「ちよう、はたり」志村ふくみ

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これまで読んだ「一色一生」「語りかける花」「色を奏でる」は、基本的に糸を染める話だったはず。あとはその糸を織ったり、そういった仕事を通して出会った出来事や人々のエピソード。もちろん今回もそういう話が多いんです。志村ふくみさんが初めて織り上げた着物「秋霞」の話は何度か登場することもあってとても印象的だし、偶然巡り合ったみづね桜を染める時の色の霊力の話や、染める時は花が咲く前に幹全体に貯えた色をいただくという話、いつか日本の紫草で染めたいという話などもとても素敵。題名の「ちよう、はたり」も、遠くからかすかに聞こえてくる機の音。

でも今回は、海外へ行った時のエピソードや志村ふくみさん御自身が読まれた本の話など、話題がこれまでになく広がっていたように思います。例えば韓国で母娘の染織展を開くことになった話。例えば正倉院の染織のルーツを辿るためにイランを訪れる話。「私はかつて、世界で最も美しいものの降り注いだ国はペルシャだと思い定めていた」という言葉... これは私自身も思っていたことなんですけど! 写真や書物を通してしか知らないペルシャですが、あのモスク、美しいブルーのタイル、ペルシャ絨毯、アラビア文字... 私も実際行ってみたら「人は外国にいってはじめて故国のことがわかるものだ」とつくづく思うようになるのでしょうか。
本の話も興味深いですね。インドに持っていったグレアム・グリーン、トルコやイランに持っていったドストエフスキー。富本憲吉氏の「織の仕事はいやでも毎日する、何かほかのことをやりなさい、私は数学と建築の勉強だった。あなたは何か?」という問いに対する志村さんの答は「本を読むことです」。それを聞いた富本憲吉氏の「よし、きまった。それが栄養源だし、潤滑油なんだ」という言葉。とても印象に残ります。(ちくま文庫)


+既読の志村ふくみ作品の感想+
「語りかける花」志村ふくみ
「ちよう、はたり」志村ふくみ
Livreに「一色一生」「色を奏でる」の感想があります)

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