「フランス田園伝説集」ジョルジュ・サンド

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農民たちが啓けていくにつれて失われていく、その土地土地に伝わる数々の素朴な物語。しかし人類は長い間そういった物語を糧にして生きてきたのです。ここに収められているのは、19世紀半ばにジョルジュ・サンド自身がフランス中部ベリー地方の農村に伝わる民間伝承を採集したもの。息子のモーリス・サンドもフランス各地の言い伝えや民謡、伝説を集め、それらのために自ら挿絵を描いており、それらの絵もこの本に収められています。

フランスの代表的な伝説といえば、巨人のガルガンチュワに、下半身が蛇の姿の美しいメリジューヌ、そしてアーサー王伝説... でもここに収められているのは、そういった広く流布した物語でも英雄譚的な立派な物語でもなくて、もっと田園の農民たちが炉辺で語るような、ほんの小さな物語。巨石にまつわる物語や霧女、夜の洗濯女、化け犬、子鬼、森の妖火、狼使い、聖人による悪霊退散... こういうのは、ちょっとした目の錯覚や、聞き間違い、そんなところからも生まれてきたんでしょうね。フランスにおける「遠野物語」という言葉が書かれていましたが、まさにそうかもしれません。どれもごくごく短いあっさりした物語なんですが、それだけに生きた形で伝わってきたというのを強く感じさせます。そういった物語を通して、それらの物語が生まれた土地までもが見えてくるような気がします。素朴で単純だけれど、飽きさせない、噛み締めるほどに奥深い味わいがある、そんな魅力を持っていると思います。それに、特に強く感じさせられるのは田舎の夜の暗闇。やっぱり暗闇というのは、人間の想像力を色々な意味で刺激するものなのですね。そして、ジョルジュ・サンドの「愛の妖精」や「ばらいろの雲」といった作品の背景にもこのような物語が隠されていたんだなあと思うと、それもまた感慨深いものがありますねえ。(岩波文庫)


+既読のジョルジュ・サンド作品の感想+
「愛の妖精」「ばらいろの雲」ジョルジュ・サンド
「フランス田園伝説集」ジョルジュ・サンド

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