「大好きな本 川上弘美書評集」川上弘美

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読売新聞の書評委員を2年、朝日新聞で4年、そして現在再び読売新聞で4年目、という川上弘美さんが新聞紙上に書いた書評が中心となった本。川上弘美さんのお好きな本、全144冊が紹介されていきます。

書評集や読書案内って、いくつかパターンがあると思うんですよね。真っ先に出てくるのはやっぱり「そこに紹介されてる本を全てを読みつくしたくなるもの」。私にとっては、石堂藍さんの「ファンタジー・ブックガイド」(感想)がこれに当たります。実際、ここに紹介されてる本はかなり読みました。全部で400タイトルぐらい紹介されてるので、まだまだなんですけどね。石堂藍さんと東雅夫さんの「幻想文学1500ブックガイド」(感想)も、どんどん読みたくなる本。こちらは、私があまり得意ではない分野のも紹介されてるので「全部読みたい!」とまではいかないんですが。そして先日読んだ小川洋子さんの「心と響き合う読書案内」(感想)の場合は、「未読の本が読みたくなるのはもちろん、既読の本ももう一度読み返したくなるもの」。よく知ってるはずの本でも、今の自分ならどう感じるんだろうって読み返したくなっちゃう。こういうのもとても素敵ですよね。
「既読の本について考察が深まって面白いもの」もありますね。紹介されている本を読んだ後で、そのことについてのページを繰りたくなるような本。水村美苗さんと辻邦生さんの往復書簡「手紙、栞を添えて」(感想)や、須賀敦子さんの「本に読まれて」(感想)がそういうタイプ。この手の本は、未読の本のところに差し掛かると、自分が読んでいないことがものすごく悔しく感じられてしまいます。私も早く読んで、このページを読み返したい!と焦ってしまうー。そして自分がその本を読んでから該当部分を読み返すと、ずしんずしんとくるタイプ。
逆に「未読の本も既に読んだ気になって満足してしまうもの」もありますね。例えば河合隼雄さんの「子どもの本を読む」(感想)「ファンタジーを読む」(感想)がそうでした。「ファンタジーを読む」で紹介されてる本はほとんど既読だったから良かったんですけど、「こどもの本を読む」は半分ぐらいで...。河合隼雄さんの心理学者の視点ならではの深い解釈がとても魅力的で、すごく興味深く読んだんですが、未読の本も既に読んだような気がして満足してしまい...。

この川上弘美さんの書評集は、私にとって「既に読んでいる本についてはとても楽しく興味深く読んだけれど、あまり新たに読みたいという気持ちにはさせないもの」でした。決して面白くなかったわけではないのです。それどころか、すごく面白かったんですよー。川上弘美さんなりの「読み」がすごく興味深かったし、特に既読本に関しては「なるほどな」と思わされる部分も多かったし、自分がうっすらと思っていたことをそのまま言葉にしてもらえたような快感も。でも、未読本に関しては、なんだかまるでその本をお題に書いたエッセイを読んでいるような感覚だったんですよね。川上弘美さんがあとがきで「取り上げた本を読んでいない読者の方に、ほとんどわからないようなことを平気で書いていることにも、驚いた」と書いてらっしゃるんですけど、もしかしたらそこに通じるのかもしれません。きっと、作家としての川上弘美さんの作品を追い続けているファンの方にとっては、どれもこれも読みたくなるんだろうな、川上弘美さんらしい文章に浸ってるだけでも幸福感を感じるんだろうなと思いつつ...。いえ、私も川上弘美さんの作品は好きなんですけどね。
「川上弘美書評集」とあるし、これは確かに書評集なのかもしれません。が、私にとっては書評というよりも川上弘美さんのエッセイを読んだような気分になった1冊。分厚い本なのにその厚みを感じさせない、素敵なエッセイ集でした。...読み方、間違えてる?(朝日新聞社)


+既読の川上弘美作品の感想+
「古道具中野商店」川上弘美
「大好きな本 川上弘美書評集」川上弘美
Livreに「神様」「なんとなくな日々」「センセイの鞄」「パレード」の感想があります)

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Commentaires(2)

 おはようございます。
 最近何故かロムばかりになっておりました。川上弘美さん。あの微妙に繊細でいながら少し日常がずれた感じが好きなんですけれど最近とんと読んでいませんでした。エッセイのように楽しい書評集ということであればちょっと読んでみようかなという気になってきました。
 ガイドブック的な本で気にいったら、それこそおっしゃるようにそこに出ている本を次々に読みたくなる口なのでそのあたりがちと心配ではあるのですけれど。
 

樽井さん、おはようございます。
私も最近ロムばっかりですみません… どうも書くタイミングが。
その後、「木のぼり男爵」は、読み終えられました?

川上弘美さん、気になりつつあまり読んでないんですが
「センセイの鞄」とか「神様」とか、大好きです。
これね、「こんな書評を書きたい」と仰ってる方がいて手に取った本なんですよ。
確かに感じたことが素直に表現されてて、それがとても素敵なんです。
そこが私にはエッセイのように感じられてしまったとこなんでしょうけどね。(笑)

私はそれほど読みたい気分にならなかったですけど
「読みたい本が一気に増えた」と仰ってる方も沢山いらっしゃるので
樽井さんももしかしたらツボに入るかもしれませんよ~。^^

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