「北欧の旅」カレル・チャペック

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デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、そして再びスウェーデンへ。カレル・チャペックの旅行記コレクションの4冊目。今回もチャペック自身によるイラストが多数収められています。

イギリス、チェコ、スペインと続いたチャペックの旅行記、今回は北欧です。これは1936年に、妻のオルガとその兄のカレル・シャインプフルークと共に訪れたデンマーク、スウェーデン、ノルウェーという北欧3国を描いたもの。鉄道や船で巡る旅の記録。カレル・チャペックの人々を見つめる優しいまなざしやウィットの利いた描写は相変わらずですし、色々考えさせられます。例えばデンマーク。

ここはちっちゃな国だ、たとえ五百の島全部を寄せ集めたとしても。まるで小さなパンの一片のようだが、その代りに、厚いバターが塗られている。そう、家畜の群、農場、はちきれそうな家畜の乳房、樹冠に埋もれる教会の塔、さわやかなそよ風の中に廻る風車の肩ーー。(P.25)

でもこれほどまでに豊かな自然を描いたその後で、こんな文章が来るんです。

そう、ここは豊穣の国、バターとミルクの国、平穏と快適の国だ。そう。しかしここでひとつ教えてほしい。なぜこの国は自殺率が世界最高だと言われるのか? それはここが、満ち足りて落ち着いた人たちのための国であるせいではないのか? このうにはおそらく、不幸な人たちには向かないのではないか。彼らはおのれの不運を恥じるあまり、死を選ぶのだろう。(P.30-31)

ほけほけと読んでいていきなりこういう文章が来ると、かなり強烈です。実際、北欧の国は冬の日照時間が短いから鬱になる人が多いとは聞いたことがありますが...。アルコール依存症もとても多いとか。

あと、都心部でのことも色々と描かれてるんですが、私にとって興味深かったのは、まだまだ昔からの自然が残っているような場所。そういった場所が本当にまだまだ沢山あるんですねー。北欧神話やサガで親しんだ、壮大な自然と共に生きる人々の暮らしがここにはあって、ずっと変わることなく続いているんですねえ。チャペックの体験した白夜の描写も美しいです。一度体験してみたくなります。でも白夜があるから冬に長く続く夜があるわけで... それが鬱に繋がるなんて知ってしまうと、能天気に「白夜が見てみたいー」なんて言えなくなってしまうんですよねえ。(ちくま文庫)


+既読のカレル・チャペック作品の感想+
「ダーシェンカ」「チャペックの犬と猫のお話」「園芸家12ヶ月」カレル・チャペック
「イギリスだより」「スペイン旅行記」カレル・チャペック
「ロボット」チャペック
「チェコスロヴァキアめぐり」カレル・チャペック
「北欧の旅」カレル・チャペック

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