「新編 燈火節」片山廣子

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大正時代の歌人であり、松村みね子名義で戦前のアイルランド文学の翻訳をしていた片山廣子さんのエッセイ。
以前フィオナ・マクラウドの「かなしき女王 ケルト幻想作品集」でこの方の文章に触れて、もっと読んでみたいと思ってたんですよねえ。その「かなしき女王」は現代の日本語となってしまってるんですが、こちらの「新編 燈火節」は本来の旧字・旧仮名遣いのまま。

ミッション系の東洋英和女学院を卒業後、歌人・佐佐木信綱に師事し、独身時代は深窓の令嬢、結婚後は良妻賢母の鏡のような令夫人と謳われたという片山廣子さん。ここに描かれていくのは、少女時代の暮らしぶりや結婚してからの日々のこと、短歌のこと、そしてアイルランド文学のこと。戦争を挟んでいるので、時にはかなり苦しい暮らしぶりが伺えるのですが、生来の上品さを失わずに持ち続けているのが印象に残ります。その文章の静謐さ、凛とした姿勢、そして歌人ならではの柔らかな感性がとても素敵。この感覚は、須賀敦子さんの文章を読んだ時に感じるものに近いかも。
昔の短歌の方が色が柔らかかったこととか、お好きなアイルランド文学に関してとか、色々と印象に残る文章がありましたが、その中でも私が特に惹かれたのはアーサー王伝説について語る「北極星」の章。大王ペンドラゴンのひとり子の金髪の少年「スノーバアド(雪鳥)」が山の静寂の中で天の使命を受け、「スノーバアド」から「アースアール(大いなる熊)」になったと宣言、「アーサア」と呼ばれるようになったという物語。このアーサーが天上の夢を見る場面がこの上なく美しいのです。松村みね子訳のアーサー王伝説というのも読んでみたかったなあ。その時はぜひとも旧字・旧仮名遣いで。そして旧字・旧仮名遣いといえば、フィオナ・マクラウドの訳も原文のままが読んでみたい...。松村みね子名義で訳されてるシングの「アラン島」や「ダンセイニ戯曲集」はまだ読んでないんですけど、こちらはどうなのかしら? 今度ぜひ読んでみようと思います。(月曜社)


+既読の片山廣子翻訳作品の感想+
「かなしき女王 ケルト幻想作品集」フィオナ・マクラウド
「ダンセイニ戯曲集」ロード・ダンセイニ
「シング戯曲全集」ジョン・M・シング

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Commentaires(2)

四季さん、おはようございます。
わたしもこの本、好きです。須賀敦子さん、ほんと、似ていますね。(内容じゃなくて、そこから感じるものが、ですよね^^)
上品さ、静謐さ、凛とした姿勢、柔らかな感性・・・そうだなあ、と思います。この本の中から匂いたつようですね。実は読んでいるあいだに内容はどうでもよくなってしまいました。それよりもこの雰囲気に包まれてのゆったりとした読書が、とっても気持ちよかったのです。旧字・旧仮名遣いもうれしい配慮ですよね。

私が好きなのは・・・
  >一月 靈はまだ目がさめぬ
   二月 虹を織る
   三月 雨の中に微笑する
   四月 白と緑の衣を着る・・・
ケルトの暦? 意味わからないけれど(^^)言葉のイメージがとてもすてきでうっとりしてしまいます。


フィオナ・マクラウドの「かなしき女王」これはメモしておかなくては。ぜひとも読んでみたい本になりました。また楽しみが増えました。

ぱせりさん、こんにちは。
この本、ほんと素敵ですね~。
あ、読んでる間に内容がどうでもよくなるって、すごーくよく分かります。
この立ち上がってくるものが、もう何ともいえず素敵で…
いつまでもこの空気に包まれていたいって思ってしまいますね。

そうそう、ケルトの暦も素敵でしたよね!
という私がこの本を知ったきっかけが、そのケルトの暦だったのでした。
感想には書くのをすっかり忘れてしまってましたけど… (^^ゞ

フィオナ・マクラウドもとても素敵ですよ。
現代日本語に変えられてるのが悲しいですが、それでも素敵です。詩の訳は特に。
「アイリッシュハープ」に続くケルト神話になりますね。ぜひぜひ♪

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