「ウィリーのそりのものがたり」「ハルムスの小さな船」ダニイル・ハルムス

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そりがお気に入りのウィリー。丘にどっさり雪が降り、ウィリーはそりで勢いよく丘を下り始めるのですが... という「ウィリーのそりのものがたり」。
そして前書き代わりのような「非いま」、アントン・イサアコヴィチが恋人のナターリア・ボリーソヴナに、「もうこれ以上、アントンでいることに耐えられない、アダムになりたいんだ。ナターリア、きみはイヴになれよ」と唐突に言い出す「アダムとイヴ」他、全23編の作品を収めた「ハルムスの小さな船」。

先日読んだ「昨日のように遠い日 少女少年小説選」 (感想)で気に入ったダニイル・ハルムスの本2冊。ダニイル・ハルムスは、ロシアの不条理文学の先駆者といわれる作家なのだそう。

「ウィリーのそりのものがたり」は、ダニイル・ハルムス文、ウラジーミル・ラドゥンスキー絵の絵本。どんどん滑って、どんどんぶつかって、最後はみんなでどっかーん!! なんて楽しい絵本なんでしょう。一瞬の出来事なんですけど、スピード感もたっぷりだし、相手の驚いた顔が目玉に映ってるのがまた楽しいのです♪

そしてこの絵本よりももっと「昨日のように遠い日」に近いのは「ハルムスの小さな船」の方でしょうね。詩のような物語のような楽しい作品集。たとえば「非いま」は詩のようだし、「アダムとイヴ」は4幕物のお芝居風、次の「夢」は不条理系の超短編... といった具合。この中で私が特に気に入ったのは、「誰が一番速いか」。
これはライオンと象、キリン、鹿、だちょう、へらじか、野生の馬、犬のうちで誰が一番速く走れるかと口論になって、実際に湖の周りを走って競争する話。イソップ辺りにありそうな話なんですが、これが本当に楽しいのです~。途中の「立ち止まって、大笑い!」辺りも爆笑物だし、決着がついた後がまた可笑しいんですよねえ。って言っても、ここに書いたこの文章からは、絶対伝わらないだろうな。ぜひ一度見てみて欲しいですー。楽しくて、でもハルムスならではの不思議な雰囲気もあって素敵。
本に使われているフォントも凝ってますし、それぞれの物語には西岡千晶さんの挿絵がたっぷり添えられていて、こちらもとても素敵。この挿絵は、もうこの作品とは切り離しては考えられないほどぴったりの雰囲気ですね。作品としては「アダムとイヴ」なんかも大好きなんですけど、この挿絵を抜きに本文だけ読んだら、果たしてどうだったんだろう?なんて思っちゃうほど。西岡千晶さんご自身が1990年にハルムスの作品に出会って影響を受けてらっしゃるというだけあって、もうほんと見事に一体化しちゃってます。(セーラー出版・長崎出版)

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Commentaires(2)

うふふ♪ 私もこの2冊読みましたよ~^^
四季さんとおなじく私も「誰が一番速いか」が大好きで・・・そうそう、このおもしろさは読んだ人にしかぜったいに分かりっこないですよねー!(と私もそんなようなことをレビューに書いています♪笑)
大爆笑して、お風呂で本を落っことしそうになりました☆☆
イラストもすてきでしたねー^^

ことりさん、こんにちは~。
そうそう、読まれてましたよね。報告にいかなくちゃと思ってたのです!
でもブログの記事を書いたとこで、すっかり力尽きてしまって… すみませぬ。
あ、ことりさんも「誰が一番速いか」ですね♪
そうそう、これは読んでみないと分からないですよね~。
だってあの絶妙さ、あの空気感を伝えるなんて! 私には到底できないですもん。
わはは、お風呂に落ちなくて良かったですね。^^

イラストも素敵でしたよね。最初っからついてたとしか思えなかったです!

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