「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」14~16 塩野七生

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紀元前31年9月。アクティウムの海戦でアントニウスとクレオパトラの連合軍は敗北し、翌30年8月、エジプトに逃れていた2人は相次いで自殺。そして勝者となったオクタヴィアヌスはローマで3日間にわたる壮麗な凱旋式を行うことに。戦いの神・ヤヌスを祭る神殿の扉も閉ざされ、ヴェルギリウスやホラティウスといった詩人たちも平和への喜びを高らかに謳い上げ... この時、オクタヴィアヌスは34歳を迎えていました。

カエサル死後のローマを制した、ローマ初代皇帝・アウグストゥスを描く巻。
天才肌のカエサル亡き後、冷静沈着なアウグストゥスがいかに王政を嫌うローマ人の反感を買わずに、共和制のローマを帝政に変えていったのか、というのが興味の焦点。自分が持っていた非常時の権力を返上して、元老院に権力を取り返させるように見せておいて、巧妙に自分の地位を固めていくアウグストゥス。細かいことを1つずつ、決して焦らず、時期を見計らって着実に実行していくアウグストゥス。「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない」というのはカエサルの言葉ですが、アウグストゥスが選んだのは、見たいと欲する現実しか見ない人々に、それをそのまま見せるやり方。元老院も民衆もアウグストゥスが巧妙に作りかえていく社会を、これこそ自分たちの求めるものだと勝手に思い込んでたってことなんですねえ。カエサル自身が目指していたこととはいえ、実はこういった仕事ってカエサルよりもアウグストゥスの方が向いてたんじゃないかしら。カエサルだと弁舌さわやかに相手を言いくるめてしまいそうですけど、目立って仕方ないですものね。そのことからも、カエサルの人選は万全だったんだなあと改めて感じさせられます。カエサルの持つ華はアウグストゥスにはないんですけどね。文才もなく、弁舌の才能もなかったアウグストゥス。でも使う言葉は決して間違えなかった、というのがとても印象に残ります。

でもね、学生時代、毎年クリスマスになると行事で暗誦させられてた聖書のキリストの生誕場面にの最初に「そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。これは、クレニオがシリアの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。」というのがあって(ルカによる福音)、そろそろキリストが生まれるんだなーなんて思いながら読んでたんですが、16巻を読んでみると、紀元元年前後に国勢調査が行われたという事実はなかったんですって。びっくり! すっかり事実なのかと思い込んでましたよー。

それにしても... 16巻だけ書影が色褪せてキタナイ感じなのはなぜ?(笑)(新潮文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず」1・2 塩野七生
「ローマ人の物語 ハンニバル戦記」3~5 塩野七生
「ローマ人の物語 勝者の混迷」6・7 塩野七生
「ローマ人の物語」8~10 塩野七生 「ガリア戦記」カエサル
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」8~10 塩野七生(再読)
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以降」11~13 塩野七生
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」14~16 塩野七生
「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち」17~20 塩野七生
「ローマ人の物語 危機と克服」21~23 塩野七生
「ローマ人の物語 賢帝の世紀」24~26 塩野七生
「ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず」塩野七生

+既読の塩野七生作品の感想+
「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」塩野七生
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」塩野七生

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