「獣の奏者」1・2 上橋菜穂子

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エリンは大公(アルハン)領の闘蛇衆の村で育った少女。エリンの母・ソヨンの獣ノ医師としての腕は非常に高く、闘蛇の中でも最強の<牙>の世話を任されていました。しかしエリンは、自分たち母娘は集落の人々とはどこか隔たりがあると感じていました。それもそのはず、ソヨンは元々霧の民(アーリョ)であり、戒めを破って闘蛇衆の頭領の息子だった父・アッソンと恋に落ちたのです。アッソンは既に亡くなっており、頭領である祖父はソヨンの腕を認めながらも、2人に冷たい視線を向けるのみ。そしてそんなある晩、闘蛇の、それも<牙>10頭全てが死ぬという事態が起こります。ソヨンはその責任を取って処刑されることになり、エリンはそれを助けようとして、逆に母に闘蛇の背に乗せられて逃げのびさせられることに。そして意識を失って倒れていたエリンを助けたのは、真王(ヨジェ)領の山間地法で蜂飼いをしていたジョウンでした。

アニメにもなりましたよね。でもアニメを見て、本を読もうと思った方も多いかなと思うんですが(図書館にもそういう人がいっぱいいたなあ)、私自身はアニメを見てもあまりそそられず... いや、元々あまりアニメは好きではないというのも大きいんですけど... まあ、当分読まないかな、なんて思ってた作品です。でもあの分厚いハードカバーが講談社文庫になると知って! いい機会かも、なんて思ってたら、タイミングよく背中を押していただいて! 無事読むことができました。
いやあ、面白かったーー。
「守り人」シリーズも「狐笛のかなた」も大好きだし、読めばきっと面白いんだろうなとは思ったんですけど、やっぱり面白かったです。(それなら、なんでさっさと読まないんだ、私)

「守り人」と同じく異世界ファンタジーなんですが、私の勝手なイメージ的には高句麗、百済、新羅辺りかな?(その辺り、勝手に言ってるだけであまり知らないので、突っ込まないで下さい)
エリンの母の闘蛇に関する教え、謎めいた霧の民、そしてこれから学んでいこうとする王獣のこと。それらの根底に同じ流れがあるのを感じつつ... まさしくエリンの書いた「獣について学ぶことは、きっと、自分が知りたいと思っていることに、つながっているはずである」ということに通じるんだろうなと思いつつ。人と獣との関係。本来、人と獣とはどういった関係であるべきなのか、そして飼いならされた獣の失ってしまったものと、獣本来の姿とは。さらには「操る者」ではなく「奏でる者」としての「奏者」という言葉にも興味を引かれつつ。
いや、一気に読んでしまいました。人間と獣とは違うと何度言われても、何度痛い目に遭っても、また獣を信頼してしまうエリン。その辺りが上橋菜穂子さんらしいなあと思いますね。痛い目に遭いながらも、傷つきながらも、相手を理解しよう、受け入れよう、としてしまう...。もちろん種が違えば考え方も違うし、なかなか上手くいくわけがないんですが、それでも希望は捨てなければ、いつか分かり合える一瞬がくるのかも。人と獣に限らず。

上橋菜穂子さんはこの2冊を4か月で書きあげられたのだそう。確かに、やや性急な展開で、登場人物たちも描き切れてなかったかもしれないな、とも思うんですが、でもそれ以上に、大きな流れや勢いを大切にして描かれた作品なんだなというのを感じますね。いや、見事でした。これで綺麗にまとまったと思ったので、続編が書かれたということに改めて驚いてしまいますが...。やっぱりこれは続きも読んでしまうんだろうな。でも、もうちょっとあとで。こちらをもう一度読み返して、消化しきってから読んだ方が良さそうです。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「獣の奏者」1・2 上橋菜穂子

+既読の上橋菜穂子作品の感想+
「虚空の旅人」「神の守り人 来訪編」「神の守り人 帰還編」「蒼路の旅人」上橋菜穂子
「天と地の守り人」1~3 上橋菜穂子
「流れ行く者 守り人短編集」上橋菜穂子
「バルサの食卓」上橋菜穂子・チーム北海道
Livreに「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」「狐笛のかなた」の感想があります)

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ちょっとブログの更新が滞ってしまっていました。  「守り人シリーズ」で使い果たし... » Lire la suite

Commentaires(14)

こんにちは、YO-SHIです。

この本は面白かったですね。私は「守り人」シリーズを読み終わって
もっと上橋菜穂子さんの作品を読みたい、と思って手に取りました。
その後、NHKでアニメ化され、今に至っても録画して見ています。
「おじさんが夜中にアニメ見てるってどうよ」と奥さんに言われながら。

アニメはお好きでないようなので、ちょっとおススメはしにくいですが
登場人物の描き方はアニメの方が丁寧ですよ。この辺りは、アニメ化に
当たって練り直したのでしょうね。

続編を図書館に予約したので、近々読めると思います。
 

ぼくも、こないだ一気読みしました。
文春のIII・IVのレビューを読んで興味を持ったという事情もあり、
IIで終わらないのは解っていたので、これで完結と思って読んだ人ほどの
喪失感はおそらくありませんでした。
世界が意外にローカルなこと、後半(II)ヤケに展開がバタつくこと、
「ゲド戦記」ほどじゃないけどフェミニズム臭が物語世界からはみ出していること
――など、いくつか気になる点はありましたが、かなり面白かったので
III・IVも速攻で図書館に予約入れてしまいました。

こんにちは。
「獣の奏者」面白いですよね。
3巻、4巻が出たと聞いてびっくりしました。
確かに2巻の終わり方はやや唐突な感じでしたが、
あれはあれで完結しているよなあ、と思っていたので。

3巻、4巻も読みたいですが
問題は1巻・2巻の内容をかなり忘れてしまっていることです。
いっそ1巻から読み直すか~?

>YO-SHIさん
おおー、アニメも見てらっしゃるんですね。
夜中に男性が1人アニメを見るとは言っても、獣の奏者だから…
もっとマニアックなものを見てらっしゃったら驚くかもしれないですが!(笑)
多分、絵がね、あんまり好きじゃないせいだと思うんですよ。
あとね、本を先に読んでた方がいいのかもしれません。
アニメでも「十二国記」は結構面白く見てたので。
(あれも泰麒が幼すぎる、とかそんな不満はありましたが)
聞くところによると、今は王獣学校にいるところまで進んでるらしいですね?
今度の土曜日、また見てみます~。
本を読み終えてるから、また違った印象で見られるかもしれませんよね。^^

続編、いいですねえ。うちのとこの図書館は結構な予約待ちになってます。
感想、楽しみにしてますね!

>b.k.ノムラさん
うんうん、読んでらっしゃいましたよね。
あの時点では、私は全然読む気がなかったのに!(笑)
3巻4巻もあるというのは、私も先に知ってたんですが
これで完結だと思ってた方には衝撃だったでしょうねえ。
アマゾンのレビューを見ると、続編を望む声も高かったようなので
喜んだ方が結構多かったのかな、と思ってたんですが…
そうか、喪失感を持たれた方も多かったんですね。

フェミニズム臭に関しては、それほど気にならなかったんですが
やっぱりちょっとバタバタしてますね。
脇とはいえ重要なキャラが置いてきぼりをくらったような気もしたし…
同じ話でもじっくり書けば、軽く全5巻ぐらいいけそう。
とはいえ、今回はこれでよかったと思いますが~。

続編、どうなんでしょう!
まだ図書館には予約を入れてないのです。
すぐ読みたい気持ちもあるし、少しこっちを熟成させたい気持ちも…
そんなこと言ってる間に忘れていっちゃう?
予約待ちしてる間に、十分熟成できるかもしれませんね。(笑)

>木曽のあばら屋さん
面白いですねえ。2冊、一気に読んでしまいましたよ。
でもやっぱり木曽のあばら屋さんも続編には驚かれたんですね。
そうですよねえ、私もあれはあれで完結してるなと思ったので
続編があることは事前に知ってたにも関わらず、やっぱり驚きました。
これはこのまましておいた方がいいのでは?なんて気もちょっとあったりして…(笑)

そうですね、3巻4巻を読まれるなら、1巻から再読する方が楽しめそうです。
一度読んでるし、一気に読めるから、それほど負担にならないのでは?
と言いつつ、やっぱりなかなかなんですよね。
私自身、一度最初からきちんと読み返してから先に進みたいシリーズ物を
そのまま読み進めちゃってますから…(笑)

この作品、自分も読みました。大満足で読みましたが、たしかに最後は駆け足で通り過ぎた感じがあるのであと一巻分くらい分厚くても良かったかも知れません。ただ、それでも十二分に読み応えもあったし面白い作品でした。 
 3巻と4巻は文庫化するまで待とうかどうか迷っているところです。けっこう賛否両論もあるようで、ちょっと迷い中です。
 四季さんと同じで読むときには全部読み返してからになりそうです。

こんにちは。

私もコレ、読みました!
すっごい、ほんとにスゴイ!としか私には言えないファンタジーです。
ドラマティックかつ社会的な部分もあるし。
おもしろかったし、感動もしたのですが私にはやや壮絶すぎだな・・・と思う面もありました。

でも、続編があるのは全然知らなかったのでビックリしました!
読もうか、やめておくか・・・・思案のしどころです。

四季さん、もしお読みになりましたらご感想を是非参考にさせていただきたいです☆(なんて、自分で読め!って感じですよね~)

>樽井さん
うん、良かったですよね!
なんだかんだいいつつ、私も大満足で読み終えましたよ~。
まあ、じっくり描きこまれてて、というのは「守り人」の方で堪能してるので(笑)
こちらはこの勢いがすごく良かったようにも思ってます。

あらら、3巻4巻は賛否両論なんですか。そうなんだ!
アマゾンのレビューをざっと見た限りでは、高評価が多そうだなと思ってたのですが…
あーでも、確かに1巻2巻ほどではないのかもしれないですね。
上橋菜穂子さんに関してはみんな期待が大きいので、ハードルは相当高そうですが~。

>Mrs.Holmesさん
Mrs.Holmesさんも読まれていたのですね~。
ほんとすごいですよね。
純粋にお話として読んでも面白いし、考えさせられる部分もあるし。
さらっと書いているようでいて、実は奥が深いなあと思うし。

でもやっぱり続巻には驚かれたのですね。
私も続巻がまだ出てない状態で読んでたら、もうそこで終わっちゃうかも…
最初から続巻が出たと知ってたから、読もうかなという気になってますが
王獣編で、一旦綺麗に幕を閉じてるわけですしねえ。

読むとしても、少し先の話になりそうなんですが~。
それでも良ければ、どうぞどうぞ参考にしてやってください。^^

四季さん、こんにちは♪
ゆっくり過去記事を読みながらここまでたどり着きました^^;

『獣の奏者』楽しまれたようでよかったです!
週間ブックレビューで上橋さんがゲストで出られた時に見たんですが、
以前はご自身も闘蛇編と王獣編で完結のつもりだったみたいです。
たしかこのⅠとⅡで「閉じた円」と表現されていたはず。

しかし今回のアニメ化をきっかけにまたイメージが膨らんだとのことでした。
(記憶があやふやになってきているので細かい表現など違っているかもしれませんが)

アニメ、エリンが教導師になってまた新たな展開を見せてますよ~
無理におすすめはできませんが(笑)面白いです。

う~ん、アマゾンのレビューは賛否両論なんですね。
やっとⅢ、Ⅳを注文したので最初からじっくり読まなくっちゃ。

はぴさん、こんにちは♪
過去記事を辿って下さって、ありがとうございます。^^

ああ、閉じた円! 私もまさにそう思っていたんです。
これで円が綺麗に閉じているのに、それでも続きがあるんだなあって。
アニメ化もきっかけの1つだったんですね~。
文庫本のあとがきに、上橋菜穂子さんが敬愛する佐藤多佳子さんが
「この完璧な物語の完璧さが損なわれてもいいから、もっと読みたい」
ということを書かれてるのを読んだのも、きっかけの1つだったとあったんです。
色々な理由が複合的に働いて、「書く」方向へと動いたんでしょうね。
その回の週間ブックレビュー、見たかったです!

アニメはね、この間の土曜日にまた見てみました。
発展した話の中で、エリンの成長ぶりが丁寧に描かれてるようですね。
でもね、やっぱり絵が… ごにょごにょごにょ。(笑)

あ、アマゾンの評価は、ざっと見た限りでは、軒並み高そうでしたよ。
賛否両論なのはブログの感想とかなのかな…? それとも??
はぴさんの3巻4巻の感想、楽しみにしてますね~。^^

こんにちは、四季さん。

何だか上橋 World にどっぷりはまってしまった観のある KiKi は
「守り人シリーズ」を一挙に駆け抜け、ついにこちらの「獣の奏者」
にも手を出してしまいました。  だいたいこういう世界観の物語が
好きなところにもってきて「奏者」な~んていうこれまたキャッチー
なタイトルがついていたら素通りなんてできませんよね(笑)

それにしても、ホント、この方は読ませる方だなぁと思います。
本来なら文庫本が出るのを待つ・・・もしくは図書館の70人予約待ち
を我慢して待つべきなんだろうと思うのですが、たまたま今日、自宅
近所のBookOff に寄り道してみたら2冊並んでチョコンと置いてあり、
KiKi は思わず購入してしまいましたぁ・・・・・ ^^;

ああ、大人になればもう少し「分別」とか「忍耐」という言葉が
身につくかと思っていたのですが、こと、CDと本に関しては
そういう言葉とは無縁の人生を送ってしまっている KiKi です。
四季さんはまだ残りの2冊を読んでいらっしゃらないのでしょうか?
エントリーがなかったようにお見受けするのですが・・・・・。

KiKiさん、お返事がすっかり遅くなってしまってごめんなさいー。
や、このところいつも遅いですが… 今回は特別遅いです… m(__)m

「獣の奏者」もいいですよね。
上橋菜穂子さんの作品は世界がしっかりしてるから安心して読めるし
どっぷり浸かってしまう気持ち、よく分かります。
あ、3巻と4巻も読んでますよー。
でも今年の1月になってから読んだので、エントリとしては書いてないのです。

でもすごいですね、未だに図書館では70人待ちですか!
それでも文庫が出るのを待つよりは早く読めそうな気はしますが
そんなに待ってられないですよねえ。
古本屋にあってラッキーだったじゃないですか。
いや、もう、本とCDに分別は無用ということで!
と、敢えて言いきってしまいますが…(笑)
だってどちらも自分の生活や人生を豊かにしてくれるものですもん。
ほら、例えば宝石とかブランド物の服とか、そういうのに比べたら値段的にも些細だし~。
や、世の中には、お高い本もあるし、1つ1つはそれほどの金額じゃなくても
積もれば結構なことになりますが…
その分ちゃんと自分で働いてますしね。いいですよね♪
(と、自分に向って言っているような気がするワタシ)

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