「アーサー・ランサムのロシア昔話」アーサー・ランサム

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最初はアンデルセンのようなフェアリー・テイルを書きたいと考えていたアーサー・ランサム。しかしその後ロシアの昔話の翻訳書を偶然手にした時、話そのものは楽しいのに、言葉も文体もひどくて子供向きではないことに衝撃を受け、ロシアに行って言葉を学び、自ら昔話を収集して翻訳する決意を固めたのだそう。そして翌年ロシアに向かったランサムはロシア、コーカサス、ウクライナ、トゥルケスタンから昔話を採集し、「ピーターおじさんのロシアの昔話」を書きあげます。この「アーサー・ランサムのロシア昔話」は、その第2弾のために用意していたものの、結局日の目を見なかったという作品を集めた物語集。
「鳥とけものの戦争」「白鳥の王女」「オメリヤとカワカマス」「高価な指輪」「キツネ話」「貧すれば貪するという話」「小さな家畜」「ジプシーと聖ジョージ」「天国のかじや」「兵隊と死神」「二人の兄弟」という全11編。

子供の頃、ツバメ号シリーズを愛読していたので、アーサー・ランサムの名前はお馴染みだったし、この本の存在は知ってたんですけど、なんでアーサー・ランサムがロシア...?と思ってしまって、なんとなく手に取れずにいたんですね。でもその辺りもちゃんと説明されていました。しかも面白かったー。

ロシアの民話にはロシアの民話での常識というのがあるし、それはロシアの人なら教えられなくても既に知ってること。でもそういうのはイギリス人は知らないことですしね。そのまま話を載せても仕方ないと、ランサムは結構苦労して工夫を凝らしたようです。「ピーターおじさんのロシアの昔話」では、ピーターおじさんが毎晩孫のワーニャとマルーシャに物語を語る形式になっていて、その枠の部分にロシアの昔話の理解に必要な説明を挿入。そのことによって昔話そのものもすっきりと面白くできたのだとか。こちらの「アーサー・ランサムのロシア昔話」は遺稿集なので、きちんとした枠物語になってるわけではないんですが、それでも語り手の存在は感じられるように書かれてるので、とても話の中に入りやすいです。
ただ、まえがきに、「全体の傾向は『ピーターおじさん』よりもやや暗鬱だろうが、これもまた、むかしから暗い面を持っているロシア農民世界の真実の姿なのである」とありましたが... それほど暗鬱とは思わなかったんですけど? 確かに「兵隊と死神」は、アファナーシェフの「ロシア民話集」(感想)の方が救われる結末となってましたけど、別に暗鬱とは思わなかったですねえ。むしろそんな風に結末が違うというのが興味深いです。それに例えば、結婚したカエルが最後に若く美しい王子に変わることはなくて(実際にはカエルは登場しませんが、例えばね)、「そんなうその話をしてみてもしょうがない」なんて言われると、逆に楽しくなってしまいますー。でも訳者あとがきを見ると「ピーターおじさん」にはもっとずっとスケールの大きい明るい物語が収められてるみたい。そちらも読んでみたいので、今度また図書館で借りて来ようっと!(きちんとした題名は「ピーターおじいさんの昔話」のようです)(白水社)


+既読のアーサー・ランサム作品の感想+
「アーサー・ランサムのロシア昔話」アーサー・ランサム
「ピーターおじいさんの昔話」アーサー・ランサム

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Commentaires(2)

こんにちは。
「アーサー・ランサムのロシア昔話」、これも本屋で見て気になってました!
アーサー・ランサムといえばやっぱりツバメ号シリーズですよね☆
なので私も四季さんと同じく「アーサー・ランサムがロシア・・・?」と思いました。
面白そうですね。

でも、ツバメ号シリーズはすごく好きなんですがまだ読破してないんです。
夏休みとか冬休みの長期休暇にこの本をゆるやかに読むのが私の好きな読み方です。
子どもの頃の幸せな時間に浸れます☆

話が脱線してしまいましたが、この「ロシア昔話」も読んでみたいですね。

おじゃまいたしました♪

Mrs.Holmesさん、こんにちは!
わあ、Mrs.Holmesさんもランサムといえばツバメ号なのですね~。(嬉)
私も子供の頃から大好きで! ランサムといえばツバメ号です。
でも、分厚い本が全12巻ですしね、児童書とはいえ字も小さいし。
図書館でもこの本が借りられてるとこはあまり見かけないんですよ。
いい作品なのに、勿体ない!!

で、なぜランサムがロシア?と思いつつ(笑)
今回復刊してたのをいい機会に手に取ったんですが、面白かったですよー。
こちらはツバメ号に比べるとあっという間に読めますし(笑)
機会があればぜひ手に取ってみてくださいね。挿絵も雰囲気があって素敵ですし。

ツバメ号のシリーズ、まだ未読の本が残ってるなんて羨ましいです。
長いお休みの間にじっくり楽しむなんて素敵。
ちょうど夏休みとか冬休みのお話が多いですものね。
ゆっくり楽しんでくださいね。^^

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