「指先から感じるドビュッシー」青柳いづみこ

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「印象主義音楽の創始者」「音の画家」などと言われ、その境界線が曖昧な雰囲気が、西洋音楽史では印象派的な扱いを受ける原因となっているドビュッシー。しかし彼の曲は、目で見た風景を切り取ってその印象を素早く描きとめる印象派とは違い、いったん自分の中に取り入れて熟成し、その後再び外に出て音となるというもの。出来上がったものは似ていても、その精神は違うのです。...この本ではドビュッシーの曲を弾くための土台作りとなるレッスン方法を紹介し、ドビュッシーの代表的な曲をとりあげて、その曲の解釈や基本的な奏法を紹介していきます。

ピアノの曲を弾くというのは、ただ譜面だけ追えばいいというものではないんですね。作曲家のことを知り、その曲の背景を知ることによって、より深い演奏ができるはず。ということで、ドビュッシーの人生をたどりながら、その人となりや生きた時代を知り、作品にこめられた思いを感じ取り、それをそのままピアノの音として表現しよう、という本です。実践的なピアノ奏法だけでなく、ドビュッシーを弾くために必要な基礎的レッスンのやり方も紹介されてて、実際にピアノに向かった時の手の形の写真や、楽譜への詳細な書き込みなんかもあったりして、青柳いづみこさんの行うレッスンをそのまま紙上に移し変えたような感じ。まず巻頭には、ドビュッシーが好きだった名画がカラーで掲載されていますしね。この絵からあの曲が生まれた、なんていうのもすごく興味深いですね。ドビュッシーのピアノ曲を弾きたいと思っている人にとっては、すごく勉強になる本のはず。そしてここに書かれてることは、ドビュッシー以外にも通じるはず。
という私自身は、中学生の頃にアラベスクの1番と2番を弾いたことがあるだけで、ドビュッシーなんて全然弾けないんですが...。でもその1番と2番でも、たとえば伸ばした指で弾くのが向いている1番に、曲げた指で弾くのが向いている2番、なんてことも知らなかったし! 1番の対位法的な部分にはバッハの影響が色濃く感じられることも、2番にはオーケストラ的な書法が多く見られるということも知らなかったし! オーケストラ的な書法が見られる部分では、それに即した様々なタッチ、例えばフルートなら指を平らにして指先にあまり力を入れないで弾き、オーボエは指先を立てて力を集中させてよく通る音を出す、ファゴットはゆっくりとしたタッチであたたかい素朴な音を出すといいんですって。そうなのか~。
ドビュッシーが1つのタイトルに持たせた二重の意味については、もうちょっと知りたかったんだけど、上にも書いたような様々な楽器の音の表現とか、あとたとえば星のようにキラキラ光る音とかオパールのような神秘的な音の出し方なんかも面白かったし、あとはやはりドビュッシーが好んだ絵画や文学の話が興味深かったですね。メーテルリンクの原作をドビュッシーがオペラにした「ペレアスとメリザンド」もちょっと前に読んだし、アンデルセンの「パラダイス」は先日読んだばかり! アーサー・ラッカムやが挿絵を描いた「真夏の夜の夢」「ケンジントン公園のピーターパン」「ウンディーネ」、エドマンド・デュラックの「人魚姫」も、まとめて読みましたよ~。そうか、ドビュッシーはラッカムが好きだったのね~。あと海の下に沈んだイスの町の伝説なんて、私の大好物! その辺りも楽しかったです。(春秋社)


+既読の青柳いづみこ作品の感想+
「モノ書きピアニストはお尻が痛い」「ショパンに飽きたら、ミステリー」青柳いづみこ
「水の音楽 オンディーヌとメリザンド」青柳いづみこ
「ボクたちクラシックつながり」青柳いづみこ
「ピアニストは指先で考える」青柳いづみこ
「指先から感じるドビュッシー」青柳いづみこ
「ピアニストが見たピアニスト」青柳いづみこ
「六本指のゴルトベルク」青柳いづみこ

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