「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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AD76年9月。今回マルクスに助けを求めたのは、ヘレナの母・ユリア・ユスタ。27歳になるヘレナの弟・アウスル・カミルス・アエリアヌスがアテナイで勉強したいと言い出して、家族がギリシアに向かう船に乗るアエリアヌスを見送ったのは8月のこと。手紙が届くのは何ヶ月も先のことになるだろうと思いきや、オリュンピアで「神殿巡り」の旅をするギリシア団体旅行の一行と知り合いになり、そのうちの1人が死亡した事件に巻き込まれたというのです。ユリア・ユスタの頼みは、ギリシアでアエリアヌスに代わって事件の捜査を行い、アエリアヌスを予定通りアテナイに行かせて欲しいということでした。

久し振りの密偵ファルコシリーズ。これが17作目です。古代ローマ時代(ウェスパシアヌス帝の時代)を背景にしたシリーズなんですが、今回はローマ帝国の属州となっている古代ギリシャを旅する話なので特に嬉しい♪ 政治的にはローマが上位に立ってるんですけど、歴史・文化的にはギリシャが先駆者。ギリシャの文化に憧れるローマ人も多いのです。4年に1度のオリンピックの開催年を変えてまで、無理矢理参加してしまった皇帝ネロもその1人だし...(ネロの時代と結構近いせいか、何かといえばネロの名前が出てきます) 古代ローマの公用語はラテン語だけど、ギリシャ人の奴隷に勉学を習う貴族の子弟も多いし、教養がある人たちは当然のようにギリシャ語を話すし、大学に行くとかならまずはギリシャ留学だし。

今回のファルコの旅に同行するのは、5人と犬1匹という賑やかな一行。オリンピックの起源となったオリュンピアの地を訪れて体育場に行ったり、世界七不思議の1つであるゼウス像を見物したり、アポロンの神殿での神託が有名なデルポイや、デルポイとはまた違った方法で神託が行われるレバデイアのトロポニオスの神託所を訪れたりと、古代ギリシャの名所めぐりが楽しめるのもとても嬉しいところ。ギリシャ神話の様々なエピソードも紹介されます。そして良きローマ人としてのファルコの目を通して見たギリシャも面白いのです。まあ、この時代に本当にこんなパック旅行があったのかどうかは知りませんが...(笑)
でも、本来の目的は殺人事件の解決。事前に分かってたのは、今回「神殿巡り」の旅の途中に死亡した若妻のウァレリアと、3年前に白骨死体で見つかったマルケラ・カエシア。でも、まだまだ事件が起こるし、ファルコの捜査も攪乱されまくり。ファルコ大苦戦。...いや、この最後のオチには驚きました。伏線は十分すぎるほどあったんですけど、まさかまさかそうくるとは...。無理矢理な気もしますが、でもすんごいですね。これがまた視覚的効果抜群なせいか、最後のシーンがフランス映画の「太陽がいっぱい」と妙に重なって感じられました。発端も展開も結末も何もかもまるで違うのにね。映画的な幕引きでした。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
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