「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合

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大学3年の由布は、伯母が営む小さな飲み屋・雁木亭でアルバイト中。そんなある日、由布が開店前の掃除をしていた時にやって来たのは、雁木亭の常連の1人、浜中。浜中は息子のいる茨城に引っ越すことになり、挨拶にやって来たのです。伯母は店の奥にある井戸の水を由布に汲ませ、その水を浜中に飲ませます。その井戸の水には不思議な言い伝えがあり、潮ノ道を出る時にこの水を飲んでおけば、必ずまたこの地に戻って来られるというのです... という「帰去来の井戸」他、全7編の連作短篇集。

お久しぶりの更新です... が、すみません、まだ復活したというわけではないのです。まだまだ充電中なのですが~。
光原百合さんの本が出たので! 出たら感想を書くとお約束してたので! それと1つ下の記事は、いただいた本のお礼がてらの感想です。

このシリーズは「オール讀物」に不定期に掲載されていて、その時にほとんどの作品を読んでいるのですが、通して読むのは今回が初めて。光原百合さんの潮ノ道を舞台にしたファンタジーのシリーズです。もうほんと大好きで、本になるのが待ち遠しかったんですよー。通して読めて嬉しい! あ、でも、表題作の「扉守」以降はブログに感想を書いてるんですが、1作目の「帰去来の井戸」は、どうやら今回初めてだったみたいです。それに「桜絵師」も読んでない... これは「小説現代」に掲載だったんですね。いやん、知らなかった!(というより、教えて頂いたのに頭からすっぽり抜けてしまっていたのかも...)

今回、本のタイトルが「扉守」となっているのが、実は少し意外だったのです。てっきり「潮ノ道幻想譚」とかその手のタイトルになるかと思いこんでいて、作品の1つのタイトルが本全体のタイトルになるとは思ってなくて。でも改めて通して読んでみて、なんとなく分かったような気がしました。1作ずつ読んでいた時は気がついてなかったんですけど、「扉守」はシリーズの方向性を決定づけた作品というか... それまでの「帰去来の井戸」も「天の音、地の声」も、言ってしまえば十分そういう作品だったんですけど、ここまではっきりとは定まってなかったような気がしますね。なんというか、ここでしっかりと楔を打ち込まれた... というのは言葉の使い方を間違えてるような気もしますが(汗)、そんな印象がありました。
どの話もそれぞれに良かったし、すごく好きな場面が色々と。例えば「帰去来の井戸」の小舟の場面とか... 冴え冴えとした満月の光が水に映るのが感じられてとても素敵。あと「天の音、地の声」の、夕暮れの中の宵闇色の猫とか、「ピアニシモより小さな祈り」の終盤の和音が響く場面とか。...あ、夜の場面ばかりだ。そうか、だからこの本の表紙絵は夜のイメージだったのか。(と、今頃納得してみたり) あ、でも「桜絵師」の満開の桜の場面もとても素敵だったなあ。満開の桜って、とても美しいんだけど美しいだけじゃない何かがありますよね。そんなイメージにぴったりで。そして話としては、最後の「ピアニシモより小さな祈り」が一番好きかな。私自身がピアノに思い入れがあるせいが大きいかもしれませんが、読んでいるとじんわりと胸が熱くなります。でもどの話もそれぞれに大好き。零さんのピアノも実際に聴いてみたいし、サクヤさんたちの芝居も観たいし、行雲さんの絵も見てみたい。満月の夜の小舟も見てみたくてたまらない... どの話を読んでも、潮ノ道に行ってみたくて堪らなくなります。まだまだ続いて欲しいシリーズです。(文藝春秋)


+既読の光原百合作品の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編(「届いた絵本」)
オール讀物11月号(文藝春秋)(「扉守」)
小説NON 11月号(祥伝社)(「希望の形」)
小説推理・オール讀物・星星峡(「1-1=1」「クリスマスの夜に」「オー・シャンゼリゼ」)
「最後の願い」光原百合
光原百合ベスト3@My Best Books!
「尾道草紙」尾道大学 創作民話の会
「銀の犬」「親切な海賊」光原百合
オール讀物 2007年10月号(「写想家」)
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編(「木漏れ陽色の酒」)
オール讀物 2008年11月号(「旅の編み人」)
「新・本格推理 不可能犯罪の饗宴」二階堂黎人編・オール讀物 2009年8月号(「ピアニシモより小さな祈り」「花散る夜に」)
「イオニアの風」光原百合
「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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<個人的にファンタジーと言うジャンルに関してはいささか苦手意識が強いのですが、光原さんの書いたものは心地よく読めます。読者が消化しやすいように最大限の配慮... » Lire la suite

Commentaires(6)

こんにちは。読書メーターで1度だけコメント交換させてもらってました。
ここはずっと読んでいたのでお休みされるの残念だったんですが、記事アップされててちょっと得した気分になっちゃいました。
あ、でもちゃんと充電して十分にお休みして、また気が向いたら書いてください。
実はひそかに四季さんのことを師匠と思っています(笑)

tessさん、こんにちは~。
そそそそんな、師匠だなんて。
申し訳ないぐらい勿体ないお言葉です。ありがとうございます。
以前メッセージを頂いた時は、tessさんとの相性が結構高かったのに
最近はもう知らない方ばかり…
なんだか自分の読書の路線のズレを目の当たりにさせられてるようで寂しいです。^^;

気が済むまでお休みしたら、また戻ってきますので~。
その時はどうぞよろしくお願いいたしますね。^^

新年あけましておめでとうございます。
 旧年はお世話になりました。後半戦は失速で更新もまばら、こうして他のサイトにくることも少なかったですが、今年は精力的にネットライフも楽しみたいと思いますので、よろしくお願い致します。 
充電中とのことですが、復活をお待ちしています。
 

樽井さん、こんにちは!
明けましておめでとうございます~。
こちらこそ旧年中はとてもお世話になりまして、ありがとうございました。
私も秋以降はどうもネットに気分が乗らない状態が続いてて…(^^ゞ
樽井さんにもご無沙汰しがちになってしまって申し訳ないです。
今年は私ももう少し積極的にネットライフを楽しみたいものです。

こんな私ですが、今年もどうぞよろしくお願いいたしますね。
お互い、健康で楽しい1年をおくれるといいですね。^^

ごぶさたしております。
今は月に一度の記録を楽しみにしております。
時には骨休みも必要ですよね(笑)

TBさせていただきました。この作品も相変わらず素晴らしいですね。
読み手の心を揺さぶる作品を書けるのが強みでしょうか。

先月、ジャネット・ウィンターソンの『オレンジだけが果物じゃない』を読んでとっても良かったです。
岸本さんの訳がピッタシという感じで、国内ものでは味わえない構成と読後感を満喫できました。
そろそろ感想を綴りたいなと思い、四季さんの感想を覗かせていただいております(笑)

一日も早い完全復帰をお待ちしております。でも無理のないようにお願いしますね。

トラキチさん、こんにちは!
楽しみにしてるだなんてありがとうございます~。
地球に優しい(?)月に一度の配信です。(笑)
あ、でもなるべく早い時期に復活したいとは思ってますので…(^^ゞ
そしてTBもありがとうございます。
光原さんの作品はどれも好きですが、これも本当にいいですよね。
読み手の心を揺さぶる作品が書けるというのは、ミステリでもファンタジーで
他の全く違うジャンルだったとしても、やっぱり一番の強みですね。

「オレンジだけが果物じゃない」も面白いですよね!
ほんとこれは岸本さんならではという作品でした。
あと岸本さんならではといえば、ニコルソン・ベイカーなんかもそうですね。
トラキチさんは既に読まれてるかしら。
翻訳物は読みにくくて… なんて言葉が当てはまらないのが岸本さん訳の作品。
訳者さんから読む作品を選ぶというのも楽しいですね。^^

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