「水の女」「黄泉の女」「眠る女」

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・セイレーン、マーメイド、魔性の女、異教のヴィーナス、誘惑する水界の魔女など、可憐で妖艶な水の女たちを集めた異色の画集。ラファエル前派や世紀末の画家たちが描いた、19世紀ロマン主義の官能と退廃。...「水の女 From the Deep Waters」
・真夏の光のもとで、永遠の眠りの魔に囚われる女。いばらの森で王子の目覚めの口づけを待つ眠り姫。恋に溶けたからだの微熱のなかでまどろむダナエ。夜の虚空に愛された「夢魔」の女。地と天を結ぶ一弦の糸に耳を澄まし、無力に哀切に目を閉じる少女。ウォーターハウス、クリムト、デルヴィル、フュスリ他、収録画多数。...「眠る女 Sleeping Beauty」
・19世紀末―爛熟した美と退廃の時代、現実に倦みはてた人々が生み出した、聖であり、邪でもあり、純真で残酷で、類い稀に美しい「黄泉の女」たちの多彩なイメージを、繊細に編み上げて、世紀末をあざやかに映し込めた異色の画集。ベルギー象徴派やラファエル前派の画家たちが描いた珠玉の44作品をフルカラーにて収録。...「黄泉の女 To the End of the World」

出版社の案内をそのまま引用してしまいましたが...
この3冊は以前リブロポートという出版社から「A Treville Book」シリーズの本として刊行されていた本。その後リブロポートが倒産、「水の女」だけは河出書房新社から3年ほど前に復刊されて私も買ってたんですよね。で、「眠る女」と「黄泉の女」もいずれ復刊されるだろうと思って待ってたんですが、全然その気配がなくて! 結局ネットで探して購入してしまいましたよー。定価以下では買ってるけど、でもやっぱりお財布はイタイ。でもでもその価値はありました。いや、もう本当に、美しい!!
特にラファエル前派はやっぱり素敵。大好き。

まず「水の女」は、「Sights of Water」「Water Nymphs」「From the Deep」「Water Blooms」の4章。主に題材となっているのは、「ハムレット」のオフィーリアや「テンペスト」のミランダ、アーサー王伝説のエレインや、マーリンが心を奪われるニムエ、ヘラクレスの従者のヒュラスを誘惑したり、オルフェウスの首を見つけるニンフたち。キルケー、ケルピー、マーメイド、セイレーンなどなど。オフィーリアだけでも7枚ありますしね。ここに収められていない絵もまだまだあるはず。文学作品が画家に与えるインスピレーションというのは、すごいものがあるんでしょうね。アーサー王伝説のエレインも4枚あるし。特にウォーターハウスの「シャロットの女」は素晴らしく、高宮利行さんによる解説も素晴らしいので、テニスンの「シャロット姫」はもちろんのこと、夏目漱石の「薤露行」(感想)も読み返したくなります。さらには、そういった文学作品から派生していない絵画ですら、どの絵からも物語が立ち上ってくるように感じられるのが素晴らしいです。
一番好きなのは、ポール・ドラローシュの「若き殉教者」。ウォーターハウスの「ヒュラスと妖精たち」も素敵。このニンフたちが本当に美しくて。(どのニンフを見ても、顎がジェーン・モリスに見えてしまうのだけど。笑)

「眠る女」は、「Flaming June」「Sleeping Princess」「The Nightmare」「Hope」の4章。こちらにも「Sleeping Princess」という章題からも想像できるように「いばら姫」「眠りの森の美女」といったモチーフはありますし、金色の雨を浴びながら眠るダナエや、「神曲」のパオロとフランチェスカもいるのですが、こちらでは、文学作品から触発された作品というのは、あまり多くなかったです。
山田登世子さんによる解説の最初に「《美しいもの》はすべて眠る」という、E.A.ポーの「眠る女」からの引用がありました。ここに描かれているのは、眠っている間に時を止められてしまった女性たち。永遠の眠りはたたただ甘美で... 彼女たちはそのまどろみの中で、その美しさを永遠に保つことになるのですね。「水の女」とはまた違い、絵から物語を感じるというよりも、絵の中に描かれている女性と一緒になって、その永遠の眠りの中をたゆとう存在となってしまいたくなる画集。この中で一番好きなのは、フレデリック・レイトン卿の「燃えあがる六月」。あと特に好きなのは、ジョン・エヴァレット・ミレイの「二度目のお説教」、フランク・カドガン・クーパーの「眠るタイターニア "真夏の夜の夢"より」辺り。

そして3冊目の「黄泉の女」は、「Love and Life」「Wounded Angel」「Punishment of Lust」「Night with her Train of Stars」の4章。こちらはまた、キューピッドとプシケーや、エンディミオン、オルフェウスとエウリュディケ、ペルセポネ、メデア、スフィンクスといったギリシャ神話系のモチーフが多いです。あと目につくのはエデンの園のイメージ。滝本誠さんの解説を読んで、ジョヴァンニ・セガンティーニの「よこしまの母たち」の読み解き方になるほど~。ここにはあと「淫蕩の罪」しかないけど、これもなんだか繋がった物語のように感じられるし、他の作品も色々と見てみたくなっちゃうなあ。
そしてこの本で一番好きなのは、ソフィー・アンダーソンの「ニンフの頭部」。あとは表紙にもなっているエドワード・ロバート・ヒューズ「夜と星の列車」もすごく素敵だし、フランク・カドガン・クーパーの「ラプンツェル」には意表を突かれました。この表情、すごいな。

3冊の中ではやっぱり「水の女」が一番好きでしょうかー。最初に入手したというのもあるでしょうし、「水の女」というのが今の私の隠しテーマ(別に隠してません)になってるので、それもあるでしょう。この本が一番、そのテーマに焦点が合ってると感じるというのも。でも「水」と「眠り」と「死」は、同じ事象に対するまた違う表現に過ぎないようにも思うし、結局のところは、切っても切り離せない存在かも。どれも何度も何度もめくっては、ため息をつきながら見入ってしまう画集です。(河出書房新社・リブロポート)


 
左は3冊一緒に撮ったところ。「水の女」だけは復刊されたものだけど、元々のデザインのままなので3冊揃えてもまるで違和感がありません。素敵でしょう?
右はポール・ドラローシュの「若き殉教者」。この人はラファエル前派じゃなくてロマン派。

 
左がフレデリック・レイトン卿の「燃えあがる六月」。このオレンジ色にノックアウト。
右はソフィー・アンダーソンの「ニンフの頭部」。タイトルがイマイチなんだけど...(笑)

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Commentaires(8)

四季さんこんばんは♪

なんて綺麗なオレンジ色なんでしょう!
思わずじーーっと魅入っちゃいました。
そのほかの絵も全部素敵~・・。
妖精についてはほとんど知識がないんですけど、
こういう絵ってすごく好きで。。。
画集なんですね、高いけど。。。欲しい・・・。


あっ絵といえば、いせひでこさんの「にいさん」
すごかったです!本当に引きずり込まれるという感じでした。
絵も1枚1枚がすごかったし、言葉も選び抜かれていて、
いせひでこさんの強い思いに圧倒されました。

「むぎわらぼうし」、「ルリユールおじさん」、「にいさん」
どれも見ればいせひでこさんの絵だってわかるけれど、
雰囲気もタッチも全然違うんですよね。
それぞれが物語にぴったりの美しさで・・すごいですね~。


教えて下さってありがとうございました(*^^*)

もろりんさん、こんにちは~。
ねね、このオレンジ色、すごいでしょう?
ほんとじーっと見入ってしまいますよね。なんて魅惑的!
まさに「眠る女」ですよね。
この絵が「眠る女」の画集の一番最初に入ってたんです。
そこですっかりやられてしまいましたーー。
…モデルさんは、絵が描かれている間、本当に寝てたのかしら?(笑)

画集には、他にもいっぱい素敵な絵が入っているので
ぜひぜひ実物を一度手にしていただきたいです。図書館にないかしら?
一度見てしまったら、やっぱり欲しくなってしまいそうですが~。

あ、いせひでこさんの「にいさん」、読まれてましたね。^^
あれもすごいですよねーっ。
あの黄色と青。もう本当に絵もお話もすごい勢いで迫ってきますよね。
それだけ長い間、強い思いを抱き続けてらしたんでしょうね。
その思いがこれで昇華されるのだろうな、と思いました。

ほんと、どれを見てもいせひでこさんの絵だってすぐ分かるのに
どれも絵のタッチが全然違いますねー。
それぞれの物語に、一番ぴったりとした絵。
そのどれもがそれぞれに素敵だというのが、改めて凄いですね。

こんにちは。カキコミご無沙汰しております。
 画集、よいですねぇ。こういう美しいものは眺めているだけで幸せな気分になります。オレンジの美しさもひだの微妙な陰影もあまりに素晴らしいです。いいなぁ、こういうの。ニンフの頭部もいいけれど、やっぱりオレンジかなぁ。いつまでも、何年でも飽きずに飾っていられそうな美しさです。
 

樽井さん、こんにちは~。
カレー屋のオープンを密かに楽しみにしてる四季です。
「バルサの食卓」、実はほぼ同時に読んでましたか?(笑)

画集、いいですよね~。
美術系の本ってすごく大きくて重くて持つだけで疲れるのも多いですが
これはすごく手に馴染む大きさで、でも上質で、その辺りも気に入ってるんです。
トレヴィルの本は河出書房新社からぼちぼちと復刊されているので
「水の女」以外の2冊もぜひ復刊して欲しいところ。
だって、このオレンジ色! やっぱりすごいですよね。
そのものずばり「フレデリック・レイトン」という画集も出てて
こちらの表紙はまさにこのオレンジ色の絵なんですが
アマゾン(中古)では18,494円というとんでもない値段がついてました…
そちらも併せて復刊していただきたいところです。

 おはようございます。
 どうして画集ってそんなに高いのですかねぇ。そのあたりの敷居の高さが悪循環で売り上げをまた悪くしているような気がするのですがね。
 カレーショップ、ビザがなかなか発給できなくてインド人がこれません^^ なのでバーのほうが先になりました。バーは、学生さんが大学をお休みのいまガラガラですが、ゆっくり練習していってくれたらなぁ、です。どちらも10月頃には本格的に稼働していくことになるんじゃないかな?
 「バルサの食卓」、たぶんそうですね^^ 最近、「獣の奏者」も読んでいて上橋さんにどっぷりとハマっています。

次の朝ですが、おはようございます~。
ほんと、画集は高いですよね。高くて重くてすぐ絶版の三重苦。(笑)
それでもこの3冊は、まだ中古でもとんでもない値段ではないのでマシな方ですが。

ああー、そうか、本場の人を呼ぼうと思うとなかなか大変ですね。>カレー屋
正式に稼動し始めるのを楽しみにしてまーす。で、こっそり食べに行きます。(笑)
あ、「獣の奏者」も読んでらっしゃるんですねー!
読むかどうしようか迷ってたんですけど、講談社文庫からも出始めたので
そちらが揃ったら、いよいよ私も読み始めようかなと思ってます。^^

 こんばんは。
 今日読んだ漫画のネタの一つにレイトンの話が出て来ていて、まさにこのオレンジの「燃え上がる六月」が中心にありました。なんか嬉しかったなぁ。

わー、そうなんですか。すごい!
そういうのがあると嬉しいですよね。
その勢いで、絵も画集か何かで見られるといいですね~。

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