「夢魔のレシピ 眠れぬ夜のための断片集」レメディオス・バロ

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スペイン出身の女性シュールレアリストの画家・レメディオス・バロの書いた散文や自作解説を集めた本。みたい夢を見るためのレシピや、実際に見た夢のこと、自動記述などの「夢のレシピ」、擬似学術論文や創作した手紙、物語や劇の断片の「魔女のテクスト」、バロ自身によるバロ展「イメージの実験室」、インタビューや書簡を集めた「地球の想い出」、バロ自身の生い立ちやレオノーラ・キャリントンとの交友を綴る訳者・野中雅代による「メキシコの魔法の庭」の全5章。1999年のレメディオス・バロ展の開催記念として出版された本。

寓話的で幻想的な絵画の多いレメディオス・バロ。私が知ったのは、小森香折さんの「ニコルの塔」(感想)を読んだ時で、それでものすごく好きになっちゃったんですよね。レメディオス・バロ関係の本がどれも入手できなくて、洋書で画集を買ってしまったぐらい。ガルシア・マルケスの「百年の孤独」(感想)や、トンマーゾ・ランドルフィの「月ノ石」(感想)もバロの絵が表紙に使われていたし、サンリオ文庫版のトマス・ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」もそうみたい。

この本に収録されているバロの絵は全て白黒なので、作品自体は画集などで見るのがお勧めなんですが、バロ自身による作品解説があるのがとても興味深いんです。それに楽しそうなお遊びも色々と。全体的には、正直あまり文才があるようには感じられないんですが(失礼)、それでもバロの絵の1枚1枚の背後に確かに存在する物語を感じることができるような1冊。バロの自由な精神とその遊び心、どこか抑圧された不安定さ、などなど。
面白かったのは、「エロティックな夢をかきたてるレシピ」。これはブルトンを中心にパリのシュールレアリストたちがよくしたというゲームで、社会の常識をブラック・ユーモアで覆し、同時に想像力を解放するというものなのだそう。バロはメキシコに行った後もレオノーラ・キャリントンらの友人とこのゲームをしているんですね。この「エロティックな夢をかきたてるレシピ」もその1つ。本当の料理本のように、まことしやかに作り上げられたレシピは、時にブラックユーモアを交えながらも明るい遊び心たっぷり。
親友だったというレオノーラ・キャリントンのことにも頻繁に触れられていました。彼女もシュールレアリストの画家。「耳ラッパ」「恐怖の館」などが刊行されてるので、こちらも近いうちに読むつもり。


バロの絵が表紙になってる本を集めるとこんな感じ。右2冊は洋書で、私が持ってるのは右から2番目。

    

アマゾンの和書ではバロの本は2冊しか見つからなかったんですけど、そのうちの1冊が今回読んだ「夢魔のレシピ」で、もう1冊はリブロポートから出ている「予期せぬさすらい」。これが私の持っている「Remedios Varo: Unexpected Journey」の日本語訳みたいです。(工作舎)

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Commentaires(2)

サンリオ文庫「競売ナンバー49の叫び」、持ってました★
過去形なのは、ネットオークションで売ってしまったからですが、かなり値段がついた記憶があります(∂_∂)

表紙に使われてた絵は、これ。
http://www.turingmachine.org/remedios/picture11.html

レメディオス・バロで検索してみると、けっこういろんな絵が出てきます。
著作権法的には、まだ三年ほど早いんですが、Wikipediaにすらアップされてますねw

ネットを始めたばかりのころ、興味があって、よく検索してたんですが、その頃はあまり情報がなかったのになあ。
今は、当時とは全然違って、情報がいっぱい。

バロさん、あの時代の進歩的なアーチストによくあるように、「美人風」(゚▽゚*)
かなりポーズとか作った、アートなお写真になっています。
http://www.cornermag.org/corner02/page04a.htm

以前は気づきませんでしたが、最近は私は神秘主義にちょっと知識があるので、バロの絵がそうとう露骨に神秘主義的なアイテムを描いているのがわかります。
以前、興味を持ったのは、たんに絵の雰囲気が気がかりだったからですが、今はむしろ神秘主義の観点から、強く興味を覚えました。

この本も、近いうちに読んでみたいです。
自作解説があるのが、特に楽しみ。

…私は、じつはもうすぐ引越し。
京都を離れ、姫路に帰るんです。
姫路の図書館にもあるかなあ。。

overQさん、こんにちは!
わあー、持ってらしたんですね。>サンリオ文庫
表紙は「大地のマントを刺繍する」だったのかあー。
この絵、ものすごく素敵ですよね。
ふふふ、ここ数年でネットの情報量はものすごい飛躍ですものね。調べ放題。
今どきの学生は本を読んで調べるってこと、あまりないのかも。

バロさんはいかにもラテン系の顔立ちですね。
あくまでも「美人風」であって、「美人」ではない?(笑)
でも多分実際に対面したら美人オーラがふんだんに出てたのではないかと予想。
ラテン系といえば、上で記事を書いたレオノーラ・キャリントンも
もともとイギリス人のはずなのに、なんだかラテン系に見えてくるんですよ。
デビュタントの頃はそれほどではなかったように思うんですけどねえ。
ある程度年齢をいった写真は、なんとなくイタリア人みたいに見えます。(笑)

とりあえずシュールレアリスムに関する本も読んでみようとは思ってるんですが
神秘主義も気になるので、もし本を読まれたら解説記事をお願いします!
いえ、読まれなかったとしても、ぜひ書いていただきたいなあ。^^
姫路の図書館にこの本があるといいですね。

でもお引越しとはびっくりですー。
お盆とかに里帰りされたようですが、元々はそちらのご出身なんですか。
姫路城といえば鏡花ですね。鏡花ももっと読みたいなあ…
…って、いきなりとりとめがなくなってしまいました。(笑)

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