「指ぬきの夏」エリザベス・エンライト

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この何週間というもの雨が全く降らず、その日も気温は43度。空はなめした皮のようにてかてか光り、地面は熱気で固くつっぱり、夜になれば雷が轟くのに、雨は一滴も降らないという状態。このままではエン麦もトウモロコシも収穫できなくなってしまうと、9歳半のガーネットも心配していました。しかしその日の夕食の後、11歳の兄のジェイと一緒に川に泳ぎに行ったガーネットは、水が減って川底が現れたところで砂に半分埋まっていた銀の指ぬきを見つけたのです。それが魔法の指ぬきだと信じるガーネット。そして実際、その日の晩何週間ぶりの雨が降り、ようやく楽しい夏の日々が始まったのです。

1930年代のアメリカのひと夏の物語。日照りの描写が続く序盤では、正直、このまま読み続けるかどうか迷ったほどの重苦しさだったんですが、ガーネットが指ぬきを見つけてからは、一気に楽しい冒険物語となりました。私は読みながらローラ・インガルス・ワイルダーの作品、特に「農場の少年」を思い出したんですが、そういった古き良きアメリカを楽しめる物語。でも、これも良かったんだけど、「農場の少年」ほどではなかったかな...
天候に左右される農場の生活は決して楽ではないものの、その土地を愛し、その土地での生活を謳歌しているガーネットたち。天候に一喜一憂し、請求書が来れば帳簿とのにらめっこ。でもその生活は、決して貧しくはないんですよね。物は豊富ではないかもしれないけど、心はとても豊か。時には面白くないことがあって家出を敢行することもあるガーネットなんですが、そんなガーネットを見つめる周囲の大人の目も温かくって、包みこまれるよう。そんな温かさが、衝動的な行動をとったガーネットにも伝わってしみ込んでいきます。
読んでいて一番好きだったのは、終盤の、エリックがジェイと一緒に将来の夢を話してる場面かな。このエリックは、両親を失って以来、苦労してきた少年。たまたまガーネットたちの農場の近くにやって来て、住みこみで仕事をすることになったんです。最初は警戒心が強くて、自分のことを話したがらなかったエリックなんですが、器用で働き者のエリックはみんなに可愛がられて、いつしか家族の一員となり、ここの土地に馴染んでいきます。このエリックを最初に迎えた時のガーネットのお母さんの態度も素敵なんですよね。ガーネットがお母さんを誇りに思うのがよく分かる~。(岩波少年文庫)

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