「ウォルター・スコット邸訪問記」ワシントン・アーヴィング

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1817年8月29日。スコットランドの境界地方にあるセルカークという古めかしい小さな町に到着したアーヴィングはそこに1泊することに。アーヴィングがエディンバラからこの地にやって来た目的は、まずメルローズ寺院の遺跡とその周辺を訪れること、そして「北方の偉大な吟遊詩人」ウォルター・スコットに一目会うこと。翌朝、早い朝食を取ると、アーヴィングはメルローズ寺院に向かう途中でウォルター・スコットの住むアボッツフォード邸に寄り、都合を聞くだけのつもりだったはずのところを思いがけず暖かい歓待を受けることになります。

ワシントン・アーヴィングというのは「リップ・ヴァン・ウィンクル」や「スリーピー・ホロウ」を書いた人。「スリーピー・ホロウ」は、ジョニー・デップ主演でティム・バートンが映画化してますよね。そのアーヴィングの才能が花開く転機となったと言われているのが、このスコットランドへの旅なのだそうです。
最初は紹介状を持参でほんの短い時間だけ訪問をするつもりだったアーヴィングなんですが、ウォルター・スコット自身に会った途端、その計画は簡単に崩れ去ってしまいます。既に朝食を食べていたにも関わらず、スコット邸で2度目の朝食を食べることになり... 「スコットランドの丘陵の朝の澄み切った美味い空気を吸いながら馬車を走らせて来たのなら、もう一度朝食をとるぐらい、なんでもないはずだ」(by ウォルター・スコット)ですって!(笑) そして朝食の後は、ウォルター・スコットの長男の案内でメルローズ寺院へ、それが終わればウォルター・スコットの案内で周辺の散歩、翌日はヤロー川にまで足を伸ばしての散策、次の日は馬車でドライバラ寺院へ、とすっかり計画が立てられてしまうんです。そんなアーヴィングがスコット邸に滞在した数日間が描かれているのがこの本です。
私はウォルター・スコットの作品が大好きだし、スコットランドにも興味があるので、すっごく楽しめました。やっぱり民族の歴史や地方の伝説に対して深い造詣があった人なんですねえ。アーヴィングとの会話のはしばしに、土地の伝説や物語が織り込まれているのも楽しいし、特に詩人トマスが妖精の女王に会った場所が本当にあるなんて、行ってみたくなっちゃいます。それに、そんな物語や伝説の残るスコットランドの地やその自然をこよなく愛して、そこに暮らす毎日を楽しんでいる様子がすごく伝わってきます。しかも、その当時既に巨匠とされていたウォルター・スコットなのに、土地の人たちと気軽につきあう気さくな人柄が素敵。周囲の人々もウォルター・スコットを敬愛してますしね。もちろんアーヴィング自身も。でも黙って想いを胸にしまっておけない性分だというアーヴィング、実際に目にした境界地方にまるで樹木がないことに失望して、そのことをウォルター・スコットに伝えたり、ここ数年スコットランドに溢れているイングランド人観光客たちについてこぼすウォルター・スコットに対しては、それはロマンティックなイメージを描き出したウォルター・スコットにもかなりの責任があるのではないかと言ったりしてます。そんなアーヴィングの率直なところも好印象な作品です。
元々ウォルター・スコットの作品は全部読みたいと思ってましたが、その思いがますます強くなっちゃいました。未訳の「ロブ・ロイ」も、ぜひ日本語に訳していただきたい~。それに「マーミオン」みたいな絶版の本も、ぜひ復刊していただきたいです~。(岩波文庫)


+既読のワシントン・アーヴィング作品の感想+
「ウォルター・スコット邸訪問記」ワシントン・アーヴィング
「スケッチ・ブック」ワシントン・アーヴィング

+既読のウォルター・スコット作品の感想+
「アイヴァンホー」上下 スコット
「湖の麗人」スコット
「最後の吟遊詩人の歌」ウォルター・スコット
「マーミオン」ウォルター・スコット

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Commentaires(2)

ロブロイを調べていてこちらにたどり着きました。スコットランドにはまだ行ったことがないのですが、調べれば調べるほどどんどん魅了されて行きます。「ウォルター・スコット邸訪問記」も是非読んでみたいです。ブログでご紹介いただきまして有難うございます。

青樹洋文さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
ロブロイですかー。
私はウォルター・スコットが大好きなのですが、ロブロイは未読で…
以前訳されたことがあるようなんですが、既に絶版だし、映画も観てないのです。
いつかぜひ読みたい作品です!(映画はできたらその後で)

「ウォルター・スコット邸訪問記」はとても良かったです。
スコットランドの風景が目の前に広がるようでしたし
ウォルター・スコットの人となりもとても興味深く読めました。
機会があれば、ぜひ読んでみてください。^^

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