「だいだいいろの童話集」アンドルー・ラング編

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だいだいいろの童話集

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書評/SF&ファンタジー
東京創元社で刊行中のラング童話集の10冊目。今回は献本で頂きました。感謝。

さて、最初はドイツやフランス、北欧といった一般的な童話から始まったラング色の童話集のシリーズなんですけど、刊行が進むに連れて世界中にその範囲を広げてきています。前回の「ちゃいろの童話集」では、ネイティヴ・アメリカンやアフリカ、ラップランドのお話が面白かったですしね。今回は、センナの口承伝承やパターン族に伝わる話、ショナ族の昔話、ベルベル人の昔話というクレジットが並んでました。センナはアフリカ南部のザンベジ川沿い。パターン族はどうやらアフガニスタンやパキスタンのパシュトゥーン族のことみたい。ショナ族は、アフリカ南部のジンバブエの辺り。ベルベル人は北アフリカ。
とっても興味深かったのは、全ての望みを叶えてくれるシパオという魔法の鏡が白人の手に渡ってしまったから、この世のあらゆる力を白人が握ることになった、とか、魔女をやっつけた姉妹は「宣教師に会ったことがなかったので、残酷な行いができたのだ」とか、黒人の話に白人が入り込んできてる部分。こういうのはこれまでのラング童話集にはなかった部分じゃないかしら...。ラングは自分の童話集に採取した童話を入れる際に、結構手を入れてるようなんですが、そういうのは残ってるんですね。いえ、宣教師云々の部分は何も問題ないんですが、不思議なのは「魔法の鏡」。白人の行いはどう考えてもずるいし残虐すぎるんですけど! ラングのことはあまりよく知りませんが、「ありのままを伝えなければ」なんて考えの持ち主だったとも思えないし... 19世紀の人だし、逆にそういう行為を当然として受け止めていたのでしょうか。でももし黒人を同じ人間として考えていなかったとしたら、そんな風に昔話を採用するのも妙な気がする...。

あ、でもそういったアフリカ系の話だけでなく、ヨーロッパ系のお話も入ってます。フランスのオーノワ夫人の話も久しぶりにいくつか入ってましたしね。今回私が一番嬉しかったのは、西ハイランドの話が入っていたこと。アイルランドやスコットランドのお話だって2つかそこらしかなかったのに、ハイランドとはー。アンドリュー・ラングはスコットランド生まれのはずなのに、ほんと全然と言っていいほどなかったんですよね。

全12冊のはずなので、これで10冊読了。残り2冊になっちゃったんですねー。最初は先が長くて気が遠くなりそうって思ったけど、案外すんなり読破できそう。この東京創元社版の刊行が始まってから復刊され始めた偕成社文庫版も、既に全12巻揃ってるみたいです。本当は、私自身も子供の頃に読んでいた川端康成・野上彰訳の偕成社文庫版を読みたかったはずなんですけど、いつの間にかすっかり東京創元社版ばかりになっちゃいました。でも大人になってから読むなら、こちらの方が読みやすいかも。字の大きさも程よいですし、挿絵も美麗ですしね。(東京創元社)


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だいだいいろの童話集 アンドルー・ラング、西村 醇子 訳 東京創元社 1995円 » Lire la suite

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