「アンジェラの祈り」フランク・マコート

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1949年10月。19歳のフランク・マコートは船で単身ニューヨークへと向かいます。船の食堂で隣席に座った司祭は、アイルランド出身ながらもロサンゼルスの教区に長いため、アイルランド訛りがほとんど消えているような人物。その司祭に、同じ船に乗り合わせているケンタッキーのプロテスタントの老夫婦はとてもお金持ちなので、愛想良くしておいた方がいいと言われるフランク。しかし顔はにきびだらけで目は爛れており、歯は虫歯でぼろぼろのフランクには、司祭とも満足に話せない状態なのに、老夫婦の前でどうやって振舞ったらいいのかまるで分からないのです。

「アンジェラの灰」の続編。アイルランドから憧れの地・アメリカに脱出しても、なかなか簡単には上手くいかないのは予想通り。しかしアイルランドのリムリックにいる家族は、フランクがアメリカでそこまで苦労しているなんて夢にも思わず、その送金をすっかり当てにしているというのも予想通り。アンジェラ自身、アメリカで上手くいかずに結局アイルランドに戻る羽目になったはずなのに、覚えてないのかな... きちんきちんと送金してるのにそれ以上要求されるとことか、ちょっといやーん。
でもこの「アンジェラの祈り」は、「アンジェラの灰」のように不幸が雪だるま式に膨らんでいく話というわけじゃないんですね。フランクはちゃんと仕送りしてるし、空腹でも何があっても、行き倒れになるわけじゃないんですよね。すっかり不幸な話を読んでるつもりになってたら、リムリックでは新しい服や靴を買うことができてるどころか、新しい家に移ることになってびっくり。そ、そうだったのか。フランクの暮らしも、ほんの少しずつではあっても上向きになっていきます。金持ちにはほど遠くても、きちんきちんと食べていくことのできる暮らし。もちろん、実際には並大抵の苦労ではなかったんでしょうけど... しかも別に私は不幸な話を読みたいわけではないんだけど(むしろそういう話は苦手だし)、なんだか釈然としないものを感じてしまいました...。自分のアイルランド訛りや爛れた目、ぼろぼろの歯にコンプレックスがあって、この世の中で一番不幸そうに振舞っているフランクでも、大学に行くこともできれば、美しい女の子と恋愛することもできるようになるんですもん。いずれにせよ、「アンジェラの灰」の時のようなどうしようもない、出口のないやるせなさはありません。まあ、この人生が最終的にハッピーエンドで終わるのかどうかは、まだまだこれからのフランク次第なんですけどね。
「アンジェラの灰」の灰の意味も、この作品で分かります。でも、そういう意味でも書かれるべき作品だったんでしょうけど、前作の方が力強くて惹きこまれたかも...。前作はそれだけで光ってたけど、こちらは前作あってこその作品なんですよね。(新潮クレストブックス)


+既読のフランク・マコート作品の感想+
「アンジェラの灰」上下 フランク・マコート
「アンジェラの祈り」フランク・マコート

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Commentaires(4)

「ちょっといやーん。」に全く同感です。笑
『灰』の最後の方では、母も働いていたはずなのに、どうしちゃったんだ!、アンジェラ!、などと思ったり。笑

最終的に(って、ノンフィクションだし、自分の人生だって分からないですけど)、フランクの生涯はハッピー・エンドになるのでしょうか。
流石に三作目は出ないかな?笑

しかし、自分とこで書くの忘れちゃいましたけど、しょっぱなの司祭もひどかったですよねえ。
こういう人たちって、ほんとにうようよしてる(た?)んでしょうか…。

つなさん、こんにちは~。
あ、やっぱりつなさんも「ちょっといやーん。」でしたか。(笑)
ねー、あれだけ働き者のアンジェラだったのに!です。
一度緊張の糸が切れてしまうと、もうあとはずるずるなのでしょうか。
もうびっくりしちゃうほど、何もしない人になっちゃいますよね。
自分の役割は終わった、ってふっきったのかな?(笑)

さすがに3作目は出ないように思いますねえ。
アンジェラももういなくなっちゃったし。(2作目の原題はアンジェラに関係なくなってますが)
出すとしたら、もっとずっと年を取って死ぬ前に振り返るような感じでしょうかー。

しょっぱなの司祭、すごいですよね!
でも結構多いような気がします、こういう人って。なんて思うと怖いですけど。(笑)
プロテスタントの牧師さんは結婚できるからいいですけどねー。

四季さん、こんにちは♪

この作品は『アンジェラの灰』から読むべきですよね。
文庫で積んでるのですが、二巻組なので先になりそうです。
土屋政雄訳なんで楽しみなのですが・・・

そう言えば『コールドマウンテン』も土屋さん訳ですよね。
カズオ・イシグロだけでなく重厚な作品の訳って合ってそうですね、土屋さん。

『アンジェラの灰』の方ですが映画化されててケーブルテレビでHD保存してます。
少し見ましたがなかなか綺麗な映像で良さそうです。
読む前に観る方からと思ってます。

それじゃまた。

トラキチさん、こんにちは~。
そうですね、こっちを先に読んでしまうと価値が半減してしまいそうです。
「アンジェラの灰」からぜひどうぞ♪
確かに結構な分量ですが、その長さを感じさせない作品だから大丈夫ですよ。
お休みの日にじっくり読むのがいいかもしれないですね。

「コールドマウンテン」もとても面白かったです。
あれも長いですが長さを感じさせなくて… ってやっぱり土屋さん訳だから?
「エデンの東」もページ数的には長いけど、やっぱり大丈夫です。(笑)

映像化された作品も多いですよね。「コールドマウンテン」もそうだし。
綺麗な映像になってると、それだけでも嬉しくなりますね。

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