「ムーミン谷の彗星」トーベ・ヤンソン

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ムーミンパパが川に橋を渡し終え、スニフとムーミントロルが森の中に入り込む新しい道を探検して海岸と洞窟を発見した日の晩、ムーミン屋敷にやって来たのはじゃこうねずみでした。ムーミンパパが橋をかけた時に家の半分がつぶされて、あとの半分は雨に流されたというのです。そして翌日、雨が上がった庭では、全てのものがどす黒くなっていました。それを見たじゃこうねずみは、じきに彗星が地球にぶつかって、地球は滅びるのだと言い始めます。

ムーミンシリーズの1作目。ムーミンシリーズを読むのは、実はこれが初めてなんです。テレビアニメもほとんど見てなかったんですよねえ。確かにもともと無邪気に明るく楽しいイメージではなかったんですが、いきなり彗星が地球に衝突?地球滅亡?! 実はとても深い話だったんですね? びっくりしました。
とは言っても。確かに刻々と近づく地球滅亡の日を待つ物語ではあるんですが、ムーミン一家やスニフ、スナフキンやノンノンはあまりにマイペースだし~。終末物はこれまでいくつか読んだり観たりしたし、アメリカのラジオドラマでH.G.ウェルズの「宇宙戦争」が放送された時の騒ぎなんかもすごかったようですけど、ここはやっぱり別世界ですね。決して明るくないし、そこはかとなく寂寥感が漂ってるんですけど、暖かくて優しくて、何とも言えないほのぼのとした味わいがありました。
とても印象に残ったのは、新しいズボンを買おうとしたスナフキンの「もちものをふやすというのは、ほんとにおそろしいことですね」という言葉。終盤、ありったけの持ち物を持って逃げようとする登場人物たちを尻目に、「ぼくのリストは、いつでもできるよ。ハーモニカが、星三つだ」という言葉もスナフキンらしくて、すごくかっこいいです。まあ、スナフキンのレベルに到達できる人はなかなかいないでしょうけど(笑)、たとえ物を所有しても、所有した物に縛られるようになっちゃだめですよね。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ムーミン谷の彗星」トーベ・ヤンソン
「たのしいムーミン一家」トーベ・ヤンソン
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「ムーミン谷の夏まつり」「ムーミン谷の冬」トーベ・ヤンソン

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Commentaires(13)

こんにちは。
『ムーミン谷の彗星』大好きですvv
というか,〈ムーミン〉シリーズは全部好きなんですが。
一番好きなのは『楽しいムーミン一家』に登場する飛行鬼。
すごく格好いいキャラだと思います。
個人的にはスナフキンに匹敵するくらい。
あまりに好きなので英語版の名前HobgoblinはBlogの名前にも使っています(苦笑)。

『ムーミン谷の彗星』の暗さは書かれた時代に影響されています。
フィンランドは第二次世界大戦の敗残国ですので。

ちなみにノンノンという名前は日本のアニメオリジナルです。
原作では名前設定がされていません。
ずっと“スノークのお嬢さん”と呼ばれていました。

以降の物語も大変面白いのでお勧めします。

追記

ヤンソンはトールキンの『ホビットの冒険』の挿絵も書いています。
これ,見たいんですけどね。
フィンランド版しかないので日本じゃ手に入りにくそうです。

こんにちは。
「ムーミン谷の彗星」は、アニメを見ていた子供時代に読みまして、あまりの怖さにトラウマ(大げさ)になりました…。
今読んだら、怖くないんでしょうか。
スナフキンのモデルは作者の昔の恋人だと聞きました。ロマンチック…。

こんにちは。

「ムーミン谷の彗星」、懐かしい!!
私もアニメはほとんど見ていなかったのですが、この「彗星」は小学生の頃に図書館で借りて読んだ記憶があります。
内容、ほとんど覚えていないのですが、確かに暗くはないんだけどなんとなく「灰色」のような、そんな色彩イメージが印象に残っています。
四季さんの「そこはかとない寂寥感」、その言葉ぴったりだと思います。

>「もちものをふやすというのは、ほんとにおそろしいことですね」
うーん、スナフキンかっこいいなあ。

また、読み直してみたくなりました。
子どもの頃の感じとはまた違うでしょうし。

そして、私の読書の寄り道がこうして増えていきます☆

我が家にも一冊ムーミンの本がありまして(英語版でMoominpappa at Seaというのなんですが)、昔のアニメのような感じかと思って子供達に読み聞かせ始めたら、あまりに哲学的で子供達にはわけわからず没りました。ムーミンパパがあんなキャラだったとは~、って感じです。

大人のファンタジーとして自分で読めばいいんだろうな、と思うので、そのうち再挑戦したいです。スナフキン、いいですよね~。

>森山さん
実は「ムーミン」とか「トーベ・ヤンソン」という文字を見た時に
真っ先に思い出すのが森山さんだったりします。^^
私もいつかは読まなくちゃ~と思ってたんですが、ようやく読めましたよ~。
いや、すごいですね。こんなお話とは思ってもみませんでした。
でもそうでしたか。この雰囲気は第二次世界大戦の影響だったんですね。

「楽しいムーミン一家」は、確かシリーズ2作目でしたよね。
Hobgoblinの由来がムーミンだったとは、全然知りませんでした!
飛行鬼、スナフキンに匹敵するとはすごく楽しみです。ぜひ近いうちに読みますね~。

あら、ノンノンは日本だけでの名前だったんですね。
私、ムーミンのアニメをきちんと見たのって実は1回しかないんですけど
それが、ノンノンのお話の時だったんです。
なんであの足輪をはめることになったのか、みたいなお話で
水底に沈んでいくような、かなり暗くて怖い雰囲気だったような覚えが…
ちょうど「ホビットの冒険」の、ビルボが1人で探検してる時のようなイメージ。
トーベ・ヤンソンが「ホビットの冒険」の挿絵を描いていたとは全然知りませんでした。
どんな感じだったんだろう! なんとなく想像できる気もしますが~。
ほんと見てみたいですねえ。

>ぎんこさん
わあ、こっちにまで来て下さるなんてありがとうございます。(嬉)

いや、怖かったですよ! だって世界が刻々と滅亡していく話なんですもん。
挿絵もあるし、文章だけでもかなり映像的ですしね。
これがトラウマになった子は、きっと他にも沢山いるのではないでしょうか。
大人になってから読むと、ムーミン一家のあまりのほのぼのぶりが微笑ましくて~ですけどね。
これを機会に、再読してみるのもいいかも。ご一緒にいかがですか~?

えっ、そうなんだ、スナフキン。それはロマンティックですねえ~。
スナフキンのカッコよさの秘密が分かったような気がします。(笑)

>Mrs.Holmesさん
Mrs.Holmesさんも子供の頃に読んでらしたんですね。
本は読んでなくても、アニメを観てた人は多いでしょうし!
やっぱり今頃初めてムーミンに触れるなんて、私ぐらいかも…(笑)

うんうん、そうですよね。灰色のイメージ。
最初は森とか海とか出てきますしね、普通にカラーで始まるんだけど
そこから少しずつ色が消えてくような感じでした。
なんだか白黒のテレビみたいなイメージ、かな。
やっぱりこの本って、子供には結構怖いような気がします…

子供の頃に読んだ本を大人になって読み返すのっていいですよね!
自分の経験値が上がってる分、もう一歩深く踏み込めますものね。
子供の頃には気にもとめてなかった人物がすごく気になってみたり
実はそこに深いものが内包されいたことに気づいたり。
私は初読みが大人だったので、そういうのがないのが残念です。
Mrs.Holmesさんも、ぜひぜひご一緒に♪

>Johnnycakeさん
"Moominpappa at Sea"となると、きっと「ムーミンパパ海へ行く」ですね。
ああ、哲学的すぎて読み聞かせには不向きなの、分かる気がします。
まだ1冊しか読んでないけど、これは大人にも十分読み応えがありましたもん。
ムーミンやスニフといったキャラクターが可愛いから子供でも楽しめるけど
話としては、むしろ大人向けかもしれないですね。
1作目では、ムーミンパパもそれほどの哲学的な部分は見せてくれてないので
シリーズを読み進めるのが楽しみです。

うふふ、Johnnycakeさんもぜひご一緒に~♪

今日は。
ムーミンシリーズ、読まれるのは初めてなのですね…意外な感じです~。
ムーミン、アニメは大好きで何度も見ているんですけれど、
本は昔に読んだっきりなので、読み返したいなあ、と最近思っていて。
四季さんの感想を読んでいると、懐かしさに、更に読みたくなってきました。
読まなくっちゃ!

シリーズはどれも素敵なので、是非是非続きも読んでみて下さいv

こんにちわ
ムーミンシリーズは時々思いだしては読んでいるのですが、現在6作読んだところで止まってます。
次の「楽しいムーミン一家(原題:魔法の帽子)」がちょっと弱いですが、「夏まつり」とか傑作です。
でもこれ、100%童話じゃないだろ、とも思います。
「彗星」という作品では、破滅的な状況下でもポジティブなムーミンたちが健気です。破滅が近づいているのにパニックを起こさず、「家に帰る」という単純な目標に向かっていく彼らはなかなか感動的です。戦時中の重苦しい空気がこの作品を書かせたらしいですが、自分は破滅を前にした時何ができるだろうか、と考えさせられる作品だと思います。

>慮柳 涼さん
そうなんですよ~、実は初めてなんです。
子供の頃にね、アニメがあまり好きじゃなかったんですよね。
アニメで大人気になった作品でも大抵、本で読んでたから良かったんですが
(たとえば「ハイジ」とか「フランダースの犬」とか)
なぜかムーミンはタイミングを逃してしまって…
で、一旦タイミングを逃してしまうと、もうなかなか手に取れなくなってしまって~。
今回読んでみて、この童話らしからぬ雰囲気にびっくりです。
ムーミン、いいですね! これはぜひ読み進めようと思ってます。
涼さんも、ぜひご一緒に~。^^

>piaaさん
確かにこれは100%童話じゃないですよね。
童話な部分って、言ってしまえば、このキャラクターの可愛らしさだけじゃないですか?
このほのぼのとした可愛らしさで、子供でも楽しめる作品になってるけど
この内容は、また全然違うなと思いましたよ。
でもそういう可愛らしさが、こういった作品に触れるきっかけとなるのもいいものですね。
ほんと、どんな状況でもひたすら「家に帰る」彼らは素晴らしい。

「夏まつり」は4作目ですね。楽しみに読み進めることにします。^^

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