「ピアニストは指先で考える」青柳いづみこ

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ピアニストの思考の流れを、例えば右手や左手、足、肘、鍵盤、ペダル、椅子、眼、耳、ステージ、衣装、メイク、調律、アンコール、プログラムといったテーマごとに読みきりエッセイを書いてはどうかと提案され、その項目を見た途端に思考がすさまじい勢いで回転し始めたという青柳いづみこさん。30代の女性ピアノレスナー(ピアノの先生ってことみたいですね)を対象に、ムジカノーヴァに連載していたエッセイです。

いやあ、面白かった。音楽と本を結びつけるエッセイが多い青柳いづみこさんですが、これはほぼ純粋に音楽の話ばかり。30代の女性ピアノレスナーが対象だというのはあとがきを読むまで知らなかったんですが、最初の「曲げた指、のばした指」からして、もうほんと私にとってはタイムリーな話題で! だって私は子供の頃に「曲げた指」で習ってたのに、今は「のばした指」でも弾けるようになろうとしてるとこなんですもん。たとえばバッハなら「曲げた指」でもいいと思うんだけど、ショパンとかシューマンみたいなロマン派を弾こうと思ったらやっぱり「のばした指」の方が綺麗な音色で弾けると思うし、実際ショパンのエチュードなんかは「のばした指」じゃないと技術的に難しい部分もあるみたいですね。あと脱力の概念なんかも、私が子供の頃は全然なかったんですよねえ。そして、ここに書かれてる「さかだち体操」や「タイの練習」は青柳さんオリジナル? もっと詳しく知りたい! 一応本には図も載ってるんだけど、これだけではちょっと分かりづらいし、やってみても合ってるのかどうか謎なんです。だって、たとえば「小指をさかだちさせたままの状態で薬指を根元から動かしてみる。たいてい、ガチンガチンに固まっていてうまく動かせない」とあるんですけど、薬指、簡単に動いちゃいます。脱力できてるってことならいいんだけど、どっちかといえば、やり方が違うような気もするー。いやーん、実地に指導していただきたくなってしまうー。

前半は、実際に自分でもピアノを弾く人向けかもしれないですね。でも後半は、ピアノを弾かない人でも楽しめるようなエピソードも満載です。例えば色んなピアニストのこととか。ポリーニは大抵の曲は1回弾けば覚えられたとか(完璧に弾きこなすだけでなく、そんなことまでできたとは、びっくり!)、アルゲリッチが、プロコフィエフの「協奏曲第3番」を一度も弾いたことがなかったのに、寝てる間に練習してるのが聞こえてきていただけで覚えてしまって、弾けるようになってしまったとか。寝てる間に聞いた曲が弾けるって、一体...?! それってすごすぎでしょう! 人間技とは思えないー。
いや、ほんと勉強になりました。図書館で借りて読んだんだけど、手元に欲しいぐらい。「指先から感じるドビュッシー」にも技術的なことが載ってるそうなので、そちらも読んでみようと思います。...でも本もいいけど、やっぱりそれより一度実地にレッスンを受けてみたい。私の場合、どう考えても青柳いづみこさんのお弟子さんたちのレベルには程遠いので、到底無理なのだけど。ああー、うまくなりたいなー。(中央公論新社)


+既読の青柳いづみこ作品の感想+
「モノ書きピアニストはお尻が痛い」「ショパンに飽きたら、ミステリー」青柳いづみこ
「水の音楽 オンディーヌとメリザンド」青柳いづみこ
「ボクたちクラシックつながり」青柳いづみこ
「ピアニストは指先で考える」青柳いづみこ
「指先から感じるドビュッシー」青柳いづみこ
「ピアニストが見たピアニスト」青柳いづみこ
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