「囚われちゃったお姫さま」パトリシア・C・リーデ

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モーニング山脈の真東にある大きな王国・リンダーウォールの7番目の姫・シモリーンはお姫さまらしくないお姫さま。上の6人は金色の長い髪にやさしい性格で、下にいくほど美しいのに、シモリーンは髪の毛は真っ黒で、いつも三つ編みのおさげにしてるだけ。しかも背も高いのです。お姫様としてのたしなみのレッスンがつまらなくて仕方のないシモリーンは、レッスンを抜け出しては剣術を習ってみたり魔法を習ってみたり。その他にもシモリーンが興味を持つのはラテン語だったり、料理だったり、経済学だったり。そんなシモリーンに困った王様とお妃さまは、シモリーンが16歳になった時、金髪に青い目のハンサムなセランディル王子と結婚させようとします。しかしこれがろくな話もできないような退屈な王子さまなのです。結婚なんてまっぴらのシモリーンは、お城で出会ったカエルのアドバイス通りに「城出」を決行。行き着いた先はドラゴンでいっぱいの洞窟でした。シモリーンは自ら囚われのお姫さまになることを志願することに。

昔ながらのファンタジーの常識を逆手に取った作品というのは、最近の流行なんですかね? 先日読んだ「六つのルンペルシュティルツキン物語」(感想)も面白かったんですが、こちらも面白い~。もう最高!
ここに登場するシモリーン姫は、あるべき「お姫さま」の姿にうんざりして、自分から城を出てしまったお姫さま。しかも自らドラゴンの囚われの姫に志願してしまいます。「これなら親も文句ないでしょ?」といった調子。だってドラゴンに囚われるのはお姫さまのステイタスで、良い結婚に繋がるんですもん。...そんな風におとぎ話としての定石を踏まえつつ、少~しずつずらしていくのって、なんて楽しいんでしょうね。「そして2人はいつまでも幸せに暮らしました」だけを目指してる、なあーんにも考えていない王子さまやお姫さまに比べて、シモリーンはほんと生き生きとしてて可愛いです。お姫さまという役回りにこそ上手く順応できてないけど、きちんと自分の足で立ってて、誰を頼るのでもなく、自分自身で幸せになれる賢さを持っている女の子。でも世間一般的には「ドラゴンに囚われたお姫さま」なので、シモリーンを救い出すために王子が何人もやってきちゃうんですね。もちろん結婚するはずだったセランディル王子も。何てったって、ドラゴンや巨人、人喰い鬼、恐ろしい妖精の呪いから救うのが、王子が姫に求婚する時の「正しいやり方」なんですから。(笑)

シモリーンと気の合うアリアノーラも、一見ごく普通のお姫さまに見せておいて実は案外しっかり者で可愛いし、シモリーンを預かるドラゴンのカズールの洞窟がとても素敵なんです。料理や掃除をやっても構わないから、私もカズールの洞窟の図書室や宝物部屋を探検してみたい~。それに何といっても昔ながらのおとぎ話や伝説の小ネタが沢山詰め込まれているところが楽しすぎます。眠り姫やシンデレラ、かえるの王子さま、アラジンの魔法のランプ、オズの魔法使い... しかも途中で登場する王子の英雄養成学校での同級生はジョージにアーサーにジャック! 私にはこれがツボでした。(でも全部のネタが分かってるわけじゃないです... 全部知りたい☆)
これは「魔法の森」シリーズの1作目で、全部で4部作の予定なんですって。続きもすっごく楽しみ~。絶対読みます!(創元ブックランド)


+シリーズ既刊の感想+
「囚われちゃったお姫さま」パトリシア・C・リーデ
「Dealing with Dragons」Patricia C. Wrede
「消えちゃったドラゴン」パトリシア・C・リーデ

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Commentaires(2)

私も大好きです!

「魔法の森」シリーズの翻訳を待ち望んでいますが、ペースが遅いです。
これはやはり原書に手を出すしかないかも、と危惧しています。
(読み始めると次作が出そうな気がします)

それから、ひょっとしてシモリーンには会えないような・・・。

創元ブックランドのHPを首を長くして見つめています。

わあ、きゃろるさんもお好きでしたか。
これ、ほんと面白かったですね!
同じく現代的味付けの「六つのルンペルシュティルツキン」は
面白かったんですけど、どこかちょっと物足りないとこもあったんです。
でもこの作品はそんな物足りなさが全然なくて大満足です。
ほんと、原書に手を出したくなる作品ですね。
アマゾンに4冊セットもあるし… いやーん、欲しーい!

ああー、そうか、シモリーンには会えないというのもあり得ますね。
次はモーウェン辺りが主人公になったりして…
って、原題だと「Enchanted Forest Chronicles」になってるんですね。
年代記ということは、ほんと会えないのかもーーー。
シモリーン、可愛いのになあ。
でもドラゴンはずっと登場しそうですね。
ああ、読みたいです。

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