「クレイジー・ジャック」ドナ・ジョー・ナポリ

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働き者の父さんと花を育てるのが好きな母さん、そして父さんと畑で働くのが大好きな9歳のジャック。隣の家には大好きなフローラとその両親、もうじき生まれてくる赤ちゃん。しかしそんな幸せな日々も終わりを告げることになります。雨が全く降らず、せっかく蒔いた小麦はいくら川から水を運んでも芽を出してすぐに萎れてしまい、父さんは2度目の種蒔きをするための種を買うために賭けに出るものの、あえなく惨敗。結局畑は他人の物となり、フローラのお母さんは生まれてきた赤ちゃんと共に亡くなり、父さんは虹のふもとにあるという金のつぼを手に入れるために岩壁の向こうへ。父さんを失ったのは自分のせいだと思い込んだジャックの精神は徐々に狂い始めます。

ドナ・ジョー・ナポリ版の「ジャックと豆の木」。「逃れの森の魔女」では魔女視点で描くことによって、本当は哀しい魔女の人生をあぶり出すって感じだったんですが、こちらは巨人視点ではないんですねー。物語は、ジャック視点のまま。巨人は相変わらずの悪役で、こちらはあまり変化ありません。むしろ、なぜジャックが豆の木を登らなければならなかったのか、というその行動に焦点が当てられていました。豆の木も巨人も、金の卵を産む鶏も、金の入った壷も、歌う竪琴も全て揃っているのに、「ジャックと豆の木」とはまたまるで違う物語になってるのにびっくり。子供向けの明るい勧善懲悪な童話が変わる変わる~。
ジャックには双方の両親も認める仲のフローラという少女がいるんですが、そのフローラのスペイン系の血筋を引いているということが、一般的にどのように捉えられているのかといった辺りがリアル。ジャックの幸せな日々が終わることになったのは、元はと言えば旱魃のせいなんですが、そこにジャックの父親の賭け事好きが絡むのがリアル。いろいろなことが丹念に描かれることによって、ジャックが精神に変調をきたしていく過程がリアル。で、そんなリアルな物語に、いきなり魔法の品物が絡んでも浮いてしまいそうですよね。でもその品物の扱いの部分が面白い~。なるほど!

でもこの本を読んでいて、やっぱり私、金原訳ってちょっとテンション下がるかも... なんて思ったり。金原さんといえば今や大人気の訳者さんだし、この方の訳した本を読めばハズレがないとまで言われてたりするんですけど...! 前々から、どうもあまり自分から手に取りたい気がしなくて、むしろ無意識のうちに避けてる気がしてたんですよね。作品を色々読みたいと思う作家さんがいても、どうも進みが悪いなと自分でも思ってたんですが... どうやら気のせいじゃなかったみたいです。はあー。(ジュリアン出版)


+既読のドナ・ジョー・ナポリ作品の感想+
「逃れの森の魔女」ドナ・ジョー・ナポリ
「クレイジー・ジャック」ドナ・ジョー・ナポリ
「バウンド 纏足」ドナ・ジョー・ナポリ

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