「ジーキル博士とハイド氏」スティーヴンスン

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弁護士のアタスン氏と遠縁のリチャード・エンフィールド氏が恒例の日曜日の散歩をしている時に出たのは、ロンドンの繁華街の裏通りにあるドアの話。それはエンフィールド氏が初めてハイド氏を見かけた場所。早足で歩いていたハイド氏は、懸命に走っていた少女と正面衝突し、倒れた少女の身体を平然と踏みつけたのです。悲鳴をあげている彼女をその場に置き去りして歩み去るハイド氏に、エンフィールド氏は思わずの小男の襟首をつかんで現場に引き立てることに。そして少女の家族とやがて現れた医者と共にハイド氏を非難するのですが...。このハイド氏は、相手に嫌悪感を抱かずにはいさせないタイプの小男でした。

作品を読んだことのない人でも、「ジキルとハイド」といえば知ってますよね。既に有名になりすぎていて、改めて読む気がしないという人も結構いそうです。結構スリリングなサスペンスですごく面白いので、ネタがあまりに有名になってしまってるのが勿体ないなーと思うのですが... ネタを全然知らずに読めば、どきどきワクワクしながら読めるはず。でも有名な作品になってしまうと、ネタばれなしに読むのってほんと難しいですね。という私は、ふと読みたくなって、久しぶりの再読です。中学か高校の時に読んで以来。まあ、その時もネタを知りつつ面白く読んだのですが、今回はさらに面白く読めました。
でも今回ちょっと意外だったのが、というか、すっかり忘れていたのが、ジキルとハイドの分かれ具合。なんとなくカルヴィーノの「まっぷたつの子爵」(感想)のような感じに思ってたんですけど、そうじゃなくて! ジキル博士は確かにいい人なんですけど、それでも若い頃には結構放埓な生活を送っていたという人。ハイド氏が登場した後も、その性格は基本的にまるで変わっていないようです。そもそも、最初に登場する時に「きれいに顔をそった五十歳の博士は、多少狡そうなところもあるが、知性と善意にあふれている」とあるんですね。ここの「多少狡そうなところもあるが」というのが気になるーーー。だってこの時点では既に、なんですもん。ハイド氏のおかげで、悪の部分が抜けきったわけじゃなかったんだ! となれば、そりゃハイド氏の方が純度が高い分(?)強いでしょう。ジキル博士は、世間一般が好人物だと考えている、普通の人間のままなんですもん。
そうか、そうだったのか。この辺り、色々と突っ込んで考えていくと面白そうです。スティーヴンスンは、その辺りのことはどう考えてたのかしら。あまり深く考えていなかったのか、それとも考えつくした結果がこの作品なのか。こういうのって卒論のテーマにもいいかもしれないですね?って卒論を書く予定なんて、実際には全然ないんですけど。(笑)(岩波文庫)


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Commentaires(2)

はるか昔に1度だけ読んだことがありますが、もうすっかり忘れてます。^^;
そうなんですよね。有名だとまともに読んでなくても読んだ気になっちゃったりしますよね。
実は我が家には、中学生向けの解説付きの本があるのです。(中学生の娘用に連れ合いが買ってきたのが読まれないままそのままになっていたりします。^^;)
ジキル博士の100%善人じゃない部分について何か書かれているか、今度読んでみますね。

Johnnycakeさん、こんにちは~。
私も、もう細かい部分をすっかり忘れてましたよー。
最初に読んだ時は、案外短くてびっくりしたんですよね。
で、話は面白く読んだものの、それ以上は特に何も考えてなかったので…
今回読み返してみて、ジキル博士が100%善人ではなかったことに気付いてびっくりしました。
でも私が読んだ岩波文庫版には、それに関しては何も書かれてなくて。
なんでそこで綺麗な対称形となってないのか、ものすごーく気になります。
おおー、中学生向けの解説付きの本! 何か書かれていたら、ぜひ教えて下さいねー!!
(あ、もちろん他にも何か面白いことが書かれてたら、それもぜひぜひ♪)

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