「銀のシギ」エリナー・ファージョン

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ノーフォークの海辺の風車小屋に住んでいるコドリングかあちゃんの子供は、全部で6人。息子はエイブにシッドにデイブにハルの4人で、それぞれに頑丈で大食漢で働き者。娘は18歳のドルと12歳のポル。ドルは丸ぽちゃの可愛い娘で、気性も素直で優しいのですが、怠け者なところが玉に瑕。12歳のポルは、ドルとは全くタイプが違い、子猫のように知りたがり屋の利口者。ある日、1ダースのダンプリングが焼けるのを待って白昼夢にふけっていたドルは、コドリングかあちゃんの「ダンプリングは、かならず三十分でもどってくる」という言葉に、今そこにあるダンプリングを食べてしまっても大丈夫だろうと考えます。

グリムの「ルンペルシュティルツキン」と同系の「トム・ティット・トット」の伝説を元にしたファージョンの創作物語。元となった伝説も巻末に収められているのが嬉しいところです。読み比べてみると、ファージョンがいかに元の話を膨らましたのかがよく分かります。この話、子供の頃も楽しく読んでたんですけど、大人になった今また読んでみると、見事に換骨奪胎されていて、改めてすごい!
まず、元の物語には女の子は1人しか出てこないのですが、こちらに登場するのはドルとポルの姉妹。王様と結婚するのはドルです。彼女は色白で金髪碧眼。とても美しく気立てもいいんですが、とにかく怠け者。そしてそのドルとは対照的なのが妹のポル。ポルは、よく日に焼けてて活動的。色んなことに鼻をつっこむし、やらなければならないことは、きびきびとこなします。外見も中身も正反対。...昔ながらのおとぎ話のヒロインに相応しいのは、やっぱりドルですよね。王さまもドルを見た途端、その美しさに惹かれてるし、のんびりしたドルのおかげで王さまは癇癪を半分に抑えることができるようになるし、あんなに怠け者なのに母性愛はたっぷりだし、ドルにはドルの良さがあります。でも冒険に相応しいのは、やっぱり聡明で活動的で勇敢なポル。元話では偶然名前が分かって、まあそれもおとぎ話としてはいいんですけど、今の物語としては詰めが甘いですよね。ポルが活躍するこの展開には、とても説得力があります。石井桃子さんが訳者あとがきで、ドルがポルを待つ場面は青髭みたいだと書いてらっしゃるんですが、本当にそうだなあ~。
それに謎めいたチャーリー・ルーンや銀のシギといった存在もいいんですよね。幻想的な月の男と月の姫の伝説も絡んで、この辺りもとても好き。あとの登場人物たちも楽しい人たちばっかりで! 二重人格な子供っぽいノルケンス王とかその乳母のナン夫人とか、どんと大きく構えたコドリングかあちゃんや単純な魅力の4人の兄さんたち... 若い小間使いのジェンも、家令のジョンも、コックのクッキーも、乳しぼりむすめのメグスも、庭師のジャックも! この作品は元々は舞台のために書かれた作品なんだそうです。そう考えてみると、4人の兄たちが食べたいものを並べ上げながら登場する場面とか、案外いいコンビのノルケンス王とポルの口喧嘩とか、楽しい場面がいっぱいです。(岩波書店)


+既読のファージョン作品の感想+
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Commentaires(2)

「銀のしぎ」はトム・ティット・トットとイコールだと思っていたんですが、そうではなかったのですね!

大きな枠組みとしてはイコールなんですけど、でもやっぱり随分違うのです~。

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