「ホーミニ・リッジ学校の奇跡!」リチャード・ペック

Catégories: /

 [amazon]
8月、独身の女性教師・マート・アーバクル先生が40歳で突然の他界。ホーミニ・リッジ学校はインディアナ州の中でも最も辺鄙な地域にあり、教室は手入れの行き届いていない旧式のものが1つあるだけ。生徒は落ちこぼればかり。こんな学校に新しい教師を見つけるのは至難の業だし、教育委員会ですら学校を続けるのは割に合わないと考えているのを知っていたラッセルと弟のロイドは、とうとう学校が閉鎖される、と期待に胸をふくらませます。しかし教育委員会の決定は閉鎖ではありませんでした。なんと町の高校に通っている17歳の姉のタンジーが教師として抜擢されたのです。

20世紀初頭のアメリカの田舎の町が舞台。全身を洗うのは1週間に一度、冬にならないと靴をはいたり下着をつけることもない子供たち。交通手段は馬車が主流で、特別列車で最新の蒸気エンジンと脱穀機がやって来る日には、30キロ周辺に住んでる男たちは、もう大人も子供も駅に集まってきちゃう。そして1904年モデルの鋼鉄製の攪拌分離式脱穀機に目も眩むような思いをするのです。そんな古き良きアメリカの田舎町が愛情たっぷりに描かれていきます。
この田舎町の学校で新任教師となったのは、17歳のタンジー。あんまり若いので、タンジー自身がこの学校の生徒で、勉強に苦労してた時のことを知っている生徒もいるんですよね。そういうのって相当やりにくいはず。その上、目が離せない悪がきたちの中には実の弟もいるし、さらには学校のトイレが火事になったり、教卓の引き出しに大きな蛇が入っていたり。でもタンジーは初日から、反抗的なパール・ニアリングを従わせて、学校になんか来たくなかった「ちびパンツ」も手懐けてしまうし、やる気のない生徒たちの頭に次々に知識を詰め込んでしまうんです。怖~いファニー・ハムラインおばさんに対峙した時も一歩も引きません。その毅然として教師ぷりは、若干17歳の少女とは到底思えなくて、とっても素敵。作られた人物だからというわけではなく、タンジーだからこそ、と素直に思えます。それだけに、タンジーの教員の仮免許状付与の審査のためにパーク郡教育長と副教育長がきた場面では、読んでいるこちらまで思わずどきどきしてしまうのですが...。この日のファニー・ハムラインおばさんは素敵でした♪
そんな波乱万丈な毎日が、ラッセルのユーモアたっぷりの口調で語られていくんですけど、やっぱり一人称だから、そこは信用しきれないところもあって。だってラッセルにかかると、タンジーは「田舎くさくて、骨ばった体つき」「年が上というだけでなく体も巨大」「男みたいに大柄で、先生みたいにいばってる」なんですよ! どんな大女かと思ってしまうんですけど、どうやらラッセル以外の人間の目には少し違う風に映っているようで...。ふふふ、騙されました。もちろん「合衆国で最悪」のパンやパイを作るモードおばさんに代わって、夏の休みの間は家に帰ってきているタンジーが食事の支度をしてくれることとか、キャンプに行くラッセルとロイドのために山のように食料を持たせることとか、「ショートニング入りビスケットは、わたしが焼いたものよ」なんて声を潜めるタンジーに、最初から母のような愛情を感じてはいたんですけどね。
最後の最後で語られる後日談も微笑ましくて、「そうなったんだ...!」と、びっくりしつつも納得してみたり。とても幸せな読後感です。(創元ブックランド)


+既読のリチャード・ペック作品の感想+
「ホーミニ・リッジ学校の奇跡!」リチャード・ペック
「ミシシッピがくれたもの」リチャード・ペック

| | commentaire(2) | trackback(0)

Trackbacks(0)

「ホーミニ・リッジ学校の奇跡!」リチャード・ペック へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

Commentaires(2)

四季さん、こんにちは。
わたしもこの本大好きです♪
古きよき時代のアメリカの田舎町の雰囲気、いいですよね。
タンジーもファニー・ハムラインおばさんもいいですよね。女性達が元気なのがいいです~。
タンジーの姿は、うふふ、そうかラッセルの目で見た姿だったんですね、こいつめ~。
「あらまあ」の後日談も、すてきですよね。ほのぼの~。ほんっと、とっても幸せな読後感ですよね~。

リチャード・ペック、大好きです。「シカゴよりこわい町」「シカゴより好きな町」は読まれました? ファニー・ハムラインおばさんみたいなおばあちゃんが大活躍するんですけど^^ 私は、この二冊が一番好きなんです。

ぱせりさん、こんにちは。
古きよきアメリカ、素敵でした~。読んでてなんだかとっても気持ち良くて!
うんうん、タンジーもファニー・ハムラインおばさんも元気だしかっこ良かったし。
でもタンジーが実はあそこまでモテてたとは、びっくりですよね。
もうラッセルったら~~~。です。(笑)

実はリチャード・ペックを読むの初めてなんですよ。
この作品で気に入ったので「ミシシッピがくれたもの」を明日借りるつもりなんですが
ぱせりさんは、その2冊がお好きなんですね!
じゃあ「ミシシッピがくれたもの」を読んだら、その次に借りて来ようっと。
楽しみです。ありがとうございます。^^

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.