「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵

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ある朝突然、仲良しのことりが死んでしまい、悲しんだくまは綺麗な箱を作って、その中にことりを寝かせて持ち歩きます。ことりは一見眠っているだけのよう。しかし森の友達たちは、箱の中のことりを見るとみな困った顔をして、もう早くことりのことを忘れた方がいいと言うのです。くまはとうとう暗く締め切った部屋に閉じこもってしまい...。

まず、くまとことりの「きょうの朝」の話のところで、心が鷲掴みにされました。

「ねえ、ことり。きょうも『きょうの朝』だね。きのうの朝も、おとといの朝も、『きょうの朝』って思ってたのに、ふしぎだね。あしたになると、また朝がきて、あさってになると、また朝がきて、でもみんな『きょうの朝』になるんだろうな。ぼくたち、いつも『きょうの朝』にいるんだ。ずっとずっといっしょにね」

「そうだよ、くま。ぼくはきのうの朝より、あしたの朝より、きょうの朝がいちばんすきさ」

それなのに、そんなことを言い合える、かけがいのない友達を失ってしまっただなんて。ああ、切ないです。深い悲しみを癒すには、確かに時間が一番の薬なんだけど... くまだってそんなことは薄々は分かってたかもしれないんだけど... でもそんなに簡単に割り切れるはずないですよね。純粋にことりを失った悲しみ、やるせない喪失感はもちろんのこと、死んでいくことりに何もできなかった自分への責めや悔いもあったかもしれない。でも、そんな悲しみの中に溺れそうになった時の出会い。そしてあの一言。ああ、くまはこの一言が欲しかったんだなあって思います。それなのに、森の仲間は誰もこの一言を言ってあげられなかったのか!
モノトーンの絵の中の、ほんの少しの明るいピンク色が、くまの気持ちを表しているんでしょうね。そしてきっとそのうち、もっともっと色が増えていくんでしょう。で、いつか、モノトーンの背景のそこここが綺麗な色で彩られて。そうなったら素敵だな。(河出書房新社)


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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こんにちは! 以前“ぷてぃ・かいえ”でお邪魔させていただいた木苺です。久しぶりにお伺いさせていただきました。
 昨年この絵本が出版されて間もなく、古くからの友人がお父さまを病気で亡くされてしまいました。突然の悲しみに襲われている親友の気持ちを、私が分かち合ってあげられずはずもなく、ただ「見守っているよ…」という気持ちを伝えたくって、この絵本を贈りました。一周忌を過ぎたころ彼女からお手紙をいただきました。そこには「くまくんの姿、やまねこくんのいたわりが幾日もいく日も私の心にやさしく寄り添って、いやしてくれました……」と書きしるされてありました。
 その場限りの言葉よりも、深く思いを伝えられる絵本があることって幸せだな、と思い「この絵本」には感謝の気持ちでいっぱいでした。人の気持ちを思い遣れるご本を作っていらっしゃる、湯本さんと駒子さん、これからも素敵な作品を生み出していってほしいと思いました。

 話し変わって数日前の『ビロードのうさぎ』ですが、うちの「ぼうや」も「うさぎぬいぐるみ」のと・り・こなんです!? 私は「男の子はミニ・カーやテディ・ベアが好きでしょ~」と思い込んでいたのですが、なぜか彼の勉強机には「うさぎ」が飾ってあり、とてもかわいがっています…。彼の幼少期は『ビロード~』は未出版でした。だからいま与えたら大喜び(!)し、ますます大手を振ってしまいそうです…(トホホ)。


木苺さん、こんにちは!
あちらの方、すっかり放置してしまっててごめんなさい~。
やる気がないわけじゃないんですが、なかなか腰が重くて。
どうぞこちらでもよろしくお願いいたしますね。^^

ああ、そんな時に絵本に気持ちを託して贈ってあげられるのって素敵ですね。
相手の悲しみとか苦しみを分かち合ってあげられれば、それもまたいいけれど
実際にはとても難しいことだし…
言葉だけが素通りしていってしまいそうですし…
その方が、実際に絵本を開くまでには、少し時間がかかったかもしれないですが
その時、気持ちはしっかり伝わったのでしょうね。
本当に素敵な絵本ですものね。^^

おお、木苺さんの息子さんもうさぎに夢中でしたか。
それはぜひとも! あの絵本をプレゼントしていただきたいですが~。
それこそ我がことのように感じられるでしょうね。
感想をお聞きしたいです!

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