「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子

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暖かくて気持ちの良い午後に庭で昼寝をする女の子のお話「金曜日の砂糖ちゃん」、知らない道を通って帰った男の子が今まで知らなかった場所を発見する「草のオルガン」、そして夜中に目を覚ました女の子の「夜と夜のあいだに」の3つのお話。

まず表紙の女の子の絵が好き。目を閉じたその顔は、ほっぺたも唇もぷっくりしていて、まだまだあどけなくて、頭の上にはお花の冠。そこには鳥やらちょうちょやらがとまっていて、とっても可愛いのです。そしてお話。ノスタルジックな雰囲気を醸し出す絵は相変わらずなんだけど、どのお話も、いつも以上にとても幻想的な雰囲気。表紙の白いイメージとはまた少し違っていて、こちらは夜の気配の濃いお話です。「金曜日の砂糖ちゃん」なんて、お昼寝の話なのにね。

その「金曜日の砂糖ちゃん」の絵は、黒の中の赤がすごく鮮烈です。苺や小鳥の頭、テントウムシ、そしてカマキリの目。女の子が眠りから覚めるお話ではあるんだけど、これ1つが丸ごと夢の中のお話みたい。女の子を抱き起こすお母さんは、実はお母さんではなく... むしろギリシャ神話の夜の女神・ニュクスのイメージがあります。一見ちゃんと起きたように見えても、まだまだ夢が続く気配が濃厚。そして「草のオルガン」は、この中で唯一昼間のイメージも併せ持つお話。(それでもやっぱり、私にとっては夜なんだけど) 子供の頃のちょっとした、でも本人にとってはとっても大きな冒険の時間。そして「夜と夜のあいだに」。これは妙なデジャヴを感じさせるお話。こんなこと、私にもあったような気がする... それも強烈に。読んでいると、ぞくぞくしてきてしまう。

どれも明治~昭和初期辺りの文豪の作品を思い起こさせたんですが... 「金曜日の砂糖ちゃん」と「草のオルガン」は、そのラストの文章が特に。そんな感じの、どこか懐かしいイメージなのです。でも誰のことなのか何の作品のことなのか、具体的な名称がさっぱり思い出せない自分がカナシイ。なんて思っていたら。ふと、1つ出てきました。私が一番思っていたのとはまた別なんですけど、夏目漱石の「夢十夜」の雰囲気じゃないですか? 3つの話はどれも夢の中の出来事みたいだし。でも起きた後で、「こんな夢を見た」と思い起こすのではなくて、この夢はまだ覚めてなくて現在進行形。果たして無事に現実に戻れるのかどうかは謎。
そして子供の可愛らしさを描きつつも、そこからにじみ出てくるエロティシズム。それもまた、ぞくぞくさせられる一因なのね。(Luna Park Books)


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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