「神々の対話」ルーキアーノス

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冥土の王様から1日だけ暇をもらって浮世を見に来たというカロオンは、丁度出会ったヘルメスに、ぜひ地上を案内して欲しいと頼み込みます。ヅェウスの用で忙しいヘルメスですが、カロオンには日頃世話になっていることもあり、オリュンポスやオッサ、ペーリオン、オイテー、パルナッソスといった山々を積み上げてその上に座り、2人で下界の人々の様子を見ることに... という「カロオン」他、全7編の作品集。

「本当の話」が読みたかったルキアーノス、この本が復刊した時に一応買ってたんですが、旧字旧仮名遣いで訳が古いままだし(だって「ゼウス」が「ヅェウス」ですよ!)、活字もすっかり潰れてて読みにくそうなので、しばらく放置してしまったんですよねえ。でもいざ読んでみたら。これが面白いのなんのって! ギリシャ神話好きには堪らない、風刺の効いた短篇集でした。読んで良かったーー。
特に面白かったのは、上にもあらすじを書いた「カロオン」と、表題作の「神々の対話」。「カロオン」というのは、冥府の河ステュクスの渡し守のカロンのことです。闇の神・エレボスと夜の女神・ニュクスの息子であるカロンは、生まれてこの方ずっと冥府に暮らしてるんですね。地上に出てくるのは、今回が初めて。仕事で時々冥府を訪れるヘルメスとは顔馴染みなので、その関係でヘルメスに地上を見せてまわってくれと頼むんですが... このヘルメスとカロン、そして彼らが覗き見る人間たちの会話に風刺がたっぷり効いていて可笑しいし楽しいし。ギリシャ神話に語られているエピソードが、将来起きる出来事として予言されていたり。もうニヤリとさせられっぱなしです。
そして表題作の「神々の対話」は、様々な神々たちの素顔を覗き見るような楽しさのある作品。自由と引き換えにテティスにまつわる秘密をゼウスに話すプロメテウスとか、ヒュアキントスの死を嘆くアポロンなんかは、普通に神話のエピソードをそのままなぞったものなんですけど、自分の浮気癖を棚に上げて、もっと優美な姿で女性に近づきたいとエロスに文句を言うゼウスとか(いつも牛とか金色の雨とかだからね)、まさにガニュメデスを口説いている最中のゼウスとか(好色親爺めッ)、ヘルメスの手の早さや音楽の才能に目を細めているようなアポロンとか(まるで父親みたいだ)、ヘラとレト(アポロンとアルテミスのお母さんね)の我が子自慢と嫌味の応酬とか(コワイコワイ)、使い走りばかりさせられて愚痴ってるヘルメスとか、可笑しい会話がいっぱい。トロイア戦争の元となった金の林檎のエピソードで、アプロディテがパリスを買収する場面なんて、現実感ありまくり。まるでギリシャ神話版ショートコント。これは今の時代でも笑えるセンスですね。素晴らしいー。
金持ちにあこがれる靴直しの青年をうまく言いくるめてしまう鶏の話「にわとり」も面白かったし... この鶏は、前世で様々な人生を体験していて、そのうちの1人は哲学者のピュタゴラスなんですよ! あと「無学なる書籍蒐集家に与う」は本当に皮肉たっぷりで~ ローマ時代にも応接間に全集を飾って悦に入るような人たちがいっぱいいたんですね。積読本が多い読者には、ちょっぴり耳が痛い話かも。(笑)(岩波文庫)


+既読のルキアノス作品の感想+
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