「幻獣辞典」ホルヘ・ルイス・ボルヘス、マルガリータ・ゲレロ

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ボルヘスによる、古今東西の幻獣案内。キリンやライオンの住む現実の動物園ではなく、スフィンクスやグリュプス、ケンタウロスの住む神話伝説の動物園。

世界中の神話や伝説に語られている幻獣を集めた本。とは言っても、もちろん全てを網羅しているのではなく、そのうちの120ほどが紹介されているに過ぎないのですが... でもボルヘスが編んだというだけあって、私にとってはそのフィルターがとても面白かった本でした。ボルヘス自身が好きな本とか読んでる本まで見えてくるようなんですよね。(というのは、ボルヘスの他の作品でも同じなんだけど) 世界各地の神話や聖書、ヘシオドスの「神統記」やオウィディウスの「変身物語」、ホメロス「オデュッセイアー」、プリニウス「博物誌」、ダンテ「神曲」、アリオスト「狂えるオルランド」、シェイクスピア、「千夜一夜物語」などなどなど。原資料にも私が好きなのがいっぱいあるから、尚更楽しいというわけですが~。そしてこの本の大きな特徴としては、例えばサラマンドラやセイレーン、バジリスク、ミノタウロスといった一般的な幻獣だけでなくて、例えば「カフカの想像した動物」「ルイスの想像した動物」「ポオの想像した動物」なんて、特定の作家が想像して描き出した動物まで載ってること。ルイスの場合、ナルニアシリーズに出てくる「のうなしあんよ」みたいなのじゃなくて、「マラカンドラ」や「ベレランドラ」のシリーズの方から採られてるというのがまた渋い。(笑)
「引用した資料はすべて原典にあたり、それを言語ーー中世ラテン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語ーーから訳出すべく、われわれは最善を尽くした」というのが素晴らしいですー。さすがに中国語や日本語は、原典にまではあたってないようですが。日本からは八岐大蛇が登場。そして中国からは竜や鳳凰、亀、一角獣といった四種の瑞獣を始め、饕餮(トウテツ)なんかも登場。「山海経」と思われる文章も。

いわゆる「辞典」として活用するには紹介されてる幻獣の数もそれほど多くないし(古今東西の幻獣って一体どのぐらいいるんだろう??)、ボルヘスのフィルターがかかりすぎてるでしょうし、もっと流通している、例えば「世界の幻獣が分かる本」的な本の方がいいでしょうけど、こちらはそういった本とはまた全然違う付加価値がありますね。 1969年の序に「誰しも知るように、むだで横道にそれた知識には一種のけだるい喜びがある」とありましたが、まさにその通りの書でした。楽しかった!(晶文社)


+既読のホルヘ・ルイス・ボルヘス作品の感想+
「創造者」J.L.ボルヘス
「エル・アレフ」「伝奇集」ホルヘ・ルイス・ボルヘス
「幻獣辞典」ホルヘ・ルイス・ボルヘス、マルガリータ・ゲレロ

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Commentaires(2)

忘れられた頃にこんにちは(苦笑)。
森山です。
ついでに残暑お見舞い申し上げます。

『幻獣辞典』超好きです!
好きな本を三冊あげよと言われたら必ず入る一冊です。
どこが好きと言って全部好きですね。
幻獣好きとしてもファンタジィ好きとしてもたまらない作品です。
お小遣いを貯めて中学生のときに買ったんですよねー。
今うちにあるのは三代目。
未だに折にふれては眺めている大切な本です。

森山さん、こんにちは~。
忘れるなんてことはまさかあり得ませんが(笑)
こちらこそご無沙汰してしまってごめんなさい。
残暑お見舞い、ありがとうございます。
毎日ほんと暑いですよねえ。

「幻獣辞典」いいですね!
森山さんがお好きだというの、ものすごくよく分かります。
なんと今あるのが3代目だったとは~。すごい~。素晴らしい~。
中学生には高価な買い物だったでしょうね。
でもそれだけの価値はあったということですね。^^

私もこの手の本は大好きなので~。感想を書かねば。

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