「怪談」ラフカディオ・ハーン

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日本に帰化し、「小泉八雲」と名乗るほどに日本を愛していたラフカディオ・ハーン。彼が日本各地に伝わる伝説、幽霊話などを再話した、有名な「耳なし芳一のはなし」を始めとする17編の「怪談」と、「蝶」「蚊」「蟻」にまつわる3編のエッセイ「虫の研究」。

ラフカディオ・ハーンは、アイルランド人の父とギリシャ人の母の間に生まれて、アイルランド、フランス、イギリスで教育を受けた後にアメリカに渡ってジャーナリストになり、さらに紀行文を書くために来日したという人物。日本では高校や大学の英語教師をつとめ、小泉節子と結婚し、その後帰化。イザベラ・バードやアーネスト・フェノロサらと並ぶ日本紹介者として有名ですね。そのラフカディオ・ハーンが、妻である節子から聞いた怪談話をきっかけに、日本古来の文献や民間伝承に取材して創作したという短篇集です。原文は英語で書かれていて、これはそれを日本語に翻訳したもの。

「耳なし芳一」や「雪女」といった話は、もう本当に有名ですよね。最早ラフカディオ・ハーンの手を離れてるのではないかと思うほど、一般に浸透した昔話となっていますが、その他の話もよく知られているものが多いです。でも知っている物語でも、改めて読むと思っていたのとはまたちょっと違っていてびっくり。例えば「耳なし芳一」は、主人公の芳一は目が見えないので、基本的に視覚的な描写というのがないはずなんですが、これがものすごく映像的なんです。特に芳一が甲冑に身を固めた武者に連れられて「さるやんごとないお方」を訪れる場面。芳一の耳に聞こえてくる音からでも、情景が立ち上ってくるみたい。「雪女」も、子供用の絵本からはちょっと味わえない、しみじみとした哀切感と夢幻的な雰囲気があって素敵だったし...。可笑しかったのは「鏡と鐘」。「ちょっと言いかねる。」で終わってしまうところが絶妙なんですよね~。(これだけじゃあ意味が分からないと思うので、ぜひ読んでみて下さい♪) しみじみとした美しさのある「青柳ものがたり」もとても好きな作品。今回改めて読んでみて、純粋に物語としての面白さが楽しめたのはもちろんのこと、その端々から江戸~明治時代の時代背景を伺い知ることができたのも楽しかったです。そしてラフカディオ・ハーンの再話能力のすばらしさも。この「怪談」の日本的な部分があくまでも日本らしく描かれているのは、ラフカディオ・ハーンはキリスト教に対してそれほどの信頼を置いていなかったというのが大きく関係しているような気もするのですが... どうでしょう。
そして意外な収穫だったのが「虫の研究」。これは虫にまつわる3編のエッセイなんですが、ここでは生まれながらの日本人ではないラフカディオ・ハーンの視点から語られることが、単なる虫に関する意見だけでなく、文化論・文学論にも発展するようなものだけにとても興味深かったです。蟻社会を人間社会に重ね合わせた「蟻」も哲学的だし、どこか近未来小説みたいで(というのは私が「一九八四年」を読んだところだから?)面白かったです。(岩波文庫)

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Commentaires(4)

ラフカディオ・ハーンの作品だったと思うんですが、「鮫人の恩返し」だとか「鏡のおとめ」が好きです~。どちらも恩返しの話。鶴の恩返しと通じるところがあるかもしれません。

ラフカディオ・ハーンの怪談といえば、1965年に映画化された「怪談」Kwaidanが秀作でした。
「和解」「雪女」「耳無し法一の話」「茶碗の中」の4つの話を映画化しているのですが、本当に印象に残る映画です。

今でも大昔に録画したビデオテープを持っているんですが、DVDが出ているようなので、購入しようか考えているところです。

Johnnycakeさん、こんにちは~。
今回読んだ岩波文庫版には、その2つの作品は入ってなかったです… 残念!
角川文庫や講談社文庫で「怪談・奇談」というのも出てるので、そちらにはあるかも?
今度ぜひ探してみます!
この記事の次の「妖精メリュジーヌ伝説」も鶴の恩返し系の話なんですけど
同じパターンの話にも色々あって面白いですね。
どんなお話なのか読んでみたいです~。

1965年に映画化ですか!
アマゾンを見てみたらDVDは1つしか出てこなかったんだけど、これかしら?
岸恵子と仲代達矢が出てるヤツ。
海外のホラー映画で本当に怖いと思うのって、そう多くないんですが
(どちらかというと、スプラッタが多いですしね)
日本のホラー映画って、映像といい音といい、ものすごく怖いんですよね…
日本人の怖がるツボを押さえてるというだけかもしれませんが~
なんだか想像しただけでドキドキしてきます。

>岸恵子と仲代達矢が出てるヤツ。

そうそう、それです~。

おっしゃるとおり、日本のホラーって怖いですよね。
西洋でも怖いのあるけど、やっぱり日本のが怖い。^^;
似ているからなのか、韓国のホラー映画なんかもちらっと見ただけでぞぞぞぞぞ~、としましたです。中国まで行くともうすこし距離があるように思います。

ホラーは苦手なので、極力見ないようにしているんですが、この「怪談」はホラーではなく、不思議な話という感じで、本当に美しい映像でした。

あ、やっぱりそれだったんですね!
そしてJohnnycakeさんもホラーが苦手でしたか。
やっぱり日本のホラーは一番怖いですよねえ~~。
韓国のも怖いんですか。それは気をつけなくちゃ。
中国のホラーといえば、キョンシーとかしか思い出せない…
…って、あれはきっとコメディですね。(笑)
志怪小説なんかでも結構可笑しみがあるのが多いから、ちょっと違うかもしれないですね。

映画の「怪談」は、そうですか、ホラーじゃないんですね!
美しい映像と聞くと、俄然見てみたくなります。
でも近所のレンタル屋が潰れてしまって…
新しいお店、出来ないかな~。見てみたいな~。

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