「西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇」ティルベリのゲルウァシウス

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第1部では「天地の創造とそれらが配列され装飾された仕方」、第2部では「世界を三つの部分に区分し、その各部を土地や時代に応じて、起こっては倒れた王国の叙述とともに論じた」という著述の、第3部を収めたのが本書。神聖ローマ帝国のオットー4世に、公務の合間の時間に語り聞かせるために集められた各地方の驚異現象集。

ティルベリのゲルウァシウスというのは12世紀の聖職者だったという人物。このゲルウァシウスが南仏やスペイン、イタリアやイングランドで直接採集、あるいは友人から仕入れた不思議な話、訪れた土地で実際に体験した不思議な出来事が全部で129話、まことしやかに語られていきます。自分自身で体験しなかったら、自分の目で見なかったら、こんなの到底信じられなかったはず~と言ってみたり、聖書や聖アウグスティヌスの「神の国」など古典的著作を引き合いに出しながら、そういった怪しげな話の真実味を出すやり口がすごく巧みで、それでいて語られる話は突拍子もないものが多いのが面白いんですよね。特に驚いたのは、途中で魔術師として登場するヴェルギリウス。これは古代ローマの詩人のヴェルギリウスと同一人物。「アエネーイス」を書いた偉大な詩人が、一体いつの間に魔術師になってしまったんでしょう! でもこれって、特にイタリアで好まれた逸話なんだそうです。他にもナポリの肉市場には肉を腐らせないような魔術がかけられていたり、どちら側を通るかによって幸運が左右される市門のパロスの頭像があったり、風を変える喇叭をくわえた男の青銅像などなど、奇妙奇天烈な話がいっぱい。
欧米の中世史家の間では人気急上昇中の作品なのだそうです。博物誌系の本が好きな人は楽しめるでしょうね。私は読んでてちょっと疲れたけど。(笑)(講談社学術文庫)


+シリーズ既刊の感想+
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