「黄金の壷」「スキュデリー嬢」 ホフマン

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昇天祭の日。大学生のアンゼルムスは、市で醜い老婆が商売に出している林檎や菓子の入った籠に突っ込んでしまいます。その辺りにいた子供たちが飛び散った商品に我先にと飛びつき、アンゼルムスは老婆に中身のあまり入っていない財布を渡して逃げ出すことに。せっかくの昇天祭なのに一文無しとなってしまったとアンゼルムスが嘆いていると、ふと頭上の紫丁香花の樹から水晶の鈴のような響きが。そこにいたのは3匹の緑金の小蛇。そしてアンゼルムスはそのうちの1匹に恋をしてしまうのです。それはセルペンチナでした... という「黄金の壷」。
真夜中、サント・オノレ通りにあるスキュデリー嬢の家の戸が激しく叩かれます。それは見知らぬ若い男。侍女が玄関を開けると、外にいる時は哀れっぽいことを言っていた男は家の中に入るなり荒々しくなり、匕首まで持っていたのです。思わず助けを求めて叫ぶ侍女。すると男は小箱を侍女に持たせると、スキュデリー女史に渡して欲しいと言い残して消え去ります。折りしもパリでは宝石強奪事件が相次いで起きていた頃。その箱に入っていたのは見事な宝飾品。当代随一の金細工師・ルネ・カルディラックの作った品だったのです... という「スキュデリー嬢」。

ホフマンの作2つ。「黄金の壷」の方は古本屋で見つけた古い本で、なんと初版が昭和9年! なので当然のように旧字・旧かな使いです。検印もついてるし、題名も本当は「黄金寳壷 近世童話」。でもこれ、面白いことは面白かったんですけど... この作品は、ホフマンの作の中でも傑作とされている方らしいのに、それほどでもなかったんですよね。ホフマンらしい幻想味は素敵なんですけど、肝心のアンゼルムスとセルペンチナの場面が思ったほどなかったからかなあ。もっとこのセルペンチナの一族の話が読みたかったな。この作品では、むしろアンゼルムスに片思いする16歳のお嬢さんの方が存在感があるし、世俗的で面白かったかも。
「スキュデリー嬢」は、ルイ14世の時代を舞台にした作品。ルイ14世はもちろんその愛人・マントノン夫人も、スキュデリー嬢その人も実在の人物。でもこの主人公となるスキュデリー嬢、実は「嬢」という言葉から想像するような若い娘さんじゃなくて、73歳の老嬢なんですね。その年輪が若い娘さんには出せない味を出していて、それが良かったです。そしてこの作品、スキュデリー嬢を探偵役とするミステリでもあります。それほど積極的に事件の謎を解こうとするわけではないし、むしろ巻き込まれた被害者とも言えるんですが... 謎が解けたのも、彼女の推理力のおかげというより、人徳のおかげでしたしね。普通のミステリを期待して読むとちょっとがっかりするかもしれませんが、期待せずに読むと、ほのぼのとした時代ミステリ感が楽しめるかと。

でも「スキュデリー嬢」はともかく、自分が「黄金の壷」をちゃんと読み取れてるのか気になる... 丁度、古典新訳文庫でこの組み合わせが出てたし、そちらも読んでみようかなあ。(岩波文庫)


+既読のホフマン作品の感想+
「クルミわりとネズミの王さま」ホフマン
「悪魔の霊酒」上下 ホフマン
「黄金の壺」「スキュデリー嬢」 ホフマン

「ホフマン短篇集」ホフマン
「黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ」ホフマン

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Commentaires(2)

ホフマンは岩波の短編集がとても面白かったのですが、「黄金の壷」は今ひとつでしたねえ。
私も結構古い本で読んだし、「スキュデリ嬢」は読んでないので古典新訳文庫も気になりますが、わざわざ買いなおすほどの作品でもなかったような気もします。

ああ、piaaさんも今ひとつでしたか。
ホフマンといえば「黄金の壷」なのに(と私は思っていた)
しかも私の好きなモチーフのはずなのに、おかしいなあー
と、かなり不安になっていたのです。
piaaさんも今ひとつだったと伺って、なんだか安心しました。(笑)

古典新訳文庫も、とりあえず書店で見てみるつもりにはしてるんですけどね。
大きな違いがなさそうなら、スルーしちゃうかも。

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