「ペロー童話集」シャルル・ペロー

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王さまとお妃さまに待望の赤ちゃんが生まれ、小さなお姫さまのために洗礼式が盛大に執り行われることになります。名付け親として招かれたのは、国中で見つかった7人の妖精たち。妖精たち1人1人から贈り物をしてもらい、想像できる限り最高のお姫さまになるようにするのが、当時の習慣だったのです。しかし宴の席に8人目の妖精が現れます。その妖精は50年以上も前から塔の外に出ておらず、生きているのかどうかすら分からなかったため、招かれていなかったのです。妖精用のどっしりした黄金のケースに入った純金のスプーンとフォークとナイフは7つしか作っておらず、その妖精の前に出されたのは普通の食卓道具。ばかにされたと思い込んだ年取った妖精は、口の中でぶつぶつと脅しの文句を呟きます... という「眠りの森の美女」他、全10編の童話集。

アンジェラ・カーターの「血染めの部屋」(感想)を読んだ時も、「青髭」を改めて読んでみたいなあと思ってたんですけど、先日ファージョンの「ガラスのくつ」(感想)を読んで、今度読みたくなったのは「シンデレラ」! いい機会なので、ペロー童話集を読むことに。これも岩波文庫版や白水社uブックス、河出文庫版(澁澤龍彦訳)、ちくま文庫版(巖谷國士)など、色んなバージョンがあって、読み比べてみたくなっちゃうんですが~。今回手に取ったのは天沢退二郎訳の岩波少年文庫版。本の挿絵はマリ林(Marie Lyn)さんという方で、これがまたとても素敵。この方、天沢退二郎氏の奥様なんですね!

「そして2人は幸せに暮らしました...」の後の話まできちんとついている「眠りの森の美女」や、狼に食べられたきりで終わってしまう「赤頭巾ちゃん」。そうか、この結末はペローだったのか。「眠りの森の美女」の後日譚がついてる絵本を子供の頃に読んで、それがものすごく強烈だったのに(特にたまねぎのソースが...)、それっきり見かけなくて一体どこで読んだんだろうと思ってたんです。そうか、ペローだったのか...。その他も、大体は知ってる通りのお話だったんですけど、10編のうち「巻き毛のリケ」というお話だけは全然知らなくて、ちょっとびっくり。訳者あとがきによると、この作品だけはグリムにもバジーレにもヨーロッパ各地の民話・説話には明らかな類話が見当たらないお話なんだそうです。道理で!
でも伝承に忠実なグリムに対して、同じく伝承を採取しながらルイ14世の宮廷で語るために洗練させたペロー、というイメージがすごく強いのに、訳者あとがきによると「赤頭巾ちゃん」なんかは、ペローの方が古い伝承に忠実なんですって。グリムの「いばら姫」では「眠りの森の美女」の後日譚はカットされ、「赤頭巾ちゃん」には新たな結末が付け加えられたというわけですね。でも洗練される過程で、少し変わってしまったのが、ペロー版のシンデレラ「サンドリヨン」。伝承特有の「3度の繰り返し」がなくて、舞踏会に行くのが2回なんですよ!(驚) でも変わってしまっているとしても、やっぱり物語として洗練されてて面白いです。それにそのそれぞれのお話の終わりに「教訓」や、時には「もう一つの教訓」が付けられてるのが楽しいのです。(ケストナーの「教訓」は、もしやここから?)

そして勢いづいて、以前読んだ「人類最古の哲学」(中沢新一)を再読。これ、2年ほど前にも読んでいて(感想)、その時も沢山メモを取りつつ読んだんですけど、既にかなり忘れてしまってるので... いやあ、やっぱり面白いです。5冊シリーズの1冊目は、世界中に散らばるシンデレラ伝説を通して神話について考えていく本。伝承・神話系の物語って、実はきちんとそれぞれの形式があって、それぞれの場面や行動にきちんと意味があってそういう決まりごとにのっとって作られてるんですよね。シンデレラといえば、日本ではまずペローやグリムが有名ですけど、もっと神話の作法に則ったシンデレラ物語が世界中に残っているわけです。そしてその物語を聞いた北米のミクマクインディアンが作り出したシンデレラの興味深いことといったら...! ええと、近々ドナ・ジョー・ナポリの「バウンド」を読むつもりにしてるので、そちらの予習も兼ねてます。(岩波少年文庫)

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「ペロー童話集」、ぴよが読み終わって図書館に返したばかりです。うあーん、四季さんの感想読んだらわたしも読みたくなっちゃいました。読んでおけばよかった…。あんまり気になってぴよに「眠りの森の美女って、最後どうなったの?」と聞いたら「えーっと…わすれちゃった」と言われました。orz

うわーん、ぴよちゃんの後追いで読んで読んで!
「シンデレラ」で、こういう結末になってるのはどこかにあったんですけど
私が子供の時に読んで驚いたのは「眠りの森の美女」だったんで、まさにコレ!だったんですよ。
でもそうかー、ぴよちゃんにはそれほどのインパクトではなかったのですね…
これって時代の違いなのかしら…(ちょっとがっくり)

や、ペローも改めて読むと結構面白いです。ぜひぜひ。

いやーそれほどのインパクトではなかった、というよりは、「青ひげ」のインパクトが強すぎたんじゃないかと思います。「どうしてこんなお話わざわざ作るのよう!」って泣いてましたから。w

ああ、確かに「青ひげ」は怖いですよね。
ものすごく映像的な話だし。特にあの扉を開けた場面とか… きゃーっ。
下手すると、夜寝られなくなっちゃうかもですね。大丈夫でしたか~?

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