「ギリシア神話 神話の時代」「ギリシア神話 英雄の時代」カール・ケレーニイ

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カール・ケレーニイは、19世紀のハンガリーに生まれた神話学者であり宗教史学者でもあるという人物。
というだけあって、この本も純粋にギリシャ神話とされている部分だけでなく、ギリシャ神話の中に取り込まれていったと思われる周辺地域の伝承、ギリシャ神話のエピソードの様々な異説、そしてホメロスやソフォクレス、アイスキュロス、エウリピデスなどのギリシャの古典文学にもたっぷり言及し、古代ギリシャ語の意味や語源などにも触れていれば、系図も充実してるし、それぞれのエピソードの出典も細かく明らかにされているような、学術寄りな本でした。もちろんギリシャ神話の物語としても楽しめるんですけど、同じ伝説の異説がどんどん並列で紹介されて考察されていく分、あまり滑らかに読み進めていけるという感じではないし、そもそも初心者向けではないんでしょうね。
例えば万物の起源や神々の始まりが、ヘシオドスではこう、ホメロスではこう、そしてオルフェウスの「聖なる書」ではこう、という風に色々と比較対象されるように書かれているのは面白かったし、ここでしか読めないエピソードもいっぱい。でもそれだけに、すごい読み応え! 文庫本2冊で900ページほどなんですけど、そのページ数の倍ほどの読み応えがありました。感想を書く前に燃え尽きてしまったわ。しばらくギリシャ神話はもういいや、という気分...(笑)
でもカール・ケレーニイがハンガリー生まれの人だったなんて! 「われわれのギリシャ神話」なんて言いまわしが多いし、古代ギリシャ語だけでなく現代ギリシャ語についても詳しそうなので、ギリシャ人研究者だと思いこんでましたよー。(中公文庫)

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Commentaires(2)

四季様、

この本は読んだことありませんが、ケレーニイの名前は時々聞きますね。ハンガリー国籍でも、彼の名前、カールはドイツ語みたいだし、ドイツ系の人かも知れませんね。ウィキベディアによると、ドイツでかなり教育を受けて、研究もしているようです。今世紀前半まで、ドイツ語は学問において国際共通語的な言語でしたし、特に中欧ではそうだったようですね。

そしてこの時代の人達までは、文化系学問の基本は古典文献学、つまりギリシャ・ローマ学ですから、「我々の」ギリシャ神話、となってくるのでしょう。ギリシャ・ローマの文芸は、ヨーロッパ共通の文化であり、ヨーロッパで高等教育を受けた人々は皆それを共有することになっているのでしょうね。Yoshi

Yoshiさん、こんにちは。
生まれたのはハンガリーでも、今はルーマニア領となっている場所のようだし
この辺りは国も民族も交錯してるので、ドイツ系の人でも全然おかしくないですね。
そう言われてみると、体系だった研究をしていることを窺わせる文章が
いかにもドイツらしいもののようにも思えてきます。

ギリシャ語に相当詳しそうだったので、てっきりあちらの人かと思ってしまったんですが(笑)
考えてみれば、19世紀の学校教育ではギリシャ語とラテン語が必須だったはずだし
ギリシャ神話を研究する人なら、もっと深く突っ込んで勉強してますよね、きっと。
古代ギリシャ語をやってたら、現代ギリシャ語だって多少分かるでしょうし…

「我々のギリシャ神話」、納得です。そうですよね!
その時代だと、ギリシャ・ローマ学も今よりさらに存在も大きかったはずですよね。
全然そこまで頭がいってませんでしたー。ありがとうございます。

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