「13番目の物語」上下 ダイアン・セッターフィールド

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11月の晩。家に戻ったマーガレット・リーは、手紙が届いていることに気づきます。宛名の文字は筆圧にむらがあり、唐突に途切れていると思えば、深々と紙に食い込んでいる箇所もある、子供が書いたようなもの。しかしそれは作家のヴァイダ・ウィンターからの手紙でした。英国で最も敬愛されている人気作家であるヴァイダ・ウィンターは、20人以上の伝記作家に自分が作り上げた身の上話をして煙に巻いてきたことで有名な人物。その人物が、趣味の範囲で過去の作家についての伝記を書いているに過ぎないマーガレットに、自分の伝記を書くためにハロゲートまで来て欲しいと言ってきたのです。

私の場合、まずハロゲートという土地が懐かしすぎて、胸がきゅんきゅんしちゃったんですけど...(笑)
謎が謎を呼ぶ物語。まず一番大きな謎は、ヴァイダ・ウィンターの生涯の謎。「本当の話をするから」とマーガレットを呼んだヴァイダなんですけど、彼女の語る物語は全て真実とは限りません。何ていっても、これまで散々伝記作家たちを翻弄してきたヴァイダだし、物語を作る才能は万人が認めるものですしね。そしてその大きな物語の影に隠れてはいるけど、小さな謎もあります。それはヴァイダの伝記を書こうとしているマーガレットの謎。

荒れ果てた屋敷、精神に異常をきたした兄妹、双子、家政婦、庭師、彼らを救おうとする家庭教師、幽霊... ヴァイダの語る自身の物語は、ヨークシャー地方の大きな屋敷に住む異様な家族の物語。常に陰鬱な空気が漂っていて、それはまるで作中に何度も登場する「ジェイン・エア」みたい。この作品は「ジェイン・エア」へのオマージュなのかな?と思ったんですが、でもそれだけじゃないですね。話の中には他にも色んなゴシック小説が登場するし、そういった作品それぞれの雰囲気も少しずつ見えてくるんです。家庭教師と幽霊の辺りは「ねじと回転」でもありますし。このヴァイダの語る物語が面白くて、そこに潜む謎が気になって、どんどん読み進めてしまいました。時にはちょっぴり無理矢理のように感じられてしまった部分もあったんですが、終盤次々と明かされる真相にびっくり! それに「本」や「物語」への愛に満ち満ちてるところも良かったなあ。作中でのこんな言葉に思わず深く頷いたり。(笑)

わたしたちは、ある一点について同じ意見をもっていた。つまり、世の中には膨大な数の本があって、生きているあいだに読むことがでいる数はかぎられているということだ。どこかで線を引いておかなくてはならない。(P.55)

訳者あとがきに、作中に登場する作品の一覧が載ってるんです。「水の子どもたち」「白衣の女」「嵐が丘」「ジェイン・エア」「オトラントの城」「オードレー夫人の秘密」「幽霊の花嫁」「ジキル博士とハイド氏」「ヴィレット」「ミドルマーチ」「シャーリー」「分別と多感」「エマ」「ユースタスのダイヤモンド」「ハード・タイムズ」「ねじの回転」...私が読んでるのは半分ぐらいなんですけど、その半分の作品のそれぞれの作品が、この「13番目の物語」の中で生きてる気がしました。全部知ってたら、もっと楽しめたんでしょうね! 久々にゴシックロマンが読みたくなってきちゃいましたよ。(NHK出版)

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Commentaires(2)

こんにちは。

これ、積読本です!
「面白そ~!!」と思っていそいそと買ったはいいけれど、なぜかそのまま放置☆
でも、やっぱりすごくおもしろそうですね。

はやく読まねばっ!!

Mrs.Holmesさん、こんにちは。
この本、持ってらっしゃるんですね! 面白かったですよ~。
買ってしまうと安心してしまう、というのは私もありますが(笑)
この本を積んでるなんて勿体ないです。ぜひ早急に読んでくださいませ~。
上下巻ですけど、長さなんて全然感じさせないです。
ぜひ、ずぶずぶとこの世界に入りこんでくださいね。^^

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