々に語っていいものだろうか、と思ってしまいました。

「事実は小説より奇なり」ほんとうですね。まさに「生きた歴史」ですね。そして「小説」なんですね。最後にはただもう畏れ入って黙るしかないような・・・
正直しんどい読書だったのですが、最後まで読んでよかったです。

ぱせりさん、こんにちは~。
ほんと、青少年に話すには赤裸々すぎるほどの内容ですよね。
そこを敢えて語ったということで、真実の重みが出たんだろうと思うのですが…
教師がこんな内容語るなんて! ある意味、大博打のようなもの!(笑)
でも、後足で砂をかけるような態度とは真逆だし。
だからこそ、伝えたいものがきちんと伝わったんですね、きっと。

本は分厚いし、内容は重いし、確かにちょっとしんどいですよね。
でも私にとっても、読んでよかったなあと思える読書でした。
きちんと受け止められているのかどうかは、あまり自信ありませんが~。
それでも、教師の話を生徒がそれぞれに受け止めるように
読者がそれぞれに感じて受け止めれば、それでいいのかなと思ったりします。^^

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