2005年2月 Archive

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渡邉良重さんの絵に、内田也哉子さんの言葉が添えられた絵本。お父さんが内田裕也さん、お母さんが樹木希林さんという内田也哉子さんのことは、本木雅弘さんと結婚した時に初めて知って、なんだか不思議な魅力のある人だなあと思っていたんですが、こんな絵本を作ってらしたとは! この表紙もとても綺麗なんですけど、中のページがね、全部薄紙なんですよー。繊細な薄紙をそーっと1ページずつめくっていくと、明るくてはっきりとしていて、それでいて優しい色合いの絵に、ほんの少しの言葉。薄紙なので次のページの絵や文字がうっすら見えて、絵はまた違った表情を見せてくれるし、言葉が向こうからこちらにやってきてくれる感じ。とても素敵なんです。この週末、私は朝から晩までずっと出かけていて、ほとんど本を読む気をなくしてしまうほど疲れていたんですが、そんな今の私の気分にぴったり。ゆっくりゆっくりとページをめくっているうちに、なんだか凝り固まっていた疲れが溶けていってくれるみたい。
これは宗さんに教えて頂いた本。書店に行くまではそれほど買うつもりはなかったのに、実物を見た瞬間しっかり握ってました。(笑) この本と出会えて良かったなあって素直に思える本です(^^)。(リトルモア)

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えっと、これは何をどう書けばいいんでしょう... 幻想小説って言えばいいんでしょうか。ええと、はっきり分かってるのは、主人公は中年の公園管理人だということ。そして最初のページにあるように、舞台が「井の頭恩賜公園とその周辺、および管理人の記憶と夢想」ということ。なんだか、特に筋書きのないオムニバス映画を観ているような印象でした。現実と虚構、現在と過去が入り乱れて描かれていて、それぞれの場面はすごく濃厚でくっきりとしてるんだけど、でもなんだか希薄。不安定でとりとめがなくて、混乱してて... でもその核には何かあるような感じ。生きてる人間の思考の中を覗き込んだら、こんな感じなのかしら、なんて思ったり...。これは頭で理解するような作品じゃないんだろうな。「ルピナス探偵団の当惑」みたいな、分かりやすくて楽しい作品とはまた全然違うんだけど、きっとこっちの方が津原さんの本質なんでしょうね。私は、本当は「妖都」や「蘆屋家の崩壊」みたいな作品の方が好きなんですけど、そこから更に一歩踏み出したって感じ。でもワケわかんないとこもあるんですけど、吸引力は凄いんですよ。なんだか息をつめて読んじゃってたので、読み終わった後はぐったり。
去年各所で話題になってた「綺譚集」もすごく読みたいんだけど、次は文庫になった「少年トレチア」を読む予定。でもこの作品を読むのに力を使い果たしちゃった感じなので、その前に何かもっと優しいものを読もうっと。(双葉文庫)


6月27日+追記+
津原泰水まつりエントリ第4弾のために再読してみました。ゆっくりゆっくり何日もかけて読んで、最初に読んだ時よりもずっと堪能できたし、少しは理解もできたと思います。でも少しはマシなことを書けるかと思ったんですが、どうやら書けそうになく... ダメじゃん。結局過去記事をそのままエントリしちゃいます。(^^ゞ


+既読の津原泰水作品の感想+
「ペニス」津原泰水
「少年トレチア」津原泰水
「綺譚集」津原泰水
「妖都」津原泰水
「蘆屋家の崩壊」津原泰水
「赤い竪琴」津原泰水
「ルピナス探偵団の当惑」津原泰水

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14歳の頃は毎日のように一緒に過ごしていた智史と佑司と花梨も、親の転勤や引越しによって連絡が途絶え、15年後、智史はアクアショップの店長になっていました。今は結婚相談所で知り合った女性とお付き合い中。その彼女に、少年時代の懐かしい話をすることになって... ということで、聖月さんの「2005年版聖月大賞」受賞作品です。(笑) もう聖月さんが読むべし読むべしと何度も言いに来るので仕方なく、というわけではありませんが(笑)、そこまでプッシュされたら、やっぱり読んでみないとね!
で、読んでみて。いやー、あったかい! 男女の愛情とか親子の愛情とか友達同士の愛情とか、そういう暖かい感情がいっぱい詰まった作品でした。人と人との心の繋がりを信じさせてくれるというか、気持ちがちゃんと繋がっていさえすれば離れていても大丈夫ということを教えてくれるというか... で、なんとなく感じたんですけど、ノスタルジックな情景がセピア色じゃなくて透明な印象なんですよね。透明なんだけど、冷たい透明じゃなくて、暖かみのある透明。その透明感にアクアショップの情景が重なってとても綺麗なのです。それに、ウィットが利いた会話が心地よくて。登場人物も、みんなそれぞれにいい味を出してました。不器用で真っ直ぐで、少年の部分を残した主人公も、その一枚上手って感じのお父さんも、バイトの夏目くんとか花梨もすごく好き。ラスト近くの展開にはちょっとびっくりしたし、これだけはちょっと気に食わない部分なんだけど... でも、これはこれで良かったのかもしれないなあ。
ということで、聖月さん大プッシュの理由がよーく分かった作品なのでした。聖月さん、ありがとうございます(^^)。(小学館)


+既読の市川拓司作品の感想+
「そのときは彼によろしく」市川拓司
Livreに「いま、会いにゆきます」の感想があります)

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「天使はモップを持って」の続編。明るくキュートな清掃員・キリコちゃんのシリーズ第2弾です。仕事で色んなテナントに出入りするキリコは、そこで関わった人の悩みを解決したり、社内での謎を解明したりしていきます。
やっぱりキリコちゃんは可愛ーい。何かに悩んでいる当人には、物事の全体像はなかなか見えてこないものだし、少し離れたキリコの立場だからこそ見えてくるものもあると思うんですけど、やっぱりそういうのをちゃんとキャッチしているのは、キリコの素直さとか気配りとか、そういうのがあってこそなんですよねー。読んでいて、キリコの言葉には何度もはっとさせられちゃいました。や、ほんとに。
近藤史恵さんがあとがきで、キリコをずっと天使のままにしておくこともできるけれど、それが嫌で敢えて彼女の「羽衣を隠した」と書いてらっしゃるんですが、その「羽衣を隠した」ことがこのシリーズに、深みを出しているような。普段はキリコの明るく頭の回転の早い面が全面に出ているけど、ふとした時に、隠された心の一面が垣間見られるのがやっぱり魅力的だし、それが読後感を暖かいものにしているんじゃないかと。やっぱりこのシリーズは大好きです。(ジョイノベルス)


+シリーズ既刊の感想+
「天使はモップを持って」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵
「にわか大根」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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クリスマスの時期に読もうと思っていたのに、今頃になってしまいましたー。でも実際にはあんまりクリスマスは関係なかったですね。帯の「ビートルズが死んだ1970年。すべてはそこから始まった」というのも、まあその通りなんですけど、ジョンだのポールだのの名前がちらっと登場するだけです。(笑)
クリスマスの夜に人身事故を起こしてしまった4人の20歳の若者。警察には行かずに、その事故を隠すことを決意したのですが、その10年後の同じクリスマスの夜、4人の前にあの時死んだはずの男が現れて... という話。話は1970に始まり、10年ごとのクリスマスということで視点を変えて描かれていきます。導入はそれほど珍しくないパターンだし、オチはオチで、これは賛否両論なんじゃないかなあって思うんですけど(私は楽しめたけど←何でもアリ人間) でもこの10年ごとの描写が、ごくさりげないんだけど、なんかいいんです。新入社員の月給が3万7千円だった(!)という1970年に始まり、インベーダーゲーム全盛期(?)の1980年、バブル景気のの1990年、ほとんど現代の2000年。この登場人物たちと同年代の読者なら、もっとノスタルジーを感じられるんじゃないかなあ。んでもって、この4人はいくつになっても変わんないなーって感じなんですけど、でも学生時代の仲間って、ものすごーく久しぶりに会っても、会った瞬間昔の仲間に戻っちゃいますもんね。そんなことを思うと、なんだか微笑ましかったです。(光文社文庫)


でもこの作品の死体遺棄部分を読んで、先日読んだ雑誌の記事を思い出しちゃいました。その記事のタイトルは、「人は土に返れなくなっちゃったのよ」。自然食品の記事のようだったので、てっきり比喩的な意味だと思っていたら、そうじゃなくて本当に土に返れなくなってるという話でした。その理由は、食品と一緒に体内に入り、そして蓄積されていった防腐剤。日本では火葬がほとんどですけど、土葬のアメリカでは、遺骸の内臓がなかなか腐らないのが問題になってるんですって。も、もしや頭とか身体の表面とかはでろでろ~んと腐ってきてるのに、内臓だけはツヤツヤのピカピカ...? これは怖い! で、そういう防腐剤などの有害な添加物を腸から押し出して洗い流すことができるのは、玄米だけなんですって。そうだったんだー!!
玄米、食べましょうねっ。腐らない内臓、怖いです...(^^;。


+既読の井上夢人作品の感想+
「オルファクトグラム」上下 井上夢人
「クリスマスの4人」井上夢人
「the TEAM」井上夢人
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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姉が殺人鬼に襲われている現場に居合わせることになってしまい、自分も頭を強打された主人公。1ヵ月後、昏睡状態から醒めた彼は、世界が一変しているのに驚きます。彼の嗅覚は並の犬以上になってしまっていたのです...

ということで。読む前は、またまたすごい設定だなあと思ったんですけど、読んでみるとこれがすっごく面白くてびっくり。いやー、やっぱり井上夢人さんは凄いわ。話自体も勿論面白いんだけど、こんな風に匂いを表現してしまうとはー。主人公は匂いを「嗅ぐ」のではなく、「目で見る」ことになるんですけど、その匂いの情景がすっごく綺麗なんです。こんな嗅覚にはなりたくないけど、でもこの匂いの結晶は見てみたいぞー! それに途中でテレビ局が入ってきた辺りから、これはもしかしたらあんまり好きじゃない展開になるかも、とちょっと構えたんですけど、全くの杞憂でした。いやー、面白かったです。やっぱり井上夢人さんの作品は好きだー!(講談社文庫)


+既読の井上夢人作品の感想+
「オルファクトグラム」上下 井上夢人
「クリスマスの4人」井上夢人
「the TEAM」井上夢人
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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先日読んだ「論語」と同じ、角川文庫の「ビギナーズ・クラシックス」のシリーズの1冊。以前OverQさんがたらいまわし企画の棺桶本に挙げてらした陶淵明です。私も漢詩は読んでみたいなと思っていたんですが、どこから入っていいものやらさっぱり状態。OverQさんに、陶淵明は漢文に慣れてない人間にも入りやすいと伺って、いつかは~と思ってたんです。「桃源郷」の言葉の語源となってる「桃花源記」も、原文を読んでみたかったし。...そんなところに初心者向けのこのシリーズが! なんともいいタイミングじゃありませんか。
漢文と書き下し文と訳文を行ったり来たりするので、この1冊を読み終えるのに、ものすごーーーく時間がかかっちゃいましたが... しかも時間がかかった割に、自分がどれだけ理解できたのか、自分の中にどれだけ蓄積されたのか不明なんですが... っていうか、ほとんど残ってない気もするんですが...(ダメじゃん) でも田園詩人と呼ばれる陶淵明の雰囲気はなんとなく掴めたような気が。山海経を主題にした詩を読んでると山海経が読みたくなるし、あと詩の中に「昭昭」とか「皛皛」(「白」が3つ、丁度「晶」みたいな感じで並んでる字です)という言葉が出てきたんですけど、「昭昭」が「月の光が空全体に広がった明るさ」で、「皛皛」が「白い月の光が川の水面のさざ波に反射した明るさ」なんですって。こういうのも全然知らなかったので面白かったです。
こういうのは繰り返し読むほど味わいが深くなるそうなので、また折りに触れてじっくりと読み返してみたいと思ってます... が、次はとりあえずこのシリーズの「李白」を読む予定。さて今度はどのぐらい時間がかかるんでしょ。忘れた頃にでも感想をアップできれば、御の字です。(角川ソフィア文庫)


+関連シリーズ作品の感想+
「論語 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」加地伸行
「陶淵明 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」釜谷武志
「李白 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」筧久美子
「老子・荘子 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」野村茂夫
「紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス日本の古典」紫式部・山本淳子編

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