「注文の多い料理店」「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」宮沢賢治

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岩波少年文庫版の宮沢賢治3冊。今までいくつかの本を手に取ったことがありますが、岩波少年文庫で読むのは今回が初めて。3冊で童話が26編と詩が11編収められています。

今回改めて読んでみて特に印象に残ったのは、宮沢賢治の生前に唯一刊行された「注文の多い料理店」につけられている「序」。これ、素晴らしいですね。「わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます」...宮沢賢治にとって、生きるために必要なのは単なる食物の摂取ではなくて、自然から得る精神的な栄養がとても大きかったというのが、よく分かります。身体の維持のためには食物の摂取がどうしても必要ですけど、彼にとっては精神を生かすための栄養の方がずっと大切だったんでしょう。そして、そんな宮沢賢治の書いた童話は、実際に身の回りの自然から栄養を得て書かれた物語ばかり。序にも「これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです」とあります。確かに空とか星とか風とか雪とか水とか、野山の動物とか、自然のものが沢山。もうほんと好きにならずにはいられないモチーフが満載なんですけど、でもそんなモチーフが使われているからといって、作品が大好きになるとは限らなくて...。素直に自然と一体化して、その素晴らしさを全身に感じて溶け合ってるからこそ、ですね。やっぱり宮沢賢治の感性って得がたいものだったんだなあ、なんて改めて感じてみたり。そしてこの序の最後の言葉は、「わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません」。たとえ読者が自然からほんとうの栄養を得られるような感性の持ち主でなかったとしても大丈夫なんですね。その作品を読むことによって、その栄養を得ることができるんですもの。まあ、それを自分の中でどう生かすかは、読者次第ではありますが...。
それにしても「イーハトーヴ」という言葉、いいなあ。「注文の多い料理店」には「イーハトーヴ童話集」という副題がつけられていて、エスペラント語の「岩手」のことなんですけど、これがまるで異界へ行くための呪文みたい。登場人物たちが岩手の方言で話していても、そこに描かれているのがごく普通の農村の情景ではあっても、この「イーハトーヴ」という言葉だけで簡単に異世界に連れて行ってもらえるんですもん。

特に好きな作品としては、「ふたごの星」と「やまなし」と「銀河鉄道の夜」かな。やっぱり「銀河鉄道の夜」は何度読んでも素敵。幻想的に美しくて、懐かしくて暖かくて、でもとっても切なくて。で、以前「宮澤賢治のレストラン」という本がとても楽しかったので、今回再読したかったのですが~。ちょっと手元には間に合わなかったので、そちらはまた日を改めて。(岩波少年文庫)


+既読の宮澤賢治作品の感想+
「宮澤賢治のレストラン」中野由貴 「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
「注文の多い料理店」「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
「ざしき童子のはなし」「よだかの星」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

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Commentaires(2)

大学時代に宮沢賢治全集の童話の部分だけ買って持っていたのを、それまた実家から持ってきて置いてあります。それくらい好きだったのに、もう15年近く読んでいないような…。また読んでみたくなりました。
私の中では、「水仙月の四日」という作品が特別で、水仙月に合わせて早春の岩手の賢治記念館を訪ね、小岩井農場を訪ねたのが懐かしいです。「ひかりの素足」という作品も「水仙月の四日」とつながっていて好きです。
もちろん、四季さんがあげていらっしゃる作品群もどれもいい作品で、宮沢賢治はこれ一つと選べないのが問題です~。^^;
そういえば、「やまなし」は昔小学校の教科書に載っていて、クラムボンはアメンボのことだと教わったんですが、あれは、アメンボじゃないよな~、と後で思いました。

Johnnycakeさん、こんにちは!
宮沢賢治、お好きなんですね~。
「水仙月の四日」もすごく印象に残る作品ですよね。
冒頭で、少年がカルメラ焼きのことを考えながら歩いてるでしょう?
あれがどうも気になって気になって。(笑)
伊勢英子さんが絵を描かれた絵本があるので、それも見てみたいなと思ってたのです。
今ちょっと調べてみたら、他にも色んな方が絵本にしてらっしゃるようですね。
黒井健さんのも綺麗なんだろうな。
あ、「ひかりの素足」は、今回読んだ3冊の中には入ってませんでした。
繋がりがあるなんて、それはぜひ読んでみたいです~。

ええっ、クラムボンはアメンボなんですか!? それは初耳です。
てか、私もやっぱり違うと思うんですけど…(笑)
あの会話がまず可愛いし! それに色彩的にもすごく美しいし
やまなしの良い香りが漂ってきそうな作品ですよね。^^

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