「ケルトの森・ブロセリアンド」田辺保
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偉大なる魔法使いマーリン、禁断の愛をつらぬく騎士ランスロット、可憐な妖精ヴィヴィアーヌ、そして勇壮無比のアーサー王などが躍動するケルトの森。豊饒な「物語」を胚胎してヨーロッパ文化の基層に横たわるケルトの精神の源泉を求め、時空を越えて旅する馥郁たる文学紀行。...というのはamazonにあった紹介そのままなんですが。
アーサー王伝説の残るブルターニュの不思議の森・ブロセリアンド。この本で取り上げているのはブルターニュなので、あくまでもフランスにおけるケルトです。内容的にはあまり目新しいものはなかったし、私としてはいらないなという歴史的事実も多かったんですが... 現在のブロセリアンドの森にもあまり興味がないですしね。でも新たな発見もいくつか。ブルターニュって、「ブリタニア・ミノール(小ブリタニア)」という言葉から来てたんですね! なんで私ったら今までこんな基本的なとこに気付かなかったんだろう!
丁度塩野七生さんの「ローマ人の物語」のパクス・ロマーナの部分まで読んだところなので、この本にもカエサルのことやパクス・ロマーナのことが出てきていいタイミング。「ガリア戦記」はカエサル視点だし、「ローマ人の物語」はカエサルを含めたローマ視点、でもこちらの本はもちろんケルト人(ガリア人)視点です。
そしてこの本で面白かったのは、ランスロットとグィネヴィアの恋について。愛する女性に忠実を守っていない男は誰もそこから2度と戻れないという「帰らずの谷」のエピソード。ランスロットとグィネヴィアの恋は、キリスト教的には不倫でしかないんですけど、ランスロットはグィネヴィアにとっては、この谷から再び出られるほどの完全に忠実な恋人。モーガン・ル・フェイもそれは認めざるを得ないんです。でもそれはあくまでも異教的な考え。最初はそれでよかった話も、キリスト教的なモラルが浸透してくると、ランスロットは罪の意識に苛まれるようになるし、結局聖杯も彼の手には入らないんですよね...。こういう話にキリスト教が入ってくると、ほんと詰まらなくなっちゃうから嫌だわ!(青土社)
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